チャットボットを設置すべきサイトとは?運用ポイントや成功事例をご紹介
近年とくにECサイトにおいて、チャットボットの導入が目立ちます。しかしチャットボットを導入して効果があるのは、ECサイトだけではありません。
本記事では、「チャットボットはどんなサイトに設置すると効果があるの?」「どんな働きをするのか知りたい」といった人に向けて、チャットボットの設置がおすすめのサイトと、その役割をご紹介していきます。
チャットボットとは?
チャットボットとは、「チャット(Chat)」と「ボット(Bot)」を組み合わせた言葉で、ユーザーからの問いかけに対し、自動で返答するプログラムのことです。
チャットボットは、あらかじめシナリオを設定し、ユーザーが選択した質問に対して回答を行う「シナリオ型」と、人工知能(AI)を搭載し、学習データの中から最も適切な回答を導き出す「AI型」に分類されます。
近年、「業務を効率化したい」「顧客対応を均一化したい」「UX(ユーザー体験)を改善したい」といったさまざまな目的で、チャットボットを導入する企業が増えています。
チャットボットを設置するサイトは?
チャットボットは、多くのWebサイトに導入されています。
サイトにアクセスすると、ページの片隅に「何か質問はございませんか?」と小さなウィンドウが表示されるのを、目にしたことがある方は多いでしょう。
では、具体的にどのようなサイトにチャットボットが設置されているのでしょうか?どのような役割が期待されているのかもあわせて、具体例をご紹介します。
ECサイト
チャットボットを見ることが最も多いのは、ECサイトです。ECサイトで買い物をするとき、実際に利用したことがある方も多いのではないでしょうか?
ECサイトでチャットボットを設置する主な目的は、対応業務の効率化です。ECサイトでは、「送料はいくらかかるのか」「支払い方法には何があるのか」「どのクレジットカードが使えるのか」というような、細かな質問が多く発生します。
これらの質問に対応するため、「よくある質問」ページを設置し、ユーザーの自己解決を促しているECサイトは多いかと思います。しかし残念ながら、「わざわざ探して」まで、回答を見つけようとしてくれるユーザーばかりではありません。
チャットボットであれば、会話を進めることで回答に辿り着くことができるため、ユーザーの自己解決率向上が期待できるのです。自己解決率が向上すれば、問い合わせ件数の削減につながり、結果的に対応業務の効率化につながるのです。
また、従来の電話やメールでの問い合わせ対応は、ユーザーを待たせてしまうことが多いという点が課題でした。チャットボットであれば、その場で回答を送ることができるため、機会損失の防止や満足度の向上といったことも期待できます。
ECサイトへのチャットボット導入については、以下の記事でもご紹介しています。
サービスサイト
製品のサービスサイトに、チャットボットを設置するケースも多く見られます。
例えば、ITツールのサービスサイトには、ツールの特徴や搭載機能、料金などさまざまな情報が掲載されています。ユーザーがそれらの情報を把握するのは、時間も手間もかかるでしょう。
ただ、チャットボットが設置されていれば、会話の中からそのツールの特徴を把握することができます。例えば、ユーザーがセキュリティに対する情報を知りたいとします。シナリオ型チャットボットであれば、「知りたいことを以下よりお選びください」と問いかけたうえで、「搭載機能>セキュリティ対策」というように選択してもらうことで、スムーズに該当の情報を提示することが可能です。また、AI型であればユーザーが「セキュリティ」と入力しただけで、情報を提示できるため、さらにスムーズでしょう。
さらに、チャットボットの利用データを分析することで、「ユーザーのニーズ」が見えてきます。そのニーズ情報をもとに、サービスサイトを改善することで、売上向上も期待できるでしょう。
クラウドシステムの管理画面
クラウドシステムを提供している場合、管理画面にチャットボットを導入すると、ユーザーの利便性を高めることができます。
システムの基本的な使い方をチャットボットに登録しておけば、もっとも疑問が多くなる導入期の質問を減らせます。自力で問題解決できる満足感を与えられれば、ユーザーに継続利用してもらえる可能性も高まるでしょう。
また、クラウドシステムを使っているときに不具合が発生すると、ユーザーはサービスを利用できなくなります。場合によっては業務に支障が出ることも考えられ、「できるだけ早く解決したい」と考えるでしょう。
しかしそれがサービス提供会社のサポート時間外や休日だった場合にはどうでしょうか?ユーザーは問題を解決できることなく時間を過ごし、状況によっては重大な損失が発生するかもしれません。
そんなとき、チャットボットが設置されていれば、ユーザーは一定レベルのトラブルであれば、自己解決できるようになります。
さらに、自己解決を促すことで、本当に対応が必要な問題の解決にだけ時間を割けるようになり、業務の効率化にもつながります。
FAQサイト
FAQサイトにチャットボットを設置しているケースも、多く見られます。特にFAQの数が多い場合では、チャットボットを導入すると高い効果が期待できます。
FAQの数が多いと、ユーザーはその中から情報を探すのが面倒になり、離脱してしまう可能性が高まります。また場合によっては、索引にある専門用語が分からなかったり、手がかりになる言葉が思い浮かばなかったりすることも考えられるでしょう。
そんなときでもチャットボットが設置されていれば、自分が思い浮かぶキーワードを手がかりに回答を引き出せる可能性があります。選択肢が表示されたり、使い慣れたチャットツールのように会話しながら回答を探したりできるため、手軽に使えることもポイントです。
社内ポータルサイト
社内ヘルプデスクとして、ポータルサイトにチャットボットを設置すると、業務効率化やコスト削減などさまざまなメリットが得られます。
社内ヘルプデスクには、毎日多くの質問や相談が寄せられます。そして「メールの送信に失敗した」「PCがフリーズして動かない」「有給休暇の申請がうまくいかない」といった同じような質問が多いことも特徴です。
一件一件への回答には時間がかからなくても、積み重なると膨大な時間になります。その間ほかの業務は滞り、その結果残業時間が増えて人件費が増大しているケースもあるようです。
ポータルサイトにチャットボットを設置して、こういった定型の質問への回答を任せてしまえば、問い合わせへの対応業務を大幅に削減できます。ヘルプデスクの生産性が向上し、また社員の「こんな簡単なことを聞いてもいいかな」といった不安や、「質問への回答が遅い」といった不満の解消にもつながります。
社内ヘルプデスクでのチャットボット活用についてはこちらの記事でも解説しています。
サイトにチャットボットを設置した事例
それでは、実際にサイトにチャットボットを設置した事例を紹介します。
簡単な質問には自動対応
まずは、コスメの口コミサイトを運営している「株式会社アイスタイル」の事例を見てみましょう。
アイスタイルでは、ユーザーからの質問への回答に、時間がかかることが課題でした。メール対応をメインに行っていたため、ちょっとした質問でも、回答までに時間がかかっていたのです。また、ユーザーサポートの専任がおらず、スタッフがほかの業務と兼任していたことも対応遅れの原因でした。
このような状況は、ユーザーにとってストレスであり、使い勝手がいいサイトとはいえないため、チャットボットの導入に踏み切ったそうです。
アイスタイルでは、チャットボットには簡単に回答できる質問への対応を任せ、それ以外はチャットボット上で有人対応を行う体制をとっています。
メールでは、ちょっとした質問でもあいさつから締めまで書く必要がありますが、チャットであれば有人対応であっても、FAQのURLを案内するだけで完了します。同じ一件にかかる時間が少なくなり、疑問をその場で解決できるようになったことでユーザーの満足度を上げることにもつながりました。
社内ヘルプデスクの業務負担軽減に成功
つづけて、電子機器を取り扱う「古野電気株式会社」の導入事例をご紹介します。
古野電気では、新しく経費精算システムを導入することにより予想される、社内問い合わせ件数の増加を抑えるため、チャットボットを導入しました。新システムの導入規模が大きかったため、システムに関する質問が増大することが予想されていたのです。
システム導入前の試験運用で、システムのどこでつまずくかがある程度明らかになっていたことから問い合わせを自己解決できるシナリオ型チャットボットが課題解消に役立つと判断します。設定の不明点などは導入支援担当者のサポートを得ながら解決し、業務の合間に少しずつシナリオを登録していきました。
効果測定の結果でも、チャットボットを導入したことで増えていたであろう問い合わせ件数を抑えることに成功していることが分かり、また社員の利便性や生産性の向上にもつながっているそうです。
チャットボットをサイトに設置するときのポイント
ここからは、実際にチャットボットをサイトに設置するときに押させておきたいポイントを3つ紹介します。
導入目的を明確にする
チャットボットを導入するときには、導入目的を明確にしておくことが重要です。
サイトにチャットボットを導入するときには、「ユーザーの質問に答えたい」「FAQ代わりに運用したい」といろいろな目的が考えられます。
そしてチャットボットにはご紹介したとおり、提示された選択肢をユーザーが選ぶことであらかじめ設定したシナリオに沿って進む「シナリオ型」と、データを蓄積することでより精度の高いコミュニケーションを行う「AI型」があります。
チャットボットをどういったシーンで利用するのかによって、どちらを採用するといいかは異なります。そのため、まずは導入目的を改めて考えてみるようにしましょう。
AI型とシナリオ型の違いについて詳しくは、以下の記事で解説しています。あわせて、チェックしてみてください。
分かりやすい場所に設置する
チャットボットは、サイトの分かりやすい場所に設置することも大切です。
たとえば、「お客さまサポートが目的だから」と、サポートのページにだけチャットボットを表示するようなケースでは、利用率の向上は望めません。それは、ユーザーがサポートページにたどり着いてくれることが前提になっているためです。
しかし、サイトを訪問したユーザーが、どこでどのような疑問を持つかは分かりません。どこでどんな疑問を感じても、すぐにチャットで解決できるよう、チャットボットはできるだけ多くのページの分かりやすい場所に設置することが利用率を高めるポイントです。
ユーザー目線で考える
チャットボットの回答を作るときには、ユーザー目線で考えることも重要です。
テキストだけで分かりにくい内容であれば、図や画像を用いたり、場合によっては動画にリンクを張ったりすることも検討しましょう。
また選択肢を提示してチャットを進めるケースでは、選択肢の数を3〜5個に抑えることもポイントです。選択肢が多すぎるとユーザーは迷ってしまい、かえって利便性を損ないます。
どうするとユーザーの利便性が高まるかをユーザー目線で考えることは、結果的に利用率が高くなり、問い合わせ業務を軽減することにつながります。
サイトにチャットボットを設置するなら「チャットディーラー」
サイトにチャットボットを設置するなら、「チャットディーラー」がおすすめです。チャットディーラーには、カスタマーサポート向けの「シナリオ型チャットボット」と、社内ヘルプデスク向けの「AI型チャットボット」の2種類が用意されています。
<カスタマーサポート向け>シナリオ型チャットボット
カスタマーサポート向けのシナリオ型チャットボットは、表示された選択肢をユーザーが選ぶことで回答を得るタイプです。
ユーザーが訪問しているページの内容にあわせてシナリオを出し分けるので、訪問者ごとに最適な選択肢を表示できます。
<社内ヘルプデスク向け>AI型チャットボット
社内ヘルプデスク向けのチャットディーラーは、先述した通りAI型となっていますが、あらかじめ教師データが登録されており、すぐに運用を開始できる点が特徴です。
長年、社内向けクラウドシステムを提供してきたノウハウをもとに、教師データが作成されているため、はじめから高い回答精度が期待できるでしょう。
また、AI型は比較的費用が高くなる傾向がありますが、圧倒的低価格である点もおすすめポイントです。
まとめ
ECサイトで目にすることの多いチャットボットですが、それ以外のサービスサイトやクラウドシステムの管理画面、FAQサイト、社内ポータルサイトなど、あらゆる場面で活躍します。
チャットボットはシナリオ型とAI型の2種類に大別されるため、導入の目的を明らかにして適切なタイプを選びましょう。チャットディーラーにはカスタマーサポート向けのシナリオ型、社内ヘルプデスク向けのAI型のどちらも用意されています。どちらを選べばいいか分からない、といったご相談にも応じていますので、お気軽にお問い合わせしてください。
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この記事を書いた人
ボットマガジン編集部
ボットマガジン編集部です!チャットボットについて、タイムリーでお役立ちな情報をお届けします。