チャットボットとは?絶対に失敗しないための導入のコツや成功事例などを紹介

チャットボットとは?絶対に失敗しないための導入のコツや成功事例などを紹介

AI技術の発達により、近年チャットボットという新しい技術サービスに対する注目が高まってきています。

しかし、先進的な技術となり専門的な側面もあることから、その詳しい中身やメリット・デメリットについて、じっくりと理解できているという人は少ないでしょう。

今回は、そもそもチャットボットとは何なのか、といった基礎知識から活用方法、導入する場合に気を付けておくべき点などについて、幅広く見ていきましょう。

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この記事の目次

    チャットボットの基礎知識

    チャットボットの性能や活用方法を知る前に、まずは基本となる知識を身に付けておきましょう。

    そもそもチャットボットとは、「チャット」と「ロボット」を組み合わせた造語です。
    人間の代わりにロボットが人間と対話し、質問や相談などに応じることを可能にしたコンピュータプログラムなのです。

    例えば、Webサイトの画面の下などに「質問はありませんか?」といった質問が入力できる吹き出しのようなものが現れるのを見たり、実際に使ったりしたことはありますでしょうか。
    または、愛用しているお店などのLINEにてキャラクターとメッセージの交換をしたことはありますでしょうか。

    これらがチャットボットの代表例として挙げられますが、iPhoneでお馴染みのSiriも、チャットボットのひとつであり、実は私たちの生活のいたるところで既に活用されているのです。

    チャットボットの種類

    チャットボットの種類

    チャットボットには大きく分けて、次のシナリオ型とAI型の2つの種類が存在します。

    シナリオ型(ルールベース型)

    その名の通りあらかじめ定めておいたシナリオに従って会話を行うチャットボットのことです。
    例えば、「Aという質問が来た場合に、Bという回答をする」といったシナリオを細かく設定することによって、その精度を高めていくことが可能になります。

    ただし、事前に定めたシナリオから外れる質問には対応できないため注意が必要です。
    ある程度、質問の種類が決まっていたり、想定しやすいシーンだったりする場合は向いていると言えるでしょう。
    どちらかと言えば設定が手軽なため実用化までのスピードは早いのがメリットである反面、発展性や活用の幅については限度があると言えるでしょう。

    AI(人工知能)型

    一方、AI型のチャットボットは、ユーザーが自由に入力したテキストから必要としている情報を推測し、適切と考えられる回答を返します。人間とチャットしているように、自然な会話形式で回答を引き出せる点がシナリオ型とは異なります。

    さらに過去の質問と回答をAIが学習していくことから、使えば使うほど回答精度が高まり、複雑な内容や意外性のある質問に対しても回答できるようになることが特徴です。

    しかしAIデータが十分に蓄積されていない初期の段階は、回答精度がよくないことがデメリットです。すでに一定レベルの学習データが備わったチャットボットを選べば問題ありませんが、そうでないなら十分なデータが蓄積されるまで中長期的に付き合う必要があります。

    チャットボットが注目されている理由

    チャットボット導入に失敗する理由

    近年チャットボットが多方面から注目を集めている要因のひとつとして、AI技術の発展により、かつては不可能だったことが可能になったことが考えられます。

    例えばカスタマーサポートなど、これまでは人の手が必須だった業務の多くが、AIの力を活用することによって自動で対応できるようになってきました。業務のすべてを対応できなくても、定型的な質問などへの一次回答を任せられれば、人が行う業務を減らせます。政府が働き方改革を推し進めるなか、業務時間を削減するのにチャットボットは役立つのです。
    もうひとつの要因として挙げられるのは、ユーザーがモノやコトより体験を重視するようになったことです。製品やサービスは所有するものではなく、利用する権利を購入するサブスクリプション型ビジネスへの移行が進んでいます。それにあわせてユーザーは、製品やサービスそのものよりも、利用することで得られる「良質な体験」に価値を見いだすようになりました。

    製品やサービスについて、必要なときに必要な情報を得られなければ、ユーザーは良い体験を得られません。
    チャットボットを活用してユーザーのニーズにいつでも対応できるようにすれば、顧客満足度が高まり結果的に事業の業績拡大にすらつながるのです。

    チャットボットを導入するメリット

    チャットボット導入に失敗する理由

    チャットボットを導入する具体的なメリットについて、代表例を紹介していきます。

    顧客との接点の増加

    現代における企業と顧客との接点は、Webサイトが中心です。
    そのため、Webサイトをいかに充実したものにし、顧客を呼び込めるものにするかは常に課題となるでしょう。

    しかし、どれだけWebサイトの中身を充実させたとしても、顧客との接点が増えているわけではありません。
    Webサイトの存在を顧客に知ってもらった次は、Webサイトと顧客との接点を増やすことによって顧客がWebサイトに繰り返し訪問(リピート)することが考えられます。
    チャットボットは、その接点を増やすための方法のひとつとなるのです。

    マーケティングへの活用

    チャットボットに寄せられる質問や相談は、顧客が抱えている生の声です。
    このデータを蓄積していくことで、より本質的なユーザーのニーズを掴むことが可能となります。そして、顧客へのサービスにチャットボットが収集したデータを活用すれば、売上の向上や企業価値の向上が期待できます。

    カスタマーサポート業務の効率化

    カスタマーサポートは連日多くの顧客からの問い合わせに対応しているため、そこに必要とされるコストも膨大になりがちです。
    しかし、チャットボットが顧客からの問い合わせを代行すれば、カスタマーサポートの業務時間を大幅に削減することが可能となります。
    それによって、空いた時間や人的なリソースを別の重要な業務に充てることができ、コストの削減をはじめ、業務効率化や生産性の向上が期待できます。

    検索疲れの軽減

    先述の通り、情報量が多いということは、それだけわからないことも増えてしまうということです。
    わからないことを調べようとして、インターネットの検索にさらなる時間や手間を費やして疲れてしまうことは珍しくありません。
    チャットボットを活用すれば、わからない箇所もすぐに答えが聞けるため、検索疲れを軽減することができるのです。

    24時間・年中無休の対応

    チャットボットはコンピュータプログラムですから、休息の必要はありません。
    24時間どんな時でも顧客対応ができるようになるため、顧客満足度の向上にも貢献してくれるでしょう。

    チャットボット比較表

    チャットボットの導入の失敗事例

    チャットボットの導入に失敗する理由

    目的や機能を十分に理解したうえで活用すれば、チャットボットは非常に高い効果を発揮します。しかし思うような成果を得られず、いつの間にか使われなくなってしまうことも珍しくありません。

    ここではチャットボットの導入に失敗するのには、どのような原因があるのかを詳しく見ていきましょう。

    そもそもチャットボットでは解決できない課題だった

    解決したいと考えていた課題が、そもそもチャットボットでは解決できないものであれば、当然ですが導入しても役に立ちません。

    チャットボットには得意なこと、不得意なことがあります。たとえば定型質問への回答による社員の労働時間の削減、24時間365日の顧客サポートによる顧客満足度の向上、会話分析によるサービスの問題点の洗い出しなどはチャットボットを活用することで解決につながりやすい課題です。一方問い合わせの内容が細かい仕様のエラーについてや、複数要素を考慮して回答を出さなければならないものなどは、チャットボットは苦手です。

    抱えている課題が、チャットボットが得意とするものなのか、導入することで解決できるのかはよく考える必要があります。

    自社に合わないチャットボットを導入してしまった

    チャットボットにはシナリオ型とAI型があることを前述しましたが、自社にあわないチャットボットを導入した場合も効果を発揮できません。

    たとえばシナリオ型のチャットボットは、定型質問への回答は得意ですが、幅広いジャンルに対する質問に素早く回答するのは苦手です。そのため社内問い合わせを減らすための、FAQの自動回答などには不向きです。
    自社で想定している利用方法にあったタイプを選ばなければ、使い勝手が悪くて利用率があがることはないでしょう。

    解決率が低い

    顧客がチャットボットに求めるものは、「課題や問題の解決」です。しかし、シナリオ設定の完成度が低くて求める回答を得られなければ、顧客はストレスを感じてしまいます。その結果チャットボットが利用されないだけではなく、場合によってはWebサイトや企業全体への信頼度が下がることにもつながりかねません。
    チャットボットは情報量によって回答精度が異なるため、シナリオ型なら質問と回答、シナリオをきちんと設計する、AIなら運用前に十分な学習データを蓄積させる、あるいはすでに一定レベルの学習が住んでいるものを選ぶことが大切です。

    導入することが目的になっている

    「ほかの企業が導入しているから」「なんとなく便利そうだから」と、チャットボットを導入することが目的となっているケースも少なくありません。そのような企業では、「どのように使うのか」が明確でないため、シナリオ設計を適切に進めることは困難です。結果的に「導入はしたものの、何にも使っていない」となってしまいます。

    回避策が用意されていない

    どれだけ入念にシナリオを設計しても、イレギュラーな質問は必ず寄せられるものです。チャットボットが回答できなかったときに、回答を引き出そうと何度もチャレンジしなければならないようでは顧客はイライラしてしまいます。
    チャットボットが回答できない質問をされたら、速やかに友人対応に切り替えるなど回避策が施されていなければ、顧客はそのまま別のサイトへと離脱してしまうでしょう。

    チャットボット導入を成功させるポイント

    チャットボット導入を成功させるポイント

    コストをかけてチャットボットを導入する以上、しっかりと効果を出すことを考える必要があります。
    ここではチャットボット導入を成功させるポイントを2つ紹介します。

    導入目的を明確にする

    チャットボットの導入を成功させるには、自社のどの課題を解決するために活用するのか、導入目的を明確にすることです。

    先述したように、チャットボットにはシナリオ型とAI型の2種類があり、それぞれ特徴が異なります。顧客の問い合わせの一次対応を任せたいのか、社内問い合わせに幅広く対応させたいのかによっても選ぶチャットボットは異なります。
    またそもそも自社で抱える課題がチャットボットによって解決できるものなのか?といった視点も重要です。

    まずは解決したい課題を洗い出し、チャットボットで解決できるのか、できるならどちらのタイプが適しているのか、よく検討するようにしましょう。

    改善を繰り返す

    チャットボットは導入してそれで終わりではありません。利用が開始されたら利用データを分析し、シナリオやルールを実情にあわせて改善していくことが大切です。
    質問の内容を理解できているか、回答に導けているかといったデータを確認し、質問と回答の学習データをブラッシュアップしていかなければ、精度は上がっていきません。
    確実にPDCAを回すなら、運用担当者をきちんと決めておく必要があります。社内からリソースを割けないなら、運用支援までしてくれるサービスを選ぶといいでしょう。

    • 生産性UPの改善ガイド
    • チャットサポート導入のススメ

    失敗しないチャットボットの導入方法

    chatbot_toha

    チャットボット導入にはさまざまなメリットがあります。
    しかし、「導入が難しそう」「効果があるかわからない」という不安から、導入に踏み切れないという方も多いのではないでしょうか。
    ここでは、チャットボットの導入に失敗しないためのポイントをご紹介します。

    チャットボット作成ツールを活用する

    チャットボットは、自分で開発することも可能です。
    しかし、それには専門的なプログラミング知識とコスト、時間が必要です。そのため、専門的な知識が無くても簡単にチャットボットが導入できる、「作成ツール」を活用しましょう。
    チャットボット作成ツールを活用すれば比較的低コストで、また時間をかけることなくスムーズに運用を開始できます。
    また分析機能やサポート機能など、便利な機能が備わっていることも多く、導入後も運用しやすいといったメリットがあります。

    失敗しないチャットボット作成ツールの選び方

    チャットボット作成ツールはさまざまな種類があります。
    ここでは自社に合うチャットボット作成ツールの選び方についてご紹介します。

    機能を確認する

    まずは、ツールにどんな機能があるのか確認しましょう。
    たとえ多機能であっても、自社が必要な機能が無ければ意味がありません。
    こちらでは、チャットボット作成ツールの基本的な機能や、あると便利な機能をご紹介します。

    チャットボットの種類

    チャットボットにはルールベース型とAI(人工知能)型の2種類があります。
    どちらにも一長一短があるため、チャットボットの導入目的や自社の商材に合わせて選ぶのがおすすめです。
    どちらの種類も作成できるツールもあれば、1種類だけ作成できるツールもあります。まずは、導入を考えているチャットボットの種類が作成できるか確認しましょう。

    分析機能があるか

    チャットボットは、導入したら終わりではありません。
    ユーザーの選択率や離脱率、満足度などを確認し、シナリオや質問内容をブラッシュアップしていく必要があります。その時に役立つのが「分析機能」です。
    ただ結果が見られるだけでなく、期間別やスタッフ別などに分けて確認できるツールを選ぶといいでしょう。また、結果が一目で分かるように、グラフなどを作成してくれる機能があると便利ですね。

    状況の共有ができるか

    有人対応も考えている場合、対応状況をスタッフ間で共有できるかは大切です。
    どのスタッフがどのチャットに対応しているのかがすぐに確認できれば、対応漏れや見落としなどを防げます。

    セキュリティ対策はされているか

    もちろん、セキュリティ対策は重要です。
    チャットボットはユーザーと直接やり取りをするツールのため、高いセキュリティが要求されます。どんなセキュリティ対策が施されているのかは、事前にしっかり確認しておきましょう。

    導入実績を確認する

    機能の次に導入実績を確認しましょう。使い勝手の良いツールであれば、多くの企業に導入されているはずです。
    作成ツールのホームページを見れば、導入実績などが確認できます。導入実績では「こんな課題が解決した」「こんな場面で役立った」などが掲載されている場合もあります。
    導入実績は、自社の課題が解決できるかのひとつの指針にもなります。
    また、どんな業種の企業が利用しているのを見れば、自社でも利用可能かどうかが分かりやすいです。導入実績だけでツールを選ぶことはおすすめできませんが、事前に導入実績に目を通しておくことがおすすめです。

    サポート体制は整っているか確認する

    サポート体制が充実しているかも重要です。特に初めてチャットボットを導入しようと考えている場合、チャットボットについて全く分からないことが多いでしょう。
    そんな時は導入から運用まで、手厚くサポートをしてくれる体制があるかどうかを確認しましょう。
    作成から運営まで徹底してサポートしてくれる体制があれば、初めて導入する際にも安心できますね。

    チャットボットの導入事例

    最後にチャットボットによって、顧客満足度の向上や業務改善などの確かな実績を残した事例をご紹介します。

    <事例1>株式会社千成亭風土

    <事例1>株式会社千成亭風土

    滋賀県の彦根市にてオンラインショップや飲食店を展開する株式会社千成亭風土様では、事業の発展とともに日々寄せられる問い合わせの件数が膨大化。
    担当者様の日常業務を圧迫するまでになっていました。
    さらに、問い合わせ対応に追われることから仕事の抜け漏れが発生してしまうなどの問題も発生していました。

    そんな状況のときにチャットボットを導入したところ、1ヶ月に約150件あった、問い合わせが9割も削減されました。

    その結果、業務が前倒しできるようにもなり、従業員の残業時間の削減にも成功。
    さらにチャットボットに寄せられる声を分析し、Webサイトの改善にも役立てています。

    <事例2>株式会社オーセンティック

    <事例2>株式会社オーセンティック

    アパレルブランド「CUBE SUGAR」をオンラインショップや実店舗にて展開する株式会社オーセンティック様では、ECサイトの立ち上げに伴い、チャットボットの導入を決定されました。
    その主たる目的は、既存のECモールとの差別化でした。
    よくECモールにて見られるポイント付与サービスなどではない、新しい価値を提供することによって、コアなファンを増やしたいと考えたのです。

    そして、チャットボットの導入後と同時にスタッフ3名による有人の問い合わせ対応を実行。
    まるで実店舗にいるかのように、顧客はスタッフと気軽に会話ができるECサイトを実現しました。
    利用した顧客から「便利ですね!」「解決できて助かりました!」といった嬉しい言葉が多く寄せられています。

    成功のカギを握るのは事前準備

    チャットボットの基礎知識や、そのメリット・デメリット、導入のコツなどについて詳しく見てきました。
    チャットボットは、最新の技術による画期的なサービスであり、正しく運用できれば、顧客満足度の向上や業務効率化など、さまざまな恩恵をもたらしてくれます。

    しかし、だからと言って闇雲に導入すればそれで良い、というものでもありません。
    繰り返しとなりますが、大切なのは事前の準備なのです。
    チャットボットによって果たしたい目的は何なのかを明確化し、それに必要なツールは何か、シナリオは何か、と順番に考えていくことが成功に導くためのプロセスとなります。
    その逆の流れや裏技のようなものは存在しませんので、じっくり検討しながら導入への第一歩を踏み出してみてください。

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    • 執筆者:滝沢やよい
    • この記事を書いた人

      滝沢 やよい

      40代・女性のプロライター。長年に渡り、実用書などをはじめ多数の紙面およびWeb媒体にて執筆・編集を手がける。近年は、マーケティングを駆使した業界レポートや企業のIT資産の活用術を解説した記事など、企業向けに幅広いジャンルの執筆に取り組む。

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