チャットボットの失敗事例からわかる導入成功の方法|導入前・運用時でそれぞれやるべきことを解説

業務効率化の文脈でチャットボットを導入する企業は多くありますが、導入後に思うような成果が出ずに終わってしまった、という声を多くお聞きします。
そこで今回はチャットボット導入で失敗する理由を紐解いた上で、失敗しないための方法・成功事例を紹介していきます。
チャットボット導入で失敗する理由

そもそも「チャットボット導入の失敗」とはどのような状態を指すのでしょうか。
多くの場合、チャットボット導入の失敗は人に代わって対応するはずの業務をこなせていない状態、つまり迅速な回答や、検索ができない状態を意味しています。導入意図としては「サービスの質を落とすことなく業務効率化を図りたい」という思いがあるはずですので、結局「人にお願いした方が早い」といった状態が生まれているであれば、導入が失敗していると判断してよいでしょう。
またチャットボット導入で失敗する主な理由としては以下が挙げられます。
- 効果がわからない
- 運用コストも含めて費用対効果が合わない
- 問い合わせは減ったが利益も減った
いずれの状態もチャットボット導入の失敗として捉えることが可能ですが、逆にこれらの状態を改善する方法論さえ分かれば、改善へのPDCAを回すことができます。これまで人が対応していた業務を「チャットボットが代わりに対応している」という状況を踏まえた上で、以下の失敗理由を見ていきましょう。
効果がわからない
チャットボット導入における効果が分からなければ、施策の妥当性を測ることができません。施策の妥当性が分からなければ、改善に向けた施策を実施することもできないため、導入後に放置してしまう可能性さえあります。まずは導入効果が分かるように、業務効率化の数値目標として以下の2つを設定しましょう。
・ 問い合わせ件数の減少
「問い合わせ件数の減少」は社員の負荷軽減が主な導入目的となります。1件あたりに費やしていた時間などを予め記録しておくことで、導入後にどれだけ業務時間が削減できたのか?を可視化することができます。
・ 顧客満足度の高さ
チャットボット導入の目的が「顧客対応の品質向上」である場合、顧客満足度が数値目標となります。チャットボットは人が休む夜間でも休むことなく質問に答えることができるため、顧客を待たせてしまう問題を解消できます。
運用コストも含めて費用対効果が合わない
想定よりも運用コストが重くなり、費用対効果が合わなくなった場合はチャットボット導入の失敗といえるでしょう。
原因は、事前に問い合わせケースに対して十分な洗い出しを行っていなかったことにあり、入力や調整業務に追われている状況となります。導入時のコストは安いに越したことはありませんが、導入後の運用コストも考慮する必要があると覚えておきましょう。
問い合わせは減ったが利益も減った
チャットボット導入で問い合わせ件数が減少したことに喜んだのも束の間、肝心の利益も減少した、というケースは珍しくありません。あくまでチャットボットの設定(応答内容)次第ではありますが、問い合わせ対応を人からチャットボットに切り替えたことによって、サポート対応の品質が低下したり、平準化によって取りこぼすユーザーが出る可能性があります。
業務効率化において工数削減は重要ですが、同時に顧客満足度の低下が起こってはいないか、常に注意を払っておく必要があります。
チャットボット導入の失敗事例

チャットボット導入の失敗事例として、今回は以下の2つを取り上げます。
- 現場のニーズを十分に反映していなかった
- ユーザー利用率が徐々に低下した
これらの失敗事例に共通するのは、チャットボットを利用する人間の側に立ってチャットボットの設計・登録を行っていないことです。チャットボット開発側が経営層の意見ばかりを取り入れたり、自身がイメージするチャットボット像だけを反映させたりすることによって、実際のニーズに合わないチャットボットが出来上がってしまいます。
使う側のニーズに合わないチャットボットは次第に使われなくなるため、ユーザー目線のチャットボット設計・登録が成功への鍵を握ります。
失敗事例①現場のニーズを十分に反映していなかった
ある企業ではステークホルダーの情報や取引時のルールなどを社内情報として蓄積していましたが、それらの情報に手軽にアクセスするシステムがありませんでした。
そこでチャットボットを導入し、営業担当者が手軽に必要な情報へとアクセスできるようデータベースを作成しましたが、登録した情報がどれも実際の質問内容に適したものでなく、回答精度が低いものとなってしまったため、誰も使わなくなってしまったのです。
この失敗事例からいえることは、現場のニーズを十分に聞き取りした上で、実際の質問項目を用意する必要があった、ということです。単にチャットボットにたくさんの情報を登録しただけでは、本来意図する情報を引き出すことができません。
失敗事例②ユーザー利用率が徐々に低下した
ある企業では社外向けの問い合わせ対応としてAIチャットボットを導入しましたが、導入月から徐々にユーザー利用率が低下していきました。
原因はチャットボットに対する質問が事前に想定していなかったものが多く、回答内容や案内が不適切なものになっていたことにあります。
チャットボットに対して想定していない質問が来るのは避けられないことですので、ある程度の質問パターンは想定しながらも、定期的なメンテナンスによって回答精度をチェックする必要があります。事前にどのような目的で導入するチャットボットなのかを決めておくことで、メンテナンスの範囲も決まってきます。
チャットボット導入で失敗しない方法

チャットボット導入で失敗しないためには、チャットボット導入を行う部署の理解が得られている必要があります。どういったニーズがあり、導入の必要性を認識している状態が望ましいといえます。
また、導入後は効果の実感が可視化できるように数値目標を設定しましょう。導入部署で追うべき数値を決めておくことで、成功に向けた施策の展開を進めることができます。
導入時の失敗防止策
チャットボット導入を失敗させないために、導入時にできる失敗防止策には以下のようなものがあります。
・ 運用コストを想定して導入する
導入コストの安さだけでチャットボットを導入すると、後の入力・調整業務に多くの時間が取られてしまう可能性があります。導入時には運用コストも意識した選定が必要不可欠です。
・ メンテナンスのしやすさを重視する
チャットボットは導入時のまま運用できるとは限りません。定期的に意図する回答を行っているか?をチェックする必要があります。
・ 自動回答できない場合の対応方法が決まっているチャットボットを導入する
自動回答できない場合に「サポートスタッフ」や「問い合わせフォーム」へと自動案内する仕組みが搭載されているチャットボットは、運用コストを大幅に削減できます。サポートスタッフに対応を引き継ぐことによって、ユーザーを待たせることなく対応が可能となる上に、問い合わせフォームに情報を入力してもらうことで各担当者への振り分けが容易になるのです。
運用時の失敗防止策
チャットボット導入を失敗させないために、運用時にできる失敗防止策には以下のようなものがあります。
・ 現場のニーズを反映する
どれだけ優れた機能を有したチャットボットでも、現場のニーズに沿わない運用をしてしまえば導入は失敗に終わります。現場でチャットボットを使う社員がどのような事柄をチャットボットに求めているのかを把握することが重要です。
・ 質問内容を想定して回答を入力する
回答内容だけに重きを置いてしまい、質問内容を想定できていないケースが少なくありません。質問内容に対して適切な回答ができるよう入力・調整するのがポイントとなります。
・ 意図する回答を行っているか、定期的にチェックする
チャットボットが意図する回答を行っているかどうか定期的にチェックすることも大切です。回答文だけでなく、「自動回答できない場合に問い合わせフォームに案内を出す」といった動きができているかもチェックしましょう。
チャットボット導入の成功事例

チャットボット導入の失敗防止策を確認した後は、チャットボット導入の成功事例について知っておきましょう。
- チャットボットを導入して業務効率化!問い合わせ総数を前年比20%削減
- 新システム導入に関する問い合わせ対応の自動化を実現!
チャットボット導入の成功事例に共通しているのは、実際の問い合わせ内容にキャッチアップしていることです。社外向けのチャットボットの場合は「FAQ」を活用し、社内向けのチャットボットの場合は「試験導入の際のアンケート結果」を活用しています。
チャットボットと直接やり取りするのはユーザーですので、常にユーザー目線に立つことがチャットボット導入成功の秘訣といえるかもしれません。
※今回はチャットボットツール「チャットディーラー」の成功事例を紹介しています。
成功事例①チャットボットを導入して業務効率化!問い合わせ総数を前年比20%削減
株式会社マクロミル様は、1日約100件の問い合わせに対応するモニタサポート窓口業務に対してチャットディーラーを導入しました。
年に1回登録情報の更新手続きを全モニター様にお願いしていますが、更新手続きに際して「パスワードが分からない」といった問い合わせが増える月があったといいます。しかし、登録情報の更新手続きをモニター様にお願いする前にチャットディーラーを導入することで、更新手続きに関する問い合わせが減り、問い合わせ総数を20%削減することに成功しています。
「パスワードが分からない」といった質問内容は定型化できる問い合わせのため、チャットディーラーの自動回答で自己解決を促すことが可能です。レポート結果から、チャットディーラー上だけでよく閲覧される問い合わせ項目があるなど、窓口に質問するほどでもないが、モニター様が疑問に感じていることを自己解決する場として利用されていることも分かっています。
成功事例②新システム導入に関する問い合わせ対応の自動化を実現!
船舶用電子機器総合メーカーである古野電気株式会社様は、新たな経費精算システム導入にともなう社内問い合わせ増加をおさえるべく、チャットディーラーの導入を決定しました。
チャットディーラーに設定するシナリオには「システム試験導入時のアンケート結果」などを反映させることで、全社展開時に増えていたであろう問い合わせ件数をおさえることに成功しています。
徐々に新システムに慣れていくにつれて利用者は減っていきますが、利用頻度の低い社員や新入社員にはいつでも自己解決できるツールとして重宝されます。あえてシステム導入の目的を「新システム導入に関する問い合わせ増加の抑制」だけに絞ったことも成功に繋がった要因と考えられます。
まとめ
チャットディーラーはWebサイトや社内ポータルなどにチャットウィンドウを設置して、問い合わせ対応を行うことのできるチャットボットツールです。
社外向け・社内向け両方の問い合わせに対応でき、返信を待つユーザーに迅速な回答を送ることができます。自動回答できない問い合わせに対しては「問い合わせフォームへの案内」を送信するなど、ユーザーを待たせないシステム設計が特徴のチャットツールです。
チャットボットが失敗する理由と失敗防止策を知った上で、自社に合ったチャットボット・チャットツールを導入しましょう。
▼チャットディーラーの詳細ページ
https://www.chatdealer.jp/
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この記事を書いた人
ボットマガジン編集部
ボットマガジン編集部です!チャットボットについて、タイムリーでお役立ちな情報をお届けします。