企業の情シスが他業務と兼務している場合の問題点と対策とは?
「情シス」とは、情報システム部を省略して呼ぶ言葉です。企業には、社内に情報システム部を有するところと、とくに部署を設けずに他業務と兼務させているところがあります。
このうち情シスの仕事を他業務と兼務しているケースでは、さまざまな問題が発生するといわれています。情シスを専業とせず、他業務と兼務することで起こる問題には、どのようなものがあるのでしょうか?
今回は、企業の情シスが他業務と兼務する場合の問題点を、対策とあわせてご紹介します。課題解決に役立つツールも紹介しますので、ぜひご参考にしてください。
問い合わせ業務とは?
情報システム部を略した「情シス」は、企業にとって不可欠な存在といわれています。情シスの仕事は、主に3つあります。
①社内システムの運用と保守
社内の基幹システムや関連機器・ツールの運用と保守が、情シスのメインの仕事です。社内システムにトラブルが発生したときの対応や、新しいシステムやIT機器の導入が決まったときの環境整備などをおこないます。
②社内インフラの構築と運用
社内にシステムやツールを導入する際のインフラ構築も、情シスの大切な仕事です。インフラとは、サーバーやネット環境などを指します。たとえば社内にサーバーを設置したり、部署に新しくIT機器やパソコンを導入したときにインターネット回線を接続したりするのも情シスの役割です。
③社内問い合わせ対応
情シスは、社内から寄せられるシステムやIT機器に関する問い合わせへの対応も求められます。世界的にデジタル化が進んではいるものの、すべての人がITスキルに長けているわけではありません。そのため新しくシステムなどが導入されたときはもちろん、普段でもツールやパソコンに関する質問は多く寄せられます。
近年は社内問い合わせ対応に割かれる時間が多く、本来の社内システムの運用・保守や社内インフラの整備にかける時間が減っていることが、情シス共通の問題となっています。
情シス業務を本業と兼務する人が増加している
企業において重要な役割を担う情シスですが、情報システム部として独立した部署を抱える企業はそれほど多くありません。情報システム部のない企業では、特定の人が情シス業務を本業と兼務していることがほとんどで、近年増加傾向にあるといわれています。
情シス業務を独立させられず、兼務させる企業が増えているのには、いくつか理由があります。そもそも情シスは、コストはかかるものの売上を生み出さない「コストセンター」とみなされることが多く、中小企業ではなかなか人員を拡大したがらない傾向があります。また、独立させようと思っても、適切な人材を見つけられないこともあるようです。
その一方、近年あらゆるソフトウェアのクラウド化が進み、デジタルトランスフォーメーション(DX)の波に乗り遅れないことを、情シスの命題としている企業も少なくありません。リモートワークの拡大に付随する通信環境の整備も情シスの仕事とされています。
業務は拡大しつづけるため人材を投入したい一方、コストはかけたくないとの企業の思惑から、社内でITに強いとされる人が、情シス業務を本業と兼務させられるケースが増加しているのです。
他業務との兼務で情シスを担当することの問題点とは?
情シスを他業務と兼務することには、以下のような問題点があります。
- 業務状況次第ではいずれかが疎かになる可能性がある
- 対応品質が低下する恐れ
- 負荷が集中し労働環境が悪化
- ITスキルを伸ばせない
それぞれどういった内容かを解説します。
業務状況次第ではいずれかが疎かになる可能性がある
本業と情シスを兼務する場合、業務の状況次第では、いずれかが疎かになってしまう可能性があります。
たとえば総務と情シスを兼務している人の場合、基幹システムにトラブルが発生したとなると、どうしてもそちらを優先せざるを得なくなります。基幹システムの問題を放置していると、企業活動全体に支障をきたす可能性があるためです。
しかしそうすると、本来自分が抱えている総務の業務を進めることができません。かといって業務量が減るわけでもなく、結果的に形式的に業務をこなすだけになってしまうことがあるのです。
対応品質が低下する恐れ
本来の業務と情シスの業務を兼務していると、いずれの業務に関しても対応品質が低下する可能性があります。
先述したとおり、情シスの業務を兼務しているからといって、本業の業務量が減るわけではありません。どちらかの業務を優先すると、もう片方の業務の対応が遅れがちになってしまいます。
たとえばパソコンのトラブル解決の依頼と、総務の書類処理の納期が重なってしまった場合、どちらかの対応を後回しにするしかありません。結果的にいずれかの対応を依頼した人に不満を残すことになってしまうのも、情シスが業務を兼務する問題のひとつです。
負荷が集中し労働環境が悪化
情シスの業務を兼務している人に過重な負荷がかかり、労働環境が悪化することも課題です。
情シスを兼務している人が、自分が抱える本来の業務と、兼務している情シスの仕事をすべてこなそうと思うと時間が足りず、残業や休日出勤が多く発生する可能性が高くなります。
責任感が強い人ほどそういった傾向があるため、兼務している人は過労気味となり、精神的・肉体的に疲弊していってしまいます。やがて限界を超えると、退職を考えるようになることもあるので注意が必要です。
ITスキルを伸ばせない
他業務と兼務している場合、情シスの仕事にだけ能力と労力を投下できないため、ITスキルを延ばせないことも問題です。
IT技術や通信技術の進歩は目覚ましく、日々勉強が必要です。毎日情シスの仕事だけできれば、学習しつつ実践を積み、ITスキルを伸ばしていけます。しかし他業務と兼務しているとそちらの業務もこなす必要があるため、自分のスキル向上にかける時間がありません。
情シス担当者のITスキルが向上しなければ、やがてトラブルに対応できなくなるといった問題に発展する可能性もあるでしょう。
兼務の情シス担当者に必要な負担軽減策とは?
兼務の情シス担当者の負担を軽減する対策としては、以下のようなものが考えられます。
- チャットボットで問い合わせ対応を自動化する
- FAQやマニュアルを充実させる
- IT業務をアウトソーシングする
それぞれ具体的にご紹介します。
チャットボットで問い合わせ対応を自動化する
チャットボットを導入し、問い合わせ対応の一部を自動化すれば、情シス兼務者の負担を大きく軽減できるようになります。
チャットボットは、チャット(chat=会話)とロボット(robot)を組み合わせた言葉で、自動応答システムのことです。チャットボットには、シナリオ型とAI型があります。シナリオ型は、あらかじめ設定されたシナリオに沿ってユーザーを誘導し、回答へと導く仕組みです。ユーザーは、テキスト入力や選択肢を選ぶことで質問を行います。
対してAI型は、ユーザーが入力した質問文をもとにAIが内容を解釈し、適切な回答を返すタイプです。
「社内問い合わせ対応」は情シスの仕事のひとつですが、必ずしも情シスが対応するべき質問ばかりが寄せられるわけではありません。「〇〇の手順を教えてほしい」「3番に赤いランプがついているのはどうすればいいのか」といった「自分でマニュアルなどを調べればわかる」問題は、チャットボットに回答を任せれば、情シスの仕事を大きく軽減することが可能です。
FAQやマニュアルを充実させる
情シスの問い合わせ対応の負担を減らすには、チャットボット以外にもFAQやマニュアルを充実させる方法があります。
IT機器やシステムにトラブルが生じ、実際にシステムを操作して解決しなければならないときもあります。その一方、FAQやマニュアルを調べることで、社員や顧客が自ら解決できるケースも少なくないはずです。
しかし用意されているFAQやマニュアルが、検索性が低かったり、分厚くて読む気がなくなるようなものであれば、「情シスに聞いたほうが早い」と考えても仕方ありません。
情シスの負担を軽減するのであれば、よく聞かれる質問だけをまとめてトップに表示する、検索性を高めるなど、FAQやマニュアルを充実させる必要があります。誰もが使いやすいFAQやマニュアルになれば、顧客や社員は自己解決できるようになるため、満足度を高めることにもつながります。
IT業務をアウトソーシングする
情シスが担当しているIT業務のうち、アウトソーシングできるものは任せてしまうと業務負担を軽減できます。
たとえば毎月必ずおこなうデータの出入力や集計、分析などの定型業務をアウトソーシングすると、情シス担当者はより専門性の高い業務にリソースを割けるようになります。社員のメールアドレスの管理やアカウント作成などの簡単な業務を依頼してもいいでしょう。また、トラブル発生時の一次対応をアウトソーシングに任せることでも、業務削減を実現できます。
そうすることで情シスを兼務している担当者の負担を軽減すれば、情シスの業務のなかでもより重要な案件に注力できるようになるのです。
最初の取り組みとしておすすめ「チャットディーラーAI」
情シスの負担を軽減する取り組みを始めるなら、社内向けに開発されたチャットボットの「チャットディーラーAI」がおすすめです。
チャットディーラーAIとは?
チャットディーラーAIとは、社内利用に特化したチャットボットです。社内用テンプレートを400種類以上搭載しているため、質問テンプレートに回答を登録するだけですぐに導入できます。Q&Aを登録するときも、Excel(CSV)データを用意するだけで、一括登録できるので簡単です。
チャットディーラーAIでは、画像やマニュアルのファイル添付もできることから、テキストの回答だけでは理解が難しいような内容も、社員が自力で解決できるようになります。ビジネスチャットとの連携も可能で、普段使い慣れたインターフェース上でチャットボットを利用できるため、違和感なく使い始められることもメリットです。
チャットディーラーAIは「学習済み」で負担が小さい
チャットディーラーAIは、「学習済み」であることもメリットです。学習データを蓄積させたりデータをチューニングしたりする手間が小さく済みます。
さらに専属担当が初期導入から効果検証まで徹底的に支援してくれるので、他業務を兼務している情シス担当者でも、多くのリソースを割くことなく導入を進められるでしょう。
まとめ
多くの企業では、情シスをコストセンターとみなし、人的・金銭的リソースをかけない傾向があります。そのため他業務についているITに詳しい人材を情シス担当者とし、兼務させていることが多いのが実情です。
しかしIT化が進み、企業として生き残るためにはDXにも力を入れなければならず、情シスの業務は増える一方です。他業務を兼務している情シス担当者の負担は重く、放置していると優秀な人材の退職にもつながりかねません。このような問題を解消するには、問い合わせ業務やIT業務を軽減するために、ツールの導入や業務のアウトソーシングを検討する必要があります。
ツールを導入するのであれば、社内用に開発されたチャットディーラーAIがおすすめです。学習済みAIが搭載されているので、兼務している情シスでも比較的負担なく導入を進められます。チャットディーラーAIに興味のある方は、ぜひ以下から資料のダウンロードをご検討ください。
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この記事を書いた人
ボットマガジン編集部
ボットマガジン編集部です!チャットボットについて、タイムリーでお役立ちな情報をお届けします。