チャットボットの効果とは?導入前と導入後で必要なことや注意点・活用シーンを解説

昨今注目されているチャットボットですが、「実際に導入したら効果あるの?」「チャットボットを作るにあたって大切なことって何?」と疑問に思う人もいるのではないでしょうか?
チャットボットは今や事業活動を支える一端になりつつあり、導入を検討する企業が増加中です。
そこで今回は、チャットボットが必要とされる理由や実際の活用シーン、運用上の注意点について解説します。
チャットボットが必要とされる理由

チャットボットとは大きく分けてルールベース型とAI(人工知能)型の2つに分かれます。ルールベース型は、定型的な応答をルールに従って自動的に応答するのが特徴です。ユーザーから来るであろう質問とそれに紐づく回答をあらかじめ想定して用意しておく必要があり、この質問と回答のことを「シナリオ」と呼びます。
一方のAI型は、FAQ(よくある質問)や会話履歴などのデータを集積・学習した後にAIによって最適な回答を導き出す「学習型」応答システムです。利用者が多ければ多いほど会話のデータ量も増えるので、より自然な会話ができるようになります。どちらのチャットボットもユーザーとの対話を重ねながらユーザーニーズを満たす回答を提供するシステムです。
このようなチャットボットの普及が進む背景には、以下2つの理由があります。
・人手不足解消、業務効率化推進
・AI(人工知能)技術の進化
少子高齢化が急速に進む現代では、民間企業や自治体に関係なく深刻な人手不足に悩まされており、個人の生産性を向上させることが課題となっています。そこで、これまで人間が行ってきた業務の一部をチャットボットに担わせて、労働力不足の解消に役立てようとする狙いがあります。
近年、チャットボットの性能は日進月歩の勢いで向上しています。その性能を支えるのが「自然言語処理」という技術です。自然言語処理とは人間が日常的に使う言語をコンピューターに処理させる技術です。以前までは簡単な質問にしか回答できない性能でしたが、現在では技術の発展により、「問い合わせ」「案内」など、あいまいな要素の多い「会話」というコミュニケーションが成り立つようになりました。
このようにチャットボットは着実な進化を遂げているため、今後もさらに社会課題の解決に貢献すると注目を集めています。
チャットボットの導入効果

チャットボットを活用する効果は、企業とユーザーとで分けて考えることができます。
企業のメリットとしては、従来人間が電話やメールで行っていた業務をチャットボットに代替えできることです。それにより、従業員のモチベーションアップや経費削減が可能になります。一方、ユーザーのメリットは、問い合わせといえば電話やメールが主体でしたが、チャットボットの登場により気軽に質問や相談ができる点が大きいでしょう。
このようにチャットボットは企業とユーザー双方にメリットが期待できる非常に便利なツールなのです。
企業の効果
企業の効果は以下のようなことが考えられます。
・業務効率の向上につながる
人間が行う電話による問い合わせの場合、原則として1人1回線ずつの対応となります。一方、チャットボットであれば同時に複数の問い合わせに応じられるので、対応の品質を一定に保つことも可能です。人間であれば回答にバラつきが出るというリスクがあり、トラブルに発展することも考えられますが、チャットボットにはその心配がありません。よって、チャットボットの導入は業務における人的・工数的コストの削減に大きく貢献するといえるでしょう。
・問い合わせ内容を定量的に把握できる
チャットボットにはユーザーからのリアルな声が蓄積されるので、顧客対応だけでなく企業のマーケティング業務に役立てることができます。なぜなら、電話やメールよりも気軽に使えるツールなため、ユーザーの声を集めやすいからです。以前は届きづらかった意見や要望なども素早く届くようになるため、データ量が多くなるほどユーザーニーズの把握が可能になり、サービス内容の改善につながります。
・コンバージョン(CVR改善)につながる
チャットボットがユーザーからの質問にすぐに応答できると、ユーザーのWebサイトからの離脱を防げると考えられます。ユーザーは疑問が解消できなければ別のWebサイトへ移動してしまうため、レスポンスの速さは重要です。また、これまで取りこぼしてきたユーザー層をも商品購入やサービス申し込みにつなげることも可能です。 電話での問い合わせでは「契約させられるのでは」という不安がつきまとうものです。しかし、チャットボットは気軽に質問できるという特徴があるため、ユーザーの心理的負担を減らすことができます。そして、ユーザーとの接点が増えれば、購入・申し込みを検討中の段階にあっても成約に至る可能性が高まります。
ユーザーの効果
ユーザーの効果は以下のようなことが考えられます。
・業務時間外でも問い合わせできる
企業の営業時間を気にすることなく、24時間365日問い合わせを可能にします。夜間帯にWebサイトを閲覧するユーザーもいます。このようなユーザーにとってチャットボットによる問い合わせ対応は大変有効です。時間を気にしなくてもよいことはユーザーにとって快適な環境であると同時に安心感を与えます。
・待ち時間が削減できる
電話やメールなどは返事を待つ時間がどうしても発生してしまいます。しかしチャットボットはその場ですぐに回答をもらえるので、待ち時間を気にする必要がありません。回答が出るまでの時間が長引くほどユーザーの顧客満足度は下がる可能性が高まります。ユーザーにとってコミュニケーションスピードは企業に対する評価指標の一つと言えるでしょう。
・問い合わせのハードルを下げる
ユーザーにとって気軽にツールを扱えることは重要です。ユーザーの中には電話に苦手意識がある人もいます。「営業時間内にかけなれれば」と焦ったり、電話を面倒に感じたりする人もいるでしょう。その点、チャットボットは電話の相手や時間などを気にする必要がないので、気軽に使えるツールであると言えます。
チャットボットの活用シーン

チャットボットは主に以下のようなシーンで活用されています。
・社内の問い合わせ
よくある問い合わせを自動化したり、社員の資料探しを代行したりする目的で利用されるケースが多い傾向です。特に総務、人事、情報システム関連の部門は毎日同じような質問の対応に追われるため、チャットボットの活用により業務負担の軽減につながります。また、電子マニュアルやFAQなどで情報を探すよりもすぐに知りたい情報にたどり着けるといったメリットもあります。
・カスタマー業務
問い合わせの多い質問をチャットボットに回答させると、オペレーターの業務を軽減でき、高度な質問に対応できる時間を増やせます。また、対応を急ぐ要件ではユーザーを待たせてはいけなので、すぐに対応することで顧客満足度を上げる効果もあります。企業の中では主にユーザーの問い合わせ業務を行うコールセンターやカスタマーセンターなどの部門で活用されています。
・Web問い合わせ
リアル店舗よりもECサイトでお買い物するユーザーが増加する中、「Web接客」の必要性も問われています。Web接客とはリアル店舗で店員が行うことをチャットボットが代替する接客手法です。チャットボットをWeb接客ツールとして利用するとユーザーごとの属性や行動データに合わせた個別のマーケティングを行えるため、機会損失の防止や顧客満足度の向上につながります。また、サポートスタッフの負担を軽減する効果もあります。チャットボットがよくある問い合わせに自動で対応するので有人対応の頻度を減らすことができます。
【チャットディーラーの事例】
弊社のチャットディーラーをWeb接客ツールとして導入された企業様の中にも、導入後の効果として注文件数が20%アップし、さらに問い合わせ対応件数が20%削減したというケースがあります。Web接客には想像を超える効果をもたらす威力があることがわかる一例です。詳しくはぜひこちらをご覧ください。
なお、以下のリンクからも多数のチャットボットの活用事例をご覧いただけます。
チャットディーラー導入事例
チャットボット導入時の注意点

チャットボットはもはや効果しかないように見えますが、注意すべき点もあることを理解しておきましょう。
チャットボットの開発には費用がかかります。開発費とそれ関わる人的コストや工数コストも付随してきます。さらに導入後には改善点を見つけて更新していく作業も発生します。よりよいチャットボットにするには費用やさまざまなコストにも気を配らなければいけません。
費用をかけながら、適切に改善を続ければチャットボットの精度は上がります。しかし、どうしても現在の技術ではできないことがあります。それはどんなに優良なチャットボットでも回答できない質問が発生してしまうことです。そのため、チャットボットを手放しで運用できるというのは現状、難しいことも考慮しておかなければいけません。
導入・運用コストがかかる
チャットボットの導入や運用面においてさまざまな費用やコストが発生します。
ルールベース型であれば、想定した回答をまとめた「シナリオ」の構築とシミュレーション作業があり、またAI型はFAQを整理してデータを投入した後に長期的にPDCAを回す必要があります。
ルールベース型、AI型ともに初期設定・学習データ作成・サポート・デザインなどにおいて費用が発生します。特にAI型はルールベース型よりも高精度なデータを搭載する必要があるため、その分費用が割高になります。したがって、人的リソースや工数的なコストも含めて、導入の検討をしなければいけません。
回答できない質問がある
チャットボットはユーザーのすべての質問に回答できるわけではありません。あくまでも事前にデータベースにインプットした情報を状況に応じて提示するという仕組みです。
AI型のチャットボットであっても事前にインプットされていない予期しない質問に対しては適切な回答はできません。また、AI型は機能的な精度が高いとはいえ、間違えた回答をしてしまっても自分でデータを修正できません。
したがって、回答精度を上げるためには、ある程度有人によるメンテナンスや情報の更新を行う必要があります。
チャットボット導入に適さないケース

チャットボットはあらゆる企業に導入できそうですが、実際には以下のような導入に不向きなケースもあります。
・毎回、回答する内容が異なる
医療や技術系など専門的分野では、個別の回答が必要になるケースが多い傾向です。ユーザーごとで抱える疑問や悩みが大きく異なる場合、チャットボットにインプットした情報だけでは幅広い対応ができません。このようにユーザーに個別の対応が必要であれば、オペレーターやヘルプデスクなどの有人対応が最適でしょう。
・サイトの閲覧数、問い合わせ数が少ない
チャットボットが使用される回数が減るので、データを大量に蓄積できません。データがなければ精度高いチャットボットを構築できないので、結果的に費用対効果が出にくくなります。
どのような対策を行えば費用対効果を高められるかというのは独自の判断は難しいので、詳しくはチャットボットを提供するメーカーに問い合わせてみるとよいでしょう。
チャットボットを効果的に活用するための5つの「明確化」

効果的にチャットボットを活用するには、導入前に明確にしておくことがあります。具体的には以下の5点について押さえておくと導入後の運用にも役立ちます。
・導入目的の明確化
・チャットボットに任せる範囲を明確化
・管理者の明確化
・ユーザーメリットの明確化
・質問内容の明確化
導入目的を明確化
そもそもチャットボットをなぜ導入するのかという方向性を明確にさせておくべきです。例えば「顧客満足度」や「問い合わせ対応の効率化」など自社が抱える課題に合わせた目標設定をしましょう。その上で目標にどれだけ近づけるか十分に検討することが大切です。また、どのようなユーザーがチャットボットを利用するのかも明確化して、適切なチャットボットを選ぶことが重要です。
なお、チャットボット導入の検討が難しい場合はチャットボットを販売する会社に相談しましょう。弊社の「Chat Dealer」では、導入から運用まで手厚くサポートさせていただきます。ぜひお気軽にお問合せください。
チャットボットに任せる範囲を明確化
ユーザーからの問い合わせは対応できる内容とできない内容があります。できない内容に対してはオペレーターによる有人対応が不可欠です。
チャットボットに任せる業務範囲やオペレーターによる対応、チャットから電話対応への切り替えのタイミングなど運用ルールをあらかじめ決めておくことが重要です。ユーザーを困惑させるような状況に置かないように体制を整えておかなければなりません。
管理者の明確化
チャットボットは導入して終わりでなく、動作確認や情報更新、トラブル対応などを繰り返しながら改善を行う必要があります。
しかし、改善作業を怠るとチャットボットは回答精度が上がらず、最終的にはユーザーからのクレームになることも考えられます。そのため、チャットボットの状況を把握し、即対応できる専任の管理者が必要となります。
また、社内に専任の管理者が用意できない場合はチャットボットベンダーに運用代行を依頼することも可能です。
ユーザーメリットの明確化
チャットボットはユーザーに利用してもらわないと精度が向上しません。そのため、ユーザーはどんなことをチャットボットに期待しているのかを理解しておく必要があります。
自社の業務改善や問い合わせの負担軽減だけでなく、まずはユーザーにとってのメリットを追求することが優先です。ユーザーの顧客満足を満たした先に自社の目標が達成されると考えることが大切です。
質問内容の明確化
AI型とルールベース型のチャットボット、どちらであっても質問、そして質問に紐づく回答の準備が必要です。
AI型とルールベース型は構造こそ異なりますが、ベースとなる質問および関連する回答が必要な点は同じです。そのため、自社サービスを利用するユーザーが何に対して疑問や不安を抱くのかを精査する必要があります。
ユーザーが最も嫌うのは的外れな回答や回答までの時間が長引くことです。ユーザーに利用されないチャットボットでは何のために作ったのかわかりません。そこで、重要になってくるのがユーザーニーズにマッチした質問と簡潔な回答です。質問や回答作成は調査が必要であるため時間がかかりますが、過去に寄せられた意見や問い合わせの内容を精査し、自社のユーザーに喜ばれるチャットボットにしましょう。
チャットボット導入後の効果測定

チャットボット導入後は効果がどのくらいあったのかを確認します。これを効果測定といいます。効果測定にはさまざまな指標を使います。チャットボットの効果測定でよく利用される指標は以下の通りです。
・チャットボットの利用率
・チャットボットの導入前後の有人問い合わせ対応数
・社員の勤務時間の変動
上記のような指標を使い、導入後の数値が導入前と比べてどう変化したのか検証します。検証を通じて運用の見直しを測り、さらなる効果を上げていきます。
チャットボットは自社の状況や目的に合わせて適切な運用を行えば高い効果を得られるツールです。しかし、導入しても「うまく活用できない」という理由で利用をやめてしまう企業があります。このような企業はチャットボットを導入すれば全ての問い合わせに応答できると考える傾向があります。
より回答精度の高いチャットボットするには、導入後の長期的で手厚いメンテナンスが必要です。とはいえメンテナンスには正しい知識と高度な技術を要します。そこでチャットボットのことを知り尽くした専用メーカーのアドバイスを取り入れながら運用することが最短かつ最速な方法だといえます。
まとめ
人的コストを下げ、顧客満足度を高める効果が期待できるチャットボットは、今後さらに企業に求められるツールになることは間違えありません。今後自社の業務効率化を考えているのであれば、まずはチャットボットの導入を検討してみてはいかがでしょうか?
「チャットボットについてもっと詳しく知りたい」「実際の導入事例をみてみたい」という場合は、ぜひ一度チャットディーラーまでご相談ください。料金表もご用意しておりますので、お気軽にダウンロードいただけます。
▼チャットディーラーの詳細ページ
https://www.chatdealer.jp/
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この記事を書いた人
ボットマガジン編集部
ボットマガジン編集部です!チャットボットについて、タイムリーでお役立ちな情報をお届けします。