教育にチャットボットを導入するメリットは?利用例や運用のポイントもご紹介

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教育に携わる方々は、毎年進学シーズン前後にとても仕事量が増え、「またこの季節が来たか」「何かいい方法はないのか」と解決策を探っておられるかもしれませんね。
そして、できれば本質的な仕事に集中したいと思われることもありませんか?

そこで気になるのがチャットボットかもしれません。

  • チャットボットが教育現場でどう役立つの?
  • チャットボットを導入するとしても、どんなことができるの?

チャットボットの詳細を知りたいと同時に、このような疑問も感じておられるでしょう。

人手不足で忙しいだけでなく、2020年には「新学習指導要領」にいわゆるアクティブラーニングなどが含まれていることもあり、教育現場ではこれまでにない深い悩みを抱えておられるでしょう。

この記事では、

  • 教育の現場にチャットボットを導入するメリット
  • チャットボットの具体的活用例
  • チャットボットを運用するために知っておきたいこと

について解説します。

どうぞ、5分ほど都合をつけて最後までお読みください。
読み終える頃には、「チャットボットを導入すべきかどうか」がおわかりいただけることでしょう。

この記事の目次

    学生のサポート業務にチャットボットを

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    学生は、あらゆる時もサポートを必要としています。
    入試前から試験当日、試験をパスした後の入学から学生生活が安定するまでの期間は、特に手助けを求めています。

    このようなとき、チャットボットならどのような対応ができるのでしょうか。
    チャットボットを導入すれば、どういった点でメリット見出せるのかご説明します。

    入試前から入学後、学生や親御さんのサポートに

    先でも少し触れたとおり、入学前後の時期には学生・保護者からの問い合わせ・質問が集中します。多くの問い合わせに的確に対応することは困難ですが、学生・保護者にとっては非常に重要な時期です。この時期にしっかりサポートされていないと感じると、学生が他の教育機関に流れていってしまうケースもあるため、教育機関にとっては頭を悩ませる課題です。

    チャットボットを事前に導入しておけば、定型的な質問や頻度の高い問い合わせを自動対応できるため、職員の不足や業務負荷を大幅に軽減できます。対応品質の低下により学生・保護者の心証を悪くすることもないでしょう。

    さらに、現実として、「学生のサポートを怠っている印象は、学生の中退の原因になりうる」という調査結果もあります。入学後の生活においても、「チャットボットでいつでもどこでも的確に情報を入手できる」ということを公式サイト等で示しておくと、学生や保護者の安心に繋げることができます。

    このように学生課の窓口へ寄せられる問い合わせや質問への回答を、いつでもどこでもアクセスできるチャットボットに任せれば、学生・保護者の安心感・満足感を与えるだけでなく、教育機関の信頼性・ブランド力向上にもつなげることができます。

    日常的な連絡事項もチャットボットで

    学生にとって、学生生活が始まっても学校からの情報にすぐにアクセスできるチャットボットはとても頼りになる存在です。
    特に専門学校や大学など高等教育の場合、自分でバイトをしながら生活費を工面しつつ通学している多忙な学生もいるからです。

    芝浦工業大学が導入している「SIT-BOT」は、学生をサポートするチャットボットの事例として公開されています。
    芝浦工業大学がSIT-BOTで解決したかった課題は、次のとおりです。

    • 学生の利便性の向上
    • 職員の窓口業務の負荷軽減

    SIT-BOTを導入することで、窓口対応数(1日あたり)はほぼ半数になりました。
    また、画面の「学バスの時間を調べる」をタップすれば、最寄り駅と大宮キャンパスをつなぐ大学シャトルバスと、接続電車の発車の時刻情報を素早く得られるようになっています。

    さらには、学修時間を簡単に入力できますし、チャット画面の「ダッシュボードへアクセス」をタップすることで、いつでも振り返りができます。
    このような機能は、大学職員の「働き方改革」に対応するだけでなく、下記のように学生からの大きな評価を得ることにつながっています。

    • 学生課に問い合わせをすることが減り、ラクになった
    • 統一された情報を得られるうえ、たらい回しされることもなくなった

    SIT-BOTに対する学生の満足度は、81%にも上っています。

    オンライン学習のサポート

    教育機関においては、新型コロナウイルス感染拡大によりオンライン学習のニーズが急激に高まっています。

    自宅にいながらリモートで実施できるオンライン学習は、利便性・効率性において優れている反面、システムの使い方や学習方法についての疑問が障壁となるケースが多く見られます。都度担当者がサポートを行っていたのではオンライン学習の推進が困難となり、またオンライン学習の実施自体が成立しない場合もあります。

    チャットボットであれば、オンライン学習に伴う疑問点をインプットしていれば、学生は疑問点が生じた際にいつでも手軽にチャットボットを利用して解決することが可能です。

    また、オンライン学習の出題や解説をチャットボットに担当させたり、モチベーション維持のアプローチを行わせたりといった、学習サポートとして活用することもできます。

    学生のサポート目的でのチャットボット導入事例

    教育機関では、在学生や入学希望者から寄せられるさまざまな問い合わせに対応する必要があります。しかし、窓口を設けてスタッフが対応していると、学生の人数・問い合わせ件数が多い場合には大きな負担となります。

    いくつかの教育機関では、既にチャットボットを導入して学生のサポートや業務負荷軽減に役立てている事例があります。ここでは、ぜひ参考にしておきたい教育機関でのチャットボット活用事例についてご紹介します。

    獨協大学の事例

    獨協大学では、学生からの問い合わせの多さが課題となっていましたが、コロナ禍で問い合わせ件数はさらに増加。現状を打破すべく、チャットボット(チャットディーラー)導入による学生への支援体制強化と窓口の業務負荷軽減に取り組みます。

    導入後の成果としては、窓口に寄せられる問い合わせ件数は1/3程度にまで減少。学生の利用状況や課題解決の状況も良好で、チャットボットに改善を重ねることでさらに問い合わせ件数は減り続けています。

    獨協大学では、学生だけでなく職員向けの問い合わせ対応にもチャットボットを活用しており、大幅な業務効率化・業務負荷軽減・コスト低減に成功しています。

    獨協大学の事例は、弊社の「チャットディーラー」を活用した事例となります。導入・運用のインタビュー記事もありますので、ぜひ併せてご参考下さい。

    駒沢大学の事例

    大学の窓口には、在学中の学生から履修科目の登録方法・試験概要・成績評価方法といったさまざまな問い合わせが寄せられてきます。

    駒澤大学では、このような問い合わせに対応すべく、大学の公式LINEアカウントにQ&A形式のチャットボットを導入。学生が大学生活に関する疑問をチャットボットを操作することで、自身で簡単に解決することができる体制を構築しています。

    LINEは大学生のような若年層のユーザーが非常に多く、チャットボットは24時間365日問い合わせに対応できるため、学生は時間・場所に関わらず気になった疑問を解決することができます。

    学生生活で生じる問い合わせは日々変化し続けますが、チャットボットであればチューニングを施すことで柔軟に対応することが可能です。駒澤大学の事例は学生にとっても大学側にとっても便利で効率のよい好例と言えるでしょう。

    法政大学の事例

    法政大学では、受験志望者を対象に入試情報サイトを立ち上げて、より多くの受験生に充実した情報を提供する取り組みを行っていました。ところが、情報量の充実に尽力するうちにコンテンツ数が増えすぎてしまい、サイト訪問者が目的の情報に辿り着き難いという課題が発生してしまいます。

    法政大学は受験生がスムーズに情報に辿り着けるように、入試情報サイトに対話型のチャットボットを設置。受験生がチャットボットと対話することで、一人ひとりに合わせた最適なコンテンツの表示・提供ができる環境を実現しました。

    より多くの受験生に大学の情報を提供できるだけでなく、同じような内容の問い合わせ電話件数も減少。チャットボットの対話データから見いだしたデータを基に、ニーズに応えられるコンテンツを更に充実させる取り組みを行っています。

    ホームページにチャットを設置?

    教育そのものにもチャットボットは有益

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    2020年教育改革に対応するため、教育業界ではオンラインデジタル教材が続々と増えています。
    アクティブラーニングも推奨されていることから、AIチャットボットは今後もどんどん導入されていくことでしょう。

    具体的に、学び手のためになるチャットボットとはどのようなものなのでしょうか。

    「主体的な学び」「対話的な学び」が求められる

    まず、教育改革への対応には自ら積極的に学ぶ環境を整えることが大事です。
    通常の対面教育だけでなく、オンライン学習、デジタル教材にもいえることですが、教師/講師の「言いっぱなし」は、学び手にとって主体的で対話的な学びとはならないでしょう。

    この点、チャットボットを導入すれば、授業中にわからなかった点や疑問に思った点を自由に発言しやすくなります。
    特に引っ込み思案な学び手ほど、その恩恵にあずかれるというものです。
    従来の授業方法ならば挙手できなかった層でも、デジタル端末にチャットボットがあれば比較的気軽に発言できるでしょう。

    これまでは学び手への個々の対応は難しかったはずですが、チャットボットを介することで教える側も個々人のレベルに応じた指導ができますし、次のステップにつなげる教え方もできるはずです。
    つまり、主体的かつ対話的な学びを促進することができるのです。

    読解力と思考力を向上させるためには、対話が必要

    教育(学び)の基本は読解力と思考力ですが、これを促すためにもチャットボットを積極的に活用して対話する仕組みを整えましょう。
    文章を読み解くことと、それをベースに自分なりの考えを組み立てることが学びの大前提で、これを持続させるためには、飽きさせない工夫も重要です。

    たとえば、オンライン教材(デジタル教材)にはAIチャットボットが搭載されているものが多くあります。
    中でも自宅学習を前提としたものは、「飽きない」「楽しい」を体験させることが必要です。
    学ぶ楽しさがなければ、すぐに学習から離脱してしまうかもしれないからです。

    この点に関して、AIチャットボットは「タイミングを見極め学び手に話しかける」「ボタンをタップされたら科目ごとの雑学クイズを出題する」といったアクションで飽きない学習を促します。

    この「対話」は飽きさせない工夫であると同時に、読解力と思考力を刺激するものとなるでしょう。

    教育役としてのチャットボットのメリット

    教育機関におけるチャットボット活用は、学生生活の問い合わせ対応・サポートだけでなく、オンライン教育において質疑応答を担当させるなど、教育的役割でも活用されています。

    ここでは、チャットボットを教育的役割で活用する場合のメリットについてご紹介します。教育機関におけるチャットボットの特性について理解を深めるためにも、ぜひ参考にしてみて下さい。

    些細な質問がしやすい

    機械が相手となるチャットボットによる教育は、生身の教育者よりも気軽に話したり質問したりしやすい傾向があります。

    学生が教育者に質問する内容には、基本的すぎることやあまりに些細なことなど、対面だと質問を躊躇する内容もあります。質問するのが恥ずかしい内容が含まれる場合もあります。また、コミュニケーションが得意な学生・苦手な学生など学生の性格もさまざまです。

    生身の教育者への質問を躊躇するケースが多いと、学生が課題や疑問点を解決しないまま次へ進んでしまい、教育・学習の効果は低下してしまいます。

    学生の性格や質問内容に関わらず、心理的抵抗を感じずに気軽に質問できるチャットボットは、課題や疑問点を解決したい学生にも教育側である教育機関にもメリットが大きいと言えるでしょう。

    24時間いつでも利用できる

    チャットボットは、人による対応とは異なり24時間いつでも利用することができます。そのため、教育機関の対応時間外においても、学生はチャットボットを利用して学習や疑問点を解決できます。

    学生のライフスタイルは、帰宅後に学習を行う学生から、アルバイトで学費を稼ぎながら夜間に学習を行う学生まで、人によってさまざまです。時間に左右されず学習できることは、学生にとっては大きなメリットと言えます。

    教育機関側としても、学生全体の教育効率・教育効果の向上を図ることができます。

    人間とチャットボットで役割分担ができる

    学生から寄せられる質問内容は、簡単な内容から難しい内容まで、難易度やボリュームもさまざまです。すべてを教育者が対応していては非効率であり、負担も大きくなります。

    チャットボットは簡易的・定型的な質疑応答が得意であり、教育者による対面指導は難易度が高く柔軟な対応が可能であるといった性質があります。そのため、チャットボットと教育者で役割分担を行うことで、より多くの学生の質問に対して効率的に対処することが可能です。

    テスト・試験前や難しいテーマの授業を行った後など質問が集中しやすい時期にも、チャットボットと教育者が役割分担を行うことでスムーズな対応が可能となります。

    教育現場でチャットボットを運用するポイント

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    教育の現場でチャットボットを正しく運用するには、どのような点に注意をしなければならないのでしょうか。

    学生(学び手)を日々サポートするチャットボット、学び体験を豊かにするAIチャットボットでは、少々勝手が違います。
    それぞれのチャットボット運用で大事な点について見ていきましょう。

    先手先手でFAQやシナリオを更新する

    学生の日常的なサポートを行うシナリオ型チャットボットでは、想定される質問を先手先手で想定し、FAQ充実を目指さなければなりません。
    必要なときに必要な情報がなければ、利用者は失望してしまいますし、何より利用価値がなくなり、従来の電話対応に逆戻りしてしまうからです。

    上で入学前後やオープンキャンパス前後の問い合わせにも、シナリオ型チャットボットは有効とご説明しました。
    この頃に集中する「よくある質問」は、事前に想定できるものが多くあるはずです。
    事前にFAQ整備し、シナリオを作っておくことで、多くの疑問はすぐに解消されるでしょう。

    また、日常的に学生をサポートする情報も、早めにFAQを準備しておけば、「当日慌ててしまう」という問題を回避できます。
    たとえば、休校(休講)が決まった段階ですぐにFAQを書き換えておくという具合です。

    利用継続を促すため「学びが楽しい経験」を準備する

    学び手のアクティブな学習をサポートするのに適しているAIチャットボットは、学びの楽しさを提供するコンテンツを充実させ、充実感を提供しなければなりません。
    そうすることで、自主性に任せられる学習プログラムからの離脱が予防できます。

    また、受講率や集中度といった計測機能を持ったAIチャットボットを選択することも大事です。
    これらの数値は、習熟度合いのカウントにも役立ちますし、何より「楽しさを提供できているか」の指標にもなるでしょう。
    結果として、学び手へのサポートも容易になり、教育プログラムの見直しにも役立てることができます。

    もしも教育サービスにAIチャットボットを導入するのであれば、十分な計測機能を持つものを選ばなければなりません。

    会話ログデータも有効活用しよう

    チャットボットは、会話ログデータ・対応データを蓄積することができます。データを分析してチャットボットに改善を重ねることで、学生のサポートや問い合わせ対応においても教育的活用シーンにおいても、より上質で精度の高い対応を提供できるようになります。

    教育機関でチャットボットの有用性・効果性を最大限発揮するためにも、チャットボットが蓄積したログ・データは有効活用しましょう。

    まとめ

    今回は、教育とチャットボットの関係、チャットボットを導入するメリットについてご紹介しました。

    人手不足や、高等教育における学生の抱える問題への対応、新しい学習指導要領に則った仕組みの構築…。
    教育の現場には、多くの問題があります。

    チャットボットは、教育現場に多くの解決策を提示してくれます。

    「AIチャットボットまではまだ不要かも」と思われる場合でも、シナリオ型チャットボットは導入の検討に値するでしょう。

    「チャットディーラー」は、シナリオ型チャットボットです。
    日々、学生や親御さんからの問い合わせ対応をしている職員の負担を減らしつつ、均一の回答品質を保つために有益なシナリオ型チャットボットは、業務効率化に役立てていただけるはずです。

    もしもご興味がおありなら、ぜひお問い合わせください。
    資料をお送りすると同時に、活用事例のご紹介や、導入前後のサポート体制のご説明もいたします。

    チャットボットで問い合わせをラクに。
    • 執筆者:ボットマガジン編集部
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      ボットマガジン編集部

      ボットマガジン編集部です!チャットボットについて、タイムリーでお役立ちな情報をお届けします。

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