AIチャットボットとは?シナリオ型との違いや事例まで解説!

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チャットボット(chatbot)とは、「チャット(会話)」と「ボット(ロボット)」を組み合わせた言葉で、人間の音声や入力した文章に対して自動で会話してくれるプログラムのことです。

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株式会社グローバルインフォメーションの市場調査レポートでは、チャットボットのような対話型AIの世界市場規模は、2027年までに156億米ドルに達すると予測されています。(※)

また、2022年12月にはOpenAIが新しい言語モデル「ChatGPT」を公開し、AIチャットボットが自然な文章で回答してくれると話題になっています。

なぜ、チャットボットはここまで注目を集めているのでしょうか。背景から活用ケース、メリットや事例まで詳しく紹介します。

<出典>(※)市場調査レポート: 対話型AIの世界市場:コンポーネント別、技術別、展開タイプ別、
タイプ別、エンドユーザー別、地域別の展望、業界分析および予測(2021年~2027年)

目次

チャットボットが注目されている背景

なぜチャットボットが注目されているのか、主な背景を4つご紹介します。

AI(人工知能)の発達

「AI」とは”artificial intelligence”の頭文字を取った呼称で、人工知能という意味です。

AIは、人工知能によって膨大なデータから規則性や関連性を見つけ出し、自ら判断や予測を行います。近年のAIの発達は著しく、非常に身近なものとなってきました。

AIが発達した背景に、深層学習(ディープラーニング)とビックデータの発展が大きく関わっています。AIは1950年代頃に誕生しましたが、さまざまな問題に直面し、実用化には至りませんでした。しかし、ビックデータと深層学習の発展により大量の情報を抽出し、そのデータをAIに大量に読み込ませて精度を向上させることに成功しました。

働き方改革の影響

働き方改革により大企業だけではなく、中小企業でも社員のワークライフバランスを見直そうという動きが活発になっており、残業時間の削減などの取り組みが活発に行われています。また、少子化の影響で労働人口が減少していることからも、生産性の向上は重大な課題とされています。

生産性の向上をサポートするツールは数多くありますが、チャットボットは顧客対応業務を効率化できる点で普及が進んでいます。顧客対応業務を効率化できると、社員の負担軽減・残業時間の削減につながり、働き方改革の実現の後押しになります。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進

経済産業省が2018年に「デジタルトランスフォーメーションを推進するガイドライン」を発表して以降、特に近年DX推進が企業内で注目を集めています。DXとは、単なるデジタル化ではなく、デジタルを通じてビジネスモデルを変容して競争上の優位を勝ち取ることを指します。

その中でも、チャットボットはDXの足掛かりとして検討されるケースが多いです。なぜなら、DXは通常業務と並行して進める必要があり、チャットボットは問い合わせ対応等の自動化によって時間を生み出すことができるからです。また、システムの入れ替えなどと異なり、既存フローに影響を及ぼさない点もDXの第一歩としての適性があるといえます。

競合他社との差別化

電話やメールでのカスタマーサポートには、営業時間や一度に対応可能なユーザー数に限界があります。問題解決を速やかに果たしたいユーザーに対して、24時間365日対応可能なチャットボットは、ユーザー体験を高め、自社の製品やサービスへの定着率や顧客満足度の向上が期待できます。

インターネットを活用し、ユーザーが自発的に情報を収集できるようになった昨今、対応の遅延は競合他社への流出につながる恐れがあります。

チャットボットの自動応答で、ユーザーがその場で質問の回答を得ることができれば、競合他社へ流出してしまう機会損失のリスクを最低限に抑えることができるのです。

個人・家庭向けのAIチャットボットの浸透

AIチャットボットが普及した背景には、以下のような個人・家庭向けのAIチャットボット製品が普及したことにより、一般的な認知度が高まったことも契機となっています。

  • Siri
    Apple製品に搭載されているバーチャルアシスタント。
  • IBM Watson
    IBMが開発した意思決定支援システム・AIテクノロジー。
  • Amazon Alexa
    Amazonが開発したAIによるバーチャルアシスタント。
  • Googleアシスタント
    音声認識型AIアシスタント。

世界的に知名度の高いグローバル企業が、個人・家庭向けのAI製品をリリースした影響は非常に大きなものがあるでしょう。

このような製品からAIチャットボットの存在を認知したビジネスパーソンが、自社の人手不足・リソース不足・業務効率化といった課題と照らし合わせ、業務用AIチャットボット製品の導入を検討したというケースも多いのではないでしょうか。

チャットボットの活用ケース

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ここからは、チャットボットが活用される2つのケースについてご紹介します。

チャットボットは業種や業界によって様々な活用法がありますが、以下でご紹介する「社内問い合わせ対応(社内ヘルプデスク)」「カスタマーサポート」での利用が代表的です。

社内問い合わせ対応(社内ヘルプデスク)

情報システムや管理部門(総務・人事労務・経理など)の問い合わせ対応として、チャットボットを導入されるケースが増えています。

情シスや総務は少ない人数で問い合わせに対応することが多いほか、担当者がほかの業務と兼任しているケースも多く、いかに社員の自己解決を促し問い合わせ件数の削減を図るかがカギとなっています。
自己解決によって生み出された時間でコア業務に集中できるようになり、結果的に生産性の向上を実現できるのです。

社内問い合わせでのチャットボット活用については、こちらの記事でも解説しています。
ぜひあわせてチェックしてみてください。

カスタマーサポート

カスタマーサポートは、チャットボットの導入が最も進んでいる分野です。ECサイトや企業のサービスサイトに、チャットボットが設置されているのを見たことがあるという方も多いでしょう。

ECサイトやサービスの規模にもよりますが、カスタマーサポートには、毎日数十~数百の問い合わせが寄せられます。それらの中には、FAQ(よくある質問)ページを見れば分かるような簡単・パターン化された内容も多く、チャットボットを導入すれば、そのような質問への対応を自動化することができます。

また、急激なスマホの普及により、SNSなどを活用したチャットコミュニケーションが当たり前になった現在、顧客との新たな関わり方として注目を集めているのです。

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チャットボットのメリット

ここでは、チャットボットを活用することで得られる主なメリットについて解説します。

チャットボットの導入を検討している方は、どのようなメリットがあるのかを把握しておきましょう。

対応部署の負担軽減

チャットボットを導入する最大のメリットは、問い合わせ対応部署の業務負荷を大幅に軽減できることです。

チャットボットを導入すれば、答えが明確な問い合わせなど簡単なものであれば多くを自動対応できるほか、24時間365日いつでも問い合わせを受け付けられます。対応部署へ流入する問い合わせ件数を大幅に削減できるため、重要な問い合わせや有人でなければ対応できない問い合わせのみに集中することが可能となります。

問い合わせ対応部署の業務負荷が高まっている場合や、人員やリソースが不足している場合には、チャットボットの導入は非常におすすめです。

コスト削減

チャットボットを導入すれば、問い合わせ対応の多くを代替させることが可能となるため、担当部署の業務量を大幅に減らすことが可能となります。そのため、より少ない人員で対応を行うことが可能となり、コスト削減を図ることができるのも大きなメリットです。

削減したコストは、他の業務を担当する人材の人件費やビジネスを成長させるための投資に充てるなど、より経営的に意義のある用途に回すことができます。

問い合わせへの心理的ハードルの低下

コミュニケーションが苦手な社員は、有人での問い合わせ対応に心理的障壁を感じる場合が多く、問い合わせを躊躇したり問い合わせ自体をやめてしまったりするケースが多くあります。

チャットボットであれば、テキストでのコミュニケーションのみで問い合わせを行うことができるため、このような社員でも心理的な抵抗を感じずに問い合わせを行うことが可能です。問い合わせの促進や問題の解決率の向上により、業務パフォーマンスや生産性の向上を図ることができます。

自己解決率の向上

問い合わせ対応の効率化を進めるにあたって、社員ができるだけ自己解決を図れる仕組みを構築することが有効な手段となります。多くの企業がマニュアルやFAQを整備して自己解決の促進に取り組んでいますが、これらは利用者側にもリテラシーが必要となり、また情報を検索する手間もかかるため、社内に浸透させるのは難しいという実状があります。

チャットボットであれば、会話を通じて素早く回答を得ることができるため、誰でも簡単に問題や疑問を自己解決を図れることが大きなメリットです。社内問い合わせにおいて社員の自己解決率向上を図りたい場合にはおすすめの施策となります。

問い合わせ内容ログから現状の課題を把握

チャットボットは、ユーザーからの問い合わせ内容・対応履歴・解決の可否といったデータをログとして自動で蓄積することができます。

ログを解析することで、チャットボット自体のチューニングを行ったり、業務上の現状の課題を把握して改善を図ったりすることが可能です。業務上の課題を解決することで、組織としての生産性向上や業務効率化を図ることができるのも大きなメリットとなります。

チャットボットの種類とそれぞれの違い

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チャットボットの種類は大きく分けて、「AI(人工知能)」と「シナリオ型」の2つに分類されます。ここでは、それぞれの違いについてご紹介します。

AI(人工知能)型

AIチャットボットは、あらかじめ学習させたデータ、またはユーザーが利用することで集まったデータを、AIが解析し統計的に最も適切とした回答が表示されるタイプです。

あらかじめ設定された範囲内で対応を行うシナリオ型と違い、AI型は質問者による表現(言葉遣い)の揺らぎにも対応可能です。

シナリオ型より高機能なチャットボットのため、一般的に少々コストは高くなります。また、AIチャットボットの中でも月額数万円で利用できるものから百万円以上するものまで、幅広い価格体系があるのも特徴です。

シナリオ型

シナリオ型は、「ルールベース型」と表現されることもあります。作成したシナリオに沿って会話を進めることで回答が表示されるタイプです。

シナリオは、ユーザーからの質問をあらかじめ予測して作成します。そのため、シナリオから外れた内容には対応できない点がAI型との大きな違いです。

作成したシナリオ以外の回答はできませんが、設定がシンプルなためすぐに始めやすいのが特徴です。また、コストもAI型に比べると低く抑えられることが多いです。

AI型とシナリオ型とのメリット・デメリット

AI型とシナリオ型は、それぞれメリットも多いですがデメリットも介在しています。ここではAI型とシナリオ型のメリット・デメリットについてご紹介します。

AI(人工知能)型のメリット・デメリット

種類メリットデメリット
AI型AI型■シナリオ型に比べて、表現の揺らぎや複雑な質問にも回答できる■学習データを蓄積すればするほど、回答の精度が向上する■回答の精度をあげるため、一般的に導入時の学習期間が必要■AIといえど、初期段階では実際に回答した内容が正しいかを確認してチューニングする必要がある

メリット

AIチャットボットの一番のメリットは、幅広い問い合わせに回答できる点です。

蓄積された学習データによって、質問者によって異なる表現の揺らぎに対応し、データの中から最も適していると思われる回答を導き出すことが可能です。また、「ユーザーがチャットボットを利用することで集まるデータを学習させる」ことを繰り返し行うことで、ますます回答の精度が高まっていきます。

AIチャットボットは、「少し複雑な質問にもチャットボットで回答したい」「多少コストはかかっても高い回答精度を求めたい」という企業に向くでしょう。

デメリット

AIチャットボットが高い水準で回答できるようになるためには、一般的に導入時に学習期間を設ける必要があります。
また、ある程度学習させて運用を開始したとしても、質問に対する回答が正しいかを定期的にチューニングするなど、学習データを管理していく必要があります。

しかし、定期メンテナンスはシナリオ型にも必須な話のため、導入初期の設定コストが比較した際のデメリットといえるでしょう。

ただし、AIチャットボットの中には、「社内向け」や「EC向け」など特定の領域に特化したサービスが存在します。
こちらは領域を限って事前にAI学習を済ませているため、もし用途が決まっている場合は特化型のAIチャットボットを検討することでデメリットを緩和することが可能です。

シナリオ型のメリット・デメリット

種類メリットデメリット
シナリオ型シナリオ型■FAQ程度の内容であれば、時間をかけずに手軽に導入できる■シナリオ通りに回答するので、誤った回答をする心配がない■ルール通りにしか回答できない■多くの質問に答えようとすると、膨大なルールを設定する必要がある

メリット

シナリオ型チャットボットは、FAQの中でも頻出の質問程度であれば、手軽に導入できる点がメリットです。また、シナリオ通りにしか回答しないため、誤った回答が表示される心配がありません。

AI型のように事前学習の必要がないため、問い合わせ数が多くない場合や、サービスをローンチしたばかりのベンチャー企業・スタートアップ企業にもおすすめです。特にAIチャットボットと比較して費用が安いことも多く、規模感が大きくない企業も無理なく導入することができます。

シナリオ型チャットボットは、「質問内容が限定されていて」、「なるべく費用を抑えたい」という企業に向くでしょう。

デメリット

シナリオ型チャットボットは、あらかじめ決められたシナリオ以外の質問には回答できません。

例えば、「こんにちは」のみを挨拶として登録している場合、「おはよう」「元気?」などは挨拶として認識できず、会話自体がストップしてしまいます。そのため、多くの質問に回答しようとする場合には、あらかじめ膨大なシナリオを設定しておく必要があります。

また、シナリオ型は簡単に導入できるとはいえ、定期的なメンテナンスは必要です。初期の分岐内容を変更したい場合、後続も加味して修正が発生する点は、一問一答のAI型と比較してデメリットといえるでしょう。

AI(人工知能)型とシナリオ型チャットボットの導入事例

チャットボットツールに関して理解できたものの、具体的な活用方法のイメージが湧かない方もいるでしょう。ここからは、AI(人工知能)型とシナリオ型チャットボットを導入した事例をそれぞれご紹介します。

AI(人工知能)型チャットボットの導入事例

ここでは、AI(人工知能)型チャットボットの導入事例を2つご紹介します。

プレミアムウォーター×AI(人工知能)型チャットボット

ミネラルウォーターの宅配事業を行うプレミアムウォーター株式会社様の事例を紹介いたします。
同社のカスタマーサービス(CS)は、設立時から問い合わせ対応の自動化に力をいれておりましたが、需要の増加に伴って常に対応に追われていました。

そこで、AIチャットボットを導入し、Webサイトや公式アプリのほぼすべてのページに設置。最終的に、すべての質問がまずチャットボットに入るように整理した結果、昨年同月と比較して入電率20%減少につながりました。

<出典>問い合わせ導線統一で入電数が20%減少 | プレミアムウォーター株式会社 | KARAKURI

ウエルシア薬局株式会社×AI(人工知能)型チャットボット

調剤併設型ドラッグストアチェーンを展開するウエルシア薬局株式会社様の事例を紹介いたします。
同社の人事部門は、1日当たり平均250件の問い合わせを受けており、対応に追われていました。また、24時間営業の店舗もあることから、深夜や送料の問い合わせへスピーディーな対応ができていないことが課題でした。

そこで、AIチャットボットを導入した結果、従業員が24時間いつでも回答を得られる環境を整備し、問い合わせ件数を70%削減することができました。

<出典>ウエルシア薬局株式会社様の導入事例|共通AIを搭載した社内向けAIチャットボット‐HiTTO(ヒット)

シナリオ型チャットボットの導入事例

ここでは、シナリオ型チャットボットの導入事例を2つご紹介します。

株式会社にしがきマリントピアリゾート×シナリオ型チャットボット

関西圏を中心に、グランピング施設やマリントピアリゾートを提供している株式会社にしがき様の事例を紹介いたします。
同社は、週末の空室状況などを確かめる電話の件数が増加したことでオペレーターの負担が大きくなっていました。また、採用難のため人材の補充も難しい状況でした。

そこで、シナリオ型チャットボットを導入し、問い合わせの総数を削減することができました。入電の件数が抑えられたことで、オペレーターの業務効率改善にもつながっています。

<出典>リゾート施設への問い合わせをチャットで解決!問い合わせの電話が10%削減し、業務効率化を実現!! | 導入事例 | チャットボットsinclo

日本生活協同組合連合会×シナリオ型チャットボット

生協の通販事業を行う日本生活協同組合連合会の通販本部様の事例をご紹介いたします。
同社は、コールセンターへの問い合わせ数を減らし、組合員が地震で疑問を解決できる仕組みを構築したいと考えていました。しかし、よくある質問ページの作成や、FAQツールを導入しましたが限界を感じていました。

そこで、シナリオ型チャットボットを導入した結果、問い合わせの解決率を10%以上向上させることができました。元々68%と高い解決率だったため。更に10%改善したことで大きな成果につながりました。

<出典>日本生活協同組合連合会様・活用事例インタビュー | チャットボット型マーケティングツール「SYNALIO」

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チャットボットはAI(人工知能)型を選ぶべきなのか?

AI型とシナリオ型には、それぞれメリットとデメリットがありました。そのため、一概にどちらを選べばいいというわけではなく、運用体制や活用シーンを見極めて選ぶことが重要です。

チャットボットを選ぶときには、まず「何のために導入するか」という目的を明確にしましょう。その目的に合ったチャットボットを選ぶことが一番大切です。

ここでは、チャットボットを導入する目的の一例をご紹介します。

チャットボット導入目的の一例

チャットボット導入目的は様々あります。ここでは以下5つの例をご紹介します。

  • コストを削減したい
  • 顧客満足度を向上させたい
  • 機会損失をなくしたい
  • 業務効率化をはかりたい
  • 人件費を削減したい

コストを削減したい

チャットボットを導入することで、FAQに掲載してあるような簡単な質問はユーザー自らで解決することを促せるため、対応スタッフの負担を減らすことができます。
対応スタッフへの負担が減ることで、人件費の削減が見込めます。

また先述した通り、できるだけ導入コストをおさえたい場合は、ルールベース型の方が向いています。
一方で、コストは多少かかっても、幅広い問い合わせ対応を自動化することで、スタッフの対応コストを下げたいという方はAI型がおすすめでしょう。

顧客満足度を向上させたい

問い合わせ窓口が電話やメールなどしかないと、休日や夜間などの営業時間外にユーザーを待たせてしまうという問題が発生します。また、営業時間内であっても、多くの問い合わせがあると、なかなか対応しきれないといったこともあるでしょう。

そんなときにチャットボットがあれば、営業時間に関係なく、素早く質問に回答することができます。また、ユーザーも営業時間など気にすることなく、気軽に質問ができるようになります。これらは、顧客満足度の向上につながると考えられるでしょう。
顧客満足度が向上すれば、企業としてのブランディングの成功にもつながるため、一石二鳥といえます。

機会損失をなくしたい

先述した通り、チャットボットを設置することで、ユーザーは気軽に質問ができるようになります。
問い合わせの窓口が電話やメールしかない場合、「問い合わせることが面倒」だと感じるユーザーもいるでしょう。その場合、ユーザーがそのままサイトから離脱し、機会損失につながる恐れがあります。
チャットボットを設置し、ユーザーが気軽に質問できる環境をつくることで、機会損失を最低限におさえることができます。

業務効率化をはかりたい

チャットボットを導入すると、業務の効率化が期待できます。従来のコールセンターなどのカスタマーサポートでは、1人が対応できる件数に限りがありました。しかし、チャットボットでは対応できる人数に限りがないため、多くのユーザーの質問を解決に導くことができます。

また、簡単質問はユーザーが自己解決してくれるようになるため、スタッフが対応する必要のある問い合わせの数が大幅に減少することが期待できます。スタッフは本当に対応が必要な問い合わせに絞って対応ができるようになるのです。
働き方改革による残業の削減や、少子化による人手不足により、現代の企業は少ない人数で効率的に業務を回すことを求められています。そのような実情とチャットボットの利点がマッチしているといえるでしょう。

人件費を削減したい

チャットボットを社内に導入することで、人件費を削減したいと考えている企業は多いのではないでしょうか。
たしかに、チャットボットの導入には初期投資を必要としますが、長期的な視点で考えれば、業務効率化できることから人件費の削減につながります。

また、問い合わせ対応のようなカスタマーサポートだけでなく、工夫次第では受付やサービス紹介をチャットボットに置き換えることができるため、大幅な省人化が期待できます。

話題のChatGPTは企業で利用できる?

現在チャット形式での対話型AI「ChatGPT」が大きな注目を集めています。企業での業務利用が期待されていますが、実際には以下のような懸念点も多くあるため、直接的な業務利用については注意しておく必要があります。

  • 入力した機密情報や個人情報をAIが学習してしまう恐れがある
  • 必ずしも正確な情報をアウトプットするとは限らない
  • AIが学習している情報はやや古いため、最新の情報に対しては回答できない

ChatGPTが生成したテキストやコンテンツを、チェックや加工なしでそのまま活用することは、現時点では控えておいた方が良いでしょう。

一方、企画やコンテンツを制作する際に補助的に利用したり、生成されたコンテンツに編集や校正を加えて活用するのであれば、業務効率化や生産性向上に大きく寄与できる可能性があります。

チャットボットの導入に必要な準備

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導入の目的を明確にしたら、いよいよチャットボットの選定に進みます。ここでは、必ずチェックすべきポイントをご紹介します。

AI(人工知能)型かシナリオ型か?

メリット&デメリットで解説したように「問い合わせに対応できる幅」と「費用」が大きな違いです。
問い合わせの実態を踏まえ、導入した際に“費用対効果”がでるかを試算して選択しましょう。

AI型のほうが費用はかかりますが、その分解決できる問い合わせ量も多いです。費用対効果がでる前提であれば、解決量が多いほうが生産性の向上に寄与できるでしょう。

導入目的に適しているか?

チャットボットは、極論どのツールでも基本的な機能に大きな差はありません。

しかし、導入目的が明確な場合は、目的に適したツールを選ぶことが効果の最大化につながります。各社ともに得意としている領域があるため、必ず確認するようにしましょう。

サポート体制は充実しているか?

チャットボット導入の鍵は初期設定と定期メンテンスです。

なぜなら、初期設定が適切でない場合、チャットボットに対してネガティブな体験を招く可能性があり、一度マイナスな印象を持たれると継続利用が難しくなるからです。
また、利用実績に応じて定期メンテナンスを繰り返すことが、チャットボットの利便性を大きく左右します。

そのため、導入初期から運用支援までサポートの支援は不可欠といえるため、付帯しているだけでなく充実しているかを確認しましょう。無償で付帯しているとなお良いといえます。

活用ケース別おすすめAIチャットボット9選

ここまでみてきたように、チャットボットが活用されるケースは「社内問い合わせ対応」と「カスタマーサポート」に分けられます。
それぞれのおすすめAIチャットボットをご紹介いたします。

社内ヘルプデスク向けAIチャットボット

HiTTO

HiTTO

費用:非公開

HiTTOは、生産性とエンゲージメントの向上で変化に強い会社をつくるHRチャットボットです。
人事、労務、総務の質問パターンを学習させた「人事/労務AI」を搭載しており、大企業に数多く導入されていることが特長です。

<出典>HiTTO
https://hitto.jp/

カスタマーサポート向けAIチャットボット

KARAKURI

KARAKURI

費用:非公開

KARAKURIは、カスタマーサポートに特化したAIチャットボットです。
AIチャットボットの学習を実施したうえで納品するのが特長で、導入してすぐに戦力として利用できます。

<出典>KARAKURI
https://karakuri.ai/

goo AI × DESIGN

goo AI × DESIGN

費用:非公開

goo AI × DESIGNは、カスタマーサポートに特化しつつ、商品レコメンドなどマーケティングにも活用できるAIチャットボットです。
gooで蓄積した大量のデータを基に学習を行っているため、自然な会話を実現できることが特長です。

<出典>goo AI × DESIGN
https://aixdesign.goo.ne.jp/

両用途に実績があるAIチャットボット

OKBIZ. for AI ChatBot

OKBIZ. for AI ChatBot

費用:非公開

OKBIZ. for AI ChatBotは、社外/社内のサポートに利用できるAIチャットボットです。
運営するQ&Aサイト「OKWAVE」で蓄積されたデータにAI技術を組み合わせているため、AIの学習コストが少ないことが強みです。

<出典>OKBIZ. for AI ChatBot
https://www.okbiz.jp/solutions/okbiz-ai-chatbot/

AIさくらさん

AIさくらさん

費用:初期費用90万円+プラン毎の月額費用

  • POCプラン:月額38万円
  • スタンダードプラン:月額55万円
  • アドバンスドプラン:月額76万円
  • プレミアムプラン:月額94万円

AIさくらさんは、社内外の問い合わせに24時間答えることができるため、ヘルプデスクの効率化として数多く導入されています。
愛らしいキャラクターが特長でコミュニケーションのハードルを下げられることが特長です。

<出典>AIさくらさん
https://tifana.ai/

sAI Chat

sAI Chat

費用:非公開

sAI Chatは、会話形式で問い合わせを効率化させるAIチャットボットです。
運営するQ&AIの性能はもちろん、賢さを維持するために専任のカスターマーサクセスチームが一貫して支援することが特長です。

<出典>sAI Chat
https://saichat.jp/saichat/

AI-FAQボット

AI-FAQボット

費用:QA数1~100問まで:月額費用30,000円(※以降100問ごとに+10,000円)

AI-FAQボットは、社内・社外向け自動問い合わせFAQソリューションです。
自社開発のオリジナルAIを搭載しており、自然文の理解や言葉の自動学習など、実際のお客様からの要望に応えながら進化し続けていることが特長です。

<出典>AI-FAQボット
https://faq-bot.ai/ja/

SupportChatbot

SupportChatbot

費用:非公開

SupportChatbotは、社員・顧客からの問い合わせを削減するチャットボットです。
様々なチャットUIサービス連携可能で、普段お使いのサービス上でチャットボットを利用できることが特長です。

<出典>SupportChatbot
https://chatbot.userlocal.jp/

QA ENGINE

QA ENGINE

費用:月額費用30万円

QA ENGINEは、世界最先端のAIによる質問応答システムです。
人工知能の国際クイズコンペティションで連続優勝するほど高精度な質問応答ができることが特長です。

<出典>QA ENGINE
https://www.qaengine.ai/

チャットボットと合わせて使いたい「メール配信システム」

ここまで紹介してきたチャットボットは、もちろん単体で使うことができますが、相性の良いツールと合わせて使うことでその効果がより発揮されます

例えば、社内ポータルやメール配信システムなど。その中でもメール配信システムの利用は必須と言っても過言ではないため紹介します。

メール配信システムとは

大量のメールアドレス宛に一斉にメールを配信できるシステムのことです。

メールの大量配信は一般的にスパムメールに似た行為のため、迷惑メールフォルダに入ってしまったり、文字通りメールが届かない可能性があります。

メール配信システムにはこれらを回避するための技術が使われており、安心安全に大量のメールを届けることができます。その特性から、メルマガ配信や社内向けの一斉メール等に活用されています。

チャットボット×メール配信システム

チャットボットとメール配信システムは様々な使い方ができます。

その中でも最も汎用的なのが、チャットボット内で反応が大きかったコンテンツや質問が多かった内容をコンテンツにしてメール配信システムで一斉送信することです。これは社内向けでも社外向けでも問題ありません。

さらに、チャット内でリード情報を獲得することができれば、メルマガ配信のリストに追加することも可能となります。

また、チャットボットはあくまで受け身のツールとなるためこちらからのアクションができません。一方でメールであれば攻めの情報発信ツールとして活用できます。

これらのことからもチャットボットとメール配信システムの相性は良いと言えるでしょう。

シェア1位のメール配信システム「ブラストメール」の活用

ブラストメールのキャッチ画像

チャットボットと合わせて使うのに最適なメール配信システムはブラストメールです。ブラストメールは13年連続顧客導入シェア1位のメール配信システムとなります。

ブラストメールの特徴は、シンプルな操作性と、コストパフォーマンスの高さです。様々な業種や官公庁の導入もあり、定番のメール配信システムと言えるでしょう。

セグメント(ターゲット)配信や効果測定、HTMLメールエディタなど、基本的な機能は全て揃っており、最も安いプランであれば月額4,000円以下で導入できます。

シンプルかつ安いので、初めてメール配信システムを使ってみたい方にもおすすめです。無料トライアルも可能となっているので、まずは試してみてはいかがでしょうか。

関連記事:【3分で分かる!】ブラストメールとは?ブラストメールのトライアル期間を使って徹底レビュー

まとめ

チャットボットにはAI型とルールベース型の2種類があります。

この2つはそれぞれにメリット・デメリットがあり、どちらが優れている、どちらを利用したほうがいいということはありません。

どちらが自社に合っているかを知るためには、自社が「なぜチャットボットを導入するのか」をという目的を明確にしましょう。目的に立ち返ることで、自社に合ったチャットボットのタイプが見つかるはずです。

チャットボットのQ&A

AI以外のチャットボットもあるの?

「チャットボット=AI」のイメージが強いですが、AIが活用されていないチャットボットも多数存在します。AIを搭載していないチャットボットを「シナリオ型(ルールベース型とも言う)チャットボット」と呼び、AIチャットボットに比べて安価な傾向があります。

AIチャットボットのメリットとデメリットは?

一番のメリットは、学習データの蓄積により幅広い問い合わせに自動回答できることです。表現の揺らぎを吸収することで、シナリオ型のチャットボットと比較して高い回答精度を実現できます。デメリットは、導入時に学習期間を必要とする点です。理想の働きを実現するには、導入時に大量のデータとチューニング作業がかかる点はデメリットといえるでしょう。

チャットボットはAI型を選ぶべきなのか?

AI型とシナリオ型にはそれぞれメリットとデメリットがあります。そのため一概にどちらを選べばいいというわけではなく、運用体制や活動場面を見極めて選ぶことが重要です。例えば、質問が限定的で数が少ない場合は「シナリオ型」、質問が複雑&数多く存在する場合は「AI型」がおすすめです。

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この記事を書いた人

Email Rising編集部です。Email Risingではメール配信システムやメールマーケティングについてのお役立ち情報を発信しています

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