美容室・エステサロンでチャットボットの導入が進む理由とは?
近年、チャットボットが広く普及しています。
チャットボットは、会話を自動的に行うプログラムのことです。美容室やエステサロンのWebサイトやSNSなどでもチャットボットを導入する事例が増えてきました。しかし、そもそもチャットボットを導入することでどのような効果が期待できるのでしょうか。
この記事では、チャットボットとは何なのか、美容室やエステサロンにおいてチャットボットを導入するメリットと注意点、チャットボットに設定すべき内容をご紹介していきます。
この記事の目次
- チャットボットの基本知識
- 美容室・エステサロンでチャットボットを導入するメリット
- ユーザーの不安を解消できる
- 予約を促すことができる
- さまざまな形で情報を提供できる
- スタッフの負担軽減につながる
- 24時間365日対応できる
- チャットボットを導入する際の注意点
- 運用体制を整える
- 効果的なチャットボットを導入する
- 美容室・エステサロンのチャットボットに設定すべき内容
- 料金メニューに関して
- ポイントに関して
- アフターサービスに関して
- 所要時間に関して
- まとめ
チャットボットの基本知識
まず、チャットボットの基本を説明し、その種類についても解説します。
チャットボットとは?
チャットボットとは、「チャット(Chat=会話)」と「ボット(Bot=ロボットの略)」を組み合わせた造語です。ここでいうロボットとは、自動で何かを行うプログラムのことを指します。チャットボットはユーザーからの問いかけに対して、自動で返答したり、自動で声掛けをしたりするプログラムのことです。
チャットボットの始まりは、1966年に開発された「ELIZA(イライザ)」だといわれています。1990年代後半にMicrosoft Officeに搭載されていたイルカなどの「Officeアシスタント」や、2012年からAppleのiPhoneに搭載されている「Siri」、2014年に登場したAmazon Echoの「Alexa」、2016年に登場したGoogleの「Googleアシスタント」などもチャットボットに含まれます。
チャットボットの種類
チャットボットには、大きく分けて「シナリオ型」と「AI型」の2種類があります。ここでは、それぞれの特徴を解説します。
シナリオ型
シナリオ型は相手からの問い合わせに対して、あらかじめ登録してあるシナリオに沿った返答をするチャットボットです。ルールベース型とも呼ばれます。
入力された質問に対して、登録されたシナリオの範囲内で正確な返答ができることが特徴です。そのため、アンケートの回答やよくある質問への返答、商品内容の説明など、定型化されたやり取りでの活用に向いています。
AI型
AI型は、人工知能(Artificial Intelligence)を搭載しているチャットボットで、人工知能型とも呼ばれます。人工知能とは、「学習・推論・判断など、人間の知能の働きをコンピューターによって人工的に再現したもの」と定義されます。
AI型チャットボットは、相手の問い合わせに対して、これまでに蓄積されたデータをもとに最も適切な回答を判断して返答を行います。入力された文章の表現のゆれを理解することができるため、入力された内容に対して臨機応変に対応をすることが可能です。
しかし、チャットボットは自分が正しい回答ができているかどうかの判断をすることはできないため、定期的に人間による確認と間違っていた場合の修正が必要となり、運用に手間がかかるケースがあります。また、会話の精度を高めるためには、継続的に大量のデータを使って学習させる必要があります。
美容室・エステサロンでチャットボットを導入するメリット
美容室やエステサロンでチャットボットを導入することで得られるメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。代表的なメリットを5つご紹介します。
ユーザーの不安を解消できる
ユーザーが今まで利用したことのない美容室やエステサロンを予約する際、気になる点はいくつもあるでしょう。そんな時、Webサイトにチャットボットが設置してあれば、気軽に質問することができ、ユーザーの不安を解消することができます。
近年、LINEなどのコミュニケーションツールの普及によって、電話での問い合わせに苦手意識を持つ人が増えています。チャットボットで気軽に問い合わせができることは大きなメリットといえるでしょう。
チャットボットで気軽に質問できる環境を作っておけば、予約前に離脱するユーザーも減るなど、機会損失の防止も期待できます。チャットボットの導入は、ユーザーと美容室やエステサロン、両者にメリットがあるのです。
予約を促すことができる
チャットボットは、Webサイトなどを訪問したユーザーに対して、ボット側から声掛けをすることができます。その際に、予約ページへのリンクや、利用可能なクーポンを送付することで、予約を促すことが可能です。
また、来店時にLINEなどで友だち登録をしてもらえば、前回の来店から一定期間が経過したらチャットボットが自動で話しかけて、次回の来店を促すといったような設定もできます。
さまざまな形で情報を提供できる
問い合わせはメールや電話で受付けることが一般的ですが、文章や口頭での説明だけでは不十分なケースも多く見られます。
チャットボットでは、写真や動画などの形で情報を提供することが可能です。さまざまな形で情報を提供すれば、ユーザーにとって分かりやすく、認識にズレが生じることも防止できます。
たとえば、美容室やエステサロンのお店の場所を質問された際に、文字だけで説明するのと、写真や地図を交えつつ説明するのでは、分かりやすさは後者が格段に上でしょう。
また、URLを添えれば、チャットボットだけでは回答が難しい内容にも対応することができます。
スタッフの負担軽減につながる
チャットボットを導入することで、スタッフの業務負担軽減も図ることができます。
美容室・エステサロンでは、施術や清掃、予約の管理など、問い合わせ対応以外の業務が多岐にわたります。人手不足に悩む美容室・エステサロンでは、施術を一旦ストップして問い合わせの対応を行うというケースもあるでしょう。
チャットボットを導入することで、パターン化したよくある質問に関しては、ユーザーの自己解決を促せ、スタッフが対応する必要のある問い合わせ数の削減が期待できます。問い合わせ対応にかかっていた時間の削減は、スタッフにとって大きな負担軽減となるはずです。
24時間365日対応できる
チャットボットを導入した場合、基本的には24時間365日、ユーザーから送られてきた質問に対していつでも、待たせることなくスムーズに対応することができます。
深夜などの営業時間外に、問い合わせしたいというユーザーも多いでしょう。そういったユーザーの疑問を、待たせるせることなく解決できれば、予約率のアップも期待できます。
チャットボットを導入する際の注意点
ここまで、美容室やエステサロンにおけるチャットボット導入の有用性についてご紹介してきました。しかし、チャットボットはただ導入すればいいものではありません。チャットボットを導入する際は、いくつか気をつけるべきポイントがあります。
ここでは、導入時の4つのポイントをご紹介しましょう。
運用体制を整える
チャットボットを導入するには、導入するための下準備や設置する作業、導入後のフィードバックやブラッシュアップといった運用体制を整える必要があります。
まず、チャットボットを導入する際は登録するシナリオの用意、AI型の場合にはさらに学習するためのデータの準備などが必要です。完成度の低いチャットボットは、顧客満足度の低下やサイトからの離脱など企業にとって望ましくない影響を与えてしまうため、注意が必要です。また、完成度の低いチャットボットは、結果的に電話やメールで問い合わせた方がはやいと判断され、使われなくなってしまいます。
そのため、あらかじめチャットボットを作成する担当者、担当チームを決めておくとスムーズでしょう。
また、チャットボットツールは導入したら完成ではありません。シナリオ型の場合は適宜必要なシナリオの追加や編集、AI型の場合は間違った回答をしていないかの確認などのブラッシュアップがとても重要です。継続した運用ができる体制を整えておきましょう。
効果的なチャットボットを導入する
チャットボットのツールには、それぞれ得意とする分野があります。そのため、チャットボットの導入を検討している場合は、ツールの選定から開始するのではなく、まずは何故導入するのか、解消したい課題は何かを明確にしておきましょう。そして、設定した目的に応じて選定したチャットボットツールの特徴やメリットデメリットを比較し、利用するツールを選びます。
チャットボットと一口にいっても、ツールによって社内FAQに特化していたり、ECサイトで商品のおすすめをすることに特化していたりと特徴はそれぞれです。目的の利用に合わない特徴を持つチャットボットを導入してしまうと、機能がかみ合わずに自社での運用には向かない、課題を解決できないといった事態を招きます。
導入時は下調べをしっかりとして、自社の導入目的に合ったより効果的なチャットボットを導入しましょう。
美容室・エステサロンのチャットボットに設定すべき内容
美容室やエステサロンにチャットボットを導入する場合、チャットボットに設定するべき内容があります。ここでは、ユーザーの視点から、チャットボットに設定しておくべき内容を4つ挙げていきます。
料金メニューに関して
美容室やエステサロンは、店舗によって料金設定が異なるため、新規のユーザーにとってはわかりにくい部分があります。そのため、指名料やオプション料金、美容室であればロング料金などを分かりやすく提示する必要があります。
料金に関しては、多くの新規ユーザーが気になる情報です。チャットボットでは詳しい料金設定を説明したり、メニューに関してのQ&Aに対応したりできるようにしましょう。
ポイントに関して
1回来店するごとに1ポイントや〇〇円利用ごとに1ポイント、そのポイントが貯まったら値引きやサービス、などのポイント制度のある美容室やエステサロンも多いでしょう。
しかし、そのポイント制度も新規ユーザーにとって分かりづらいことが多々あります。そのため、ユーザーが納得して利用できるように、ポイントに関しての説明もチャットボットに登録し、回答できるようにしておくといいでしょう。
アフターサービスに関して
アフターサービスに関しても、チャットボットで回答できるように設定しておくといいでしょう。
サロンの例をあげると、カットで気になる点がある、すぐにヘアカラーやパーマが落ちてしまった、というケースが考えられます。そういった場合に、どのような対応をするのか、アフターサービスの内容をユーザーに分かりやすく回答できるように設定しておくと効果的です。
所要時間に関して
美容室やエステサロンは、メニューによって所要時間が異なります。そのため、その後の予定を立てるためにも、何時頃に終わるのか、前もって把握しておきたいユーザーは多いでしょう。
ユーザーのニーズを満たすため、たとえばカットとパーマ、トリートメントだとこのくらいの時間がかかることが多い、というように所要時間の目安をチャットボットが答えてくれるように設定しておきましょう。なお、所要時間は無用なトラブルを避けるためにも、余裕のある目安時間を設定することをおすすめします。
まとめ
この記事では、チャットボットとは何か、その種類と美容室やエステサロンでチャットボットを導入するメリット、チャットボットを導入する際の注意点、設定すべき内容について紹介してきました。
完成度の高いチャットボットを導入することで、ユーザーの不安を解消できるほかにも、自店の魅力をアピールすることができます。また、いつでも問い合わせに答えてもらえるという安心感から、ユーザー満足度の向上が期待できます。ユーザー満足度が向上すれば、良い口コミも広がり、売上アップも図れるはずです。
また、スタッフがすべての問い合わせに人力で答える必要がなくなり、負担が軽減することも見込めます。チャットボットをうまく運用して、ユーザー、スタッフにとってよりよい環境の構築を目指しましょう。
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