チャットボットの正体「人工無脳(能)」はどんな機能と役割がある?活用されるシーンは?

ヘルプデスク業務を効率化するツール「チャットボット」とは?

近年は、テクノロジーの発展からさまざまな業界で人工知能(AI)の話題が尽きません。
20~30年前には思いつかなかったようなAIやロボットを活用したサービスが続々と登場し、未来の世界を彷彿とさせています。

人工知能(AI)という言葉は誰もが聞いたことがあるかもしれませんが、「人工無脳」は聞いたことはあるでしょうか?

聞きなれない人工無脳という言葉は人工知能の対称となるシステムで、最近はLINEアプリやECサイト上で活用されているチャットボットの正体です。

「え?人工知能って頭のいいロボットって印象だけど、人工無脳は“無能”なの?」と考える人もいるかもしれません。

人工知能と人工無脳はなにが違うのか、それぞれの仕組みと役割などについてご紹介します。

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この記事の目次

    そもそも「チャットボット」とは

    ではそもそもチャットボットとはどんなものなのでしょうか。

    チャットボットは、「chat(会話)」と「bot(ロボット)」を組み合わせた言葉で、自動的に会話を行うプログラムのことです。ユーザーが表示された質問の選択肢の中から選ぶか、直接質問を入力することで、プログラムが最適な回答を自動で導き出す仕組みとなっています。

    Webサイト・ECサイト等に設置してユーザーと自動で対話を行わせることで、社内外の問い合わせ業務の効率化・自動化に貢献できることから、現在多くの企業で導入・活用が進められています。

    チャットボットには、大きく分けてAIが搭載された人工知能型とAI非搭載型(人工無脳型)に分けられます。当記事のテーマである人工無脳型チャットボットについて、続けて以下にご紹介していきます。

    チャットボットの正体?人工無脳(能)とは?

    人工無能のチャットボットは、一体どんなものなのでしょうか。

    人工無脳タイプのチャットボットは、「Aという質問にはBを返す」といったように、あらかじめ入力されたシナリオや登録されたキーワードをもとに人間からの質問や問い合わせに回答します。
    これを「ルールベース型」のチャットボットと呼びます。

    人工無脳タイプのルールベース型チャットボットは、シナリオに沿った回答をするという機能に限定されているため、設定にない質問や日本語の微妙な表現を理解することが苦手です。

    人工知能と人工無脳の違い

    人工知能と人工無脳の違い

    人工知能と人工無能の違いは、一体何でしょうか。
    人工知能とはいわゆるAIのことで、本来の目的は「人間と同等、もしくはそれ以上の知能を人工的に作り出すこと」にあります。
    AIの歴史は古く、1950年代から研究・開発されており、2000年代には第3次AIブームが到来しました。
    ネットワーク技術の進歩とビッグデータ活用を背景にAIに機械学習を搭載し、自ら考え、人間に最適な回答を提案するAIが登場しました。

    対して、人工無脳とは機械が考えるというステップは存在せず、表層の会話だけにフォーカスされたシステムです。
    人間からの問いかけにあらかじめ用意された選択肢の中から適切な返答をする、シンプルな仕組みのことです。

    人工無能が目指すもの

    先述した通り、人工知能型のチャットボットに比べて、人工無脳型は自ら学習することはできません。
    しかし、その代わりに人工無能型チャットボットは、設定されたシナリオの中から最も適切な回答を導き出すことを目指しています。

    人工知能型のチャットボットは、多くの会話のログデータを蓄積することで会話の精度が徐々に上がってきます。しかし会話のログデータが少ないと、ユーザーの意図と異なる回答をしてしまったり、会話が続かなくなるといった問題が発生します。
    それに対して人工無能型チャットボットは、ユーザーのニーズを捉えたシナリオが作成できてさえいれば、質問に対して的確な精度の高い返答をすることができます。

    人工知能型(AI)のチャットボットはどんどん賢くなる

    人工知能型のチャットボットは、自ら学習して賢くなることでより自然な会話を実現することができる点が人工無脳タイプとの違いです。
    この人工知能型のチャットボットは、「機械学習型」または「AI型」チャットボットとも呼ばれます。

    人工知能は勝手に精度を高めて賢くなるというイメージがありますが、適切な回答を学習させるためには膨大なデータが必要です。
    データの蓄積だけでなくメンテナンスを行うなど、人工知能型のチャットボットは手間とコストがかかるというデメリットがあります。

    人工無脳型と人工知能型(AI)の使い分けとは?

    近年では人工無脳型のチャットボットだけでなく、人工知能型のチャットボットも普及してきています。AIが搭載されている後者の方が優れているイメージがありますが、実際にはそれぞれメリット・デメリット・得意分野が異なるため、一概に優劣をつけることはできません。

    目的や用途に応じて、両者を使い分けることが、最も賢いチャットボットの活用方法となります。

    人工無脳型チャットボットと人工知能型チャットボットの違いについて、以下に簡単にまとめましたのでご参考下さい。

    • 人工無脳型チャットボットの特徴
    • 定型化・パターン化された対応が得意
    • 簡単な質問に対しては高精度の対応を確実に行うことができる
    • パターン化されたレコメンデーションであれば実施できる
    • 適している用途
    • 問い合わせ業務の代行
    • FAQサイトのユーザーサポート
    • ECサイト・Webサービスでの接客・提案・サポート
    • 人工知能型チャットボットの特徴
    • 人間に近い自然な会話・対応ができる
    • 高度で複雑な業務にも活用出来る
    • ユーザーニーズから汲み取った最適な回答を導き出せる
    • 適している用途
    • クレーム処理等の複雑なコミュニケーションが必要な対応
    • 顧客データを基にした商品・サービスのレコメンデーション
    • 予約代行業務等の高度な処理が伴う対応

    人工無脳型のチャットボットは、定型的・パターン化された業務では素早く確実に回答をできるため、効力を発揮できると言えます。人工知能型では誤った回答を返すこともあるため、定型的・パターン化された業務には不向きと言えるでしょう。

    一方、人工知能型のチャットボットは導入・運用のコストや負担が大きくなりますが、対応品質・対応精度に優れており、より高度な対応を行うことができます。人間のオペレーターに近い対応を求められる業務や、高度で複雑な対応・処理を行う業務、人工無脳型では対応できない業務の場合は、人工知能型チャットボットが適しています。

    人工無脳のチャットボットの種類

    人工無脳のチャットボットには、対応の方式によって以下にご紹介する3つのタイプに分類することができます。それぞれのタイプによって、特徴・得意分野・苦手分野が異なるため、導入を検討する際には違いを把握しておくことが重要です。

    人工無脳チャットボットの各タイプの概要や特徴について、以下にご紹介します。

    選択肢タイプ(シナリオタイプ)

    選択肢タイプとは、事前に想定されるシナリオを用意して、提示された選択肢をユーザーが選択することで対話を進めていくタイプのチャットボットです。シナリオを進めることで、ユーザーは最終的に目的の情報や回答に辿り着くことができます。

    選択肢タイプのチャットボットは、用意されたシナリオの範囲内での対応に限られるため、ユーザーニーズを想定して考えられるシナリオを網羅することが運用のポイントとなります。

    ログタイプ

    ログタイプとは、実際にユーザーと行った会話の内容をすべて蓄積・分析し、学習を重ねていくことで、ユーザーが入力した内容に対してより自然な回答を行えるようになるタイプのチャットボットです。

    自動的に学習をしていくため、行われた会話のデータ量が多ければ多いほど、回答の精度が高まります。

    辞書タイプ(ハッシュタイプ)

    辞書タイプとは、ユーザーによる入力が想定されるワードや文章ならびにその回答を登録しておくと、入力されたワード・文章を解析して自動的に回答を行うチャットボットのことです。

    ユーザーはフリーワードで質問文を入力できるため、選択肢タイプよりも幅広く詳細な対応を行うことができます。辞書のクオリティ次第では、高度な対応を行うことも可能です。

    辞書タイプのチャットボットも、選択肢タイプと同じくあらかじめ登録された範囲内での対応となりますが、細部まで作り込めば、人間との会話に近い状況も再現できます。

    ELIZA(イライザ)タイプ

    ELIZAタイプとは、診断シミュレーション等に多く活用されている、基本的に聞き役に徹するタイプのチャットボットのことです。人類初のチャットボット「イライザ」をベースに作られていることが名称の由来となっており、イライザは現在のチャットボットの原型であるとされています。

    ELIZAタイプのチャットボットは、「はい」「いいえ」といった基本的な回答や簡単な相槌を返答することでユーザーと対話を行います。

    ユーザーが入力を行ったワードに対して返答を行うため、該当するキーワードが見つからない場合の回答は苦手ですが、曖昧な相槌を行なって会話を継続する等の対処も可能です。

    人工無脳チャットボットは「無能」なのか

    人工無脳型のチャットボットは、人工知能型より「無能」なのでしょうか?
    決してそんなことはありません。

    よく利用されるシーンとしては、カスタマーセンターやサポート窓口の対応です。
    よくある質問と回答を設定すれば、すべて自動化できます。
    FAQにある定型的な質問にはチャットボットが対応し、複雑な質問にはスタッフが対応するといったシームレスな仕組み作りも可能です。

    人工無脳チャットボットの主な活用シーン

    人工無脳型のチャットボットを活用したい方は、どのような活用シーンがあるのかも知っておきたいでしょう。実は、人工無脳チャットボットは、以下のように私たちの生活の至るところで既に活用が進められています。

    • ECサイトのWeb接客ツールとして
    • 企業・団体等の自動問い合わせツールとして
    • FAQサイトへの誘導・案内として

    人工無脳型のチャットボットは形式的な会話・回答を得意とするため、その特性を活かせるシーンで多く活用されています。

    人工無脳チャットボット導入のメリット

    人工無脳チャットボットの導入には、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。主なメリットについて以下に解説します。

    顧客対応・サポート品質の向上

    顧客は24時間365日その場でスムーズに情報を得ることができるため、離脱率の低下やカート落ちを防ぐといった効果があります。また、顧客体験・顧客満足度も向上するため、アップセル・クロスセル・リピートの促進や顧客のファン化・良質な口コミ投稿といった成果に繋げることも可能です。

    企業側の業務面でのメリット

    商品やサービスを提供する企業側の業務面においても、問い合わせ対応をチャットボットに任せることにより、業務効率化・生産性向上やスタッフの業務負荷軽減・人的コスト削減といったメリットがあります。

    コスト面でのメリット

    また、人工知能チャットボットよりも仕組みがシンプルであるため、導入・運用にかかるコスト・時間・労力が少なく、気軽に活用できることもメリットです。

    人工無脳のチャットボットは、このように商品・サービスを提供する側にも顧客側にも大きなメリットをもたらしてくれるツールとなっており、実際にECサイトやWebサービスでは積極的に導入が進められています。

    人工無脳チャットボット導入時の注意点とは?

    人工無脳チャットボットにはメリット・デメリットがあるため、導入時には以下にご紹介するような点に注意しておく必要があります。

    目的・用途に合っているかを確認する

    人工無脳チャットボットは、複雑な質問への対応は苦手としており、またシナリオにない回答を行うことができないという特性を持ちます。目的・用途によっては実用性を発揮できない場合もあるため、事前に確認しておく必要があります。

    導入にはある程度の時間を要する

    学習が必要なAI型とは異なり手軽でシンプルに活用できる点が人工無脳型の魅力ですが、対話の精度・品質を担保して実用化するまでには、シナリオや辞書の作成・対話のシミュレーション・修正や調整等を行う必要があるため、どうしてもある程度の期間がかかります。

    すぐに導入できるわけではないため、準備期間を見積もって確保しておくことが重要となります。

    定期的なメンテナンスが必要

    人工無脳型のチャットボットは、シナリオ通りの回答を行うことしかできないため、回答精度の向上を図るために定期的なメンテナンスの実施が不可欠です。メンテナンスを怠ると回答精度が高まらず、ユーザーの利便性低下・利用率低下を招くため、導入後もある程度のリソースを割かなければならない点に留意しておく必要があります。

    有能か無能かは使い方次第

    チャットボットは活用シーンによって期待される役割が異なるため、一概に「人工無脳であるから使えない」「人工知能だから優秀」であると評価することはナンセンスです。

    人工無脳が持つ「パターン化された質問には正確かつ速やかに回答できる」「導入・メンテナンスのコストや手間がかからない」といった特性を活かせるシーンにおいては、有能なツールとしてパフォーマンスを発揮することができます。要は使い方次第ということです。

    導入の目的・用途を事前に明確化しておくことが、人工無脳を有能なツールにするポイントと言えるでしょう。

    次の項目では、比較的簡単に導入できる人工無脳型チャットボットの設定方法などをご紹介します。

    人工無能のチャットボットを設定してみましょう!

    人工無能のチャットボットを設定してみましょう!

    人工無脳のチャットボットを設定する前に準備すること

    目的を明確にする

    チャットボットを導入・設定する前には、まずは導入の目的・ゴールをはっきりさせることが重要です。

    「問い合わせ件数を減らしたい」「スタッフの負担を減らしたい」「顧客の満足度を上げたい」など企業によって目的がさまざま違うはずです。

    目的が明確化されていなければ、人工無脳チャットボットが適しているのかも判断することができず、また最適なツール選びや設定を行うこともできません。

    人工無脳チャットボットの導入を成功させるためにも、十分なパフォーマンスを発揮させるためにも「何のためにチャットボットを導入するのか」「最終的にどうなりたいのか」を決定しておきましょう。

    チャットボットのプラットフォームの選択

    続いて、チャットボットを設置するプラットフォームを選択します。設置先は大きく分けて「SNS」「Webサイト」「アプリ」の3つに分けられますが、それぞれにメリット・デメリットがありますので、特性を理解して最もパフォーマンスを発揮できる設置先を選択することがポイントとなります。

    Webサイト

    人工無脳チャットボットの最も一般的な設置場所がWebサイトです。チャットボットのタグをWebサイトのソースに埋め込むことで簡単に実装することができます。

    広く認知されているためユーザーが気軽にアクセスしてチャットボットを利用できることや、ユーザーとの接点を持ちやすいことがメリットです。

    SNS(LINEやSlackなど)

    SNSも人工無脳チャットボットの有力な設置場所のひとつです。SNSのAPIとチャットボットのAPIを連携することで実装することができます。

    SNSの情報発信力・手軽さを活かしたチャット環境を実現できることが大きなメリットです。

    アプリ

    人工無脳チャットボットはアプリに設置することも可能です。近年ではアプリの利便性を高めるために、さまざまな実装事例が見られるようになっています。

    アプリへの実装を行う際には、WebビューもしくはAPIを利用します。

    管理体制の確認

    前述の注意点でもご紹介した通り、人工無脳チャットボットはパフォーマンスを維持・向上するために、定期的なメンテナンスが必要です。

    メンテナンスの実施は、漠然と意識しているだけではおざなりになってしまうケースが多くあります。そのため、導入後にメンテナンスを着実に実施できるように、導入準備の段階でメンテナンスのスケジュール・人員・フロー等の管理体制を構築しておきましょう。

    チャットボットの設定は「ツール」が手助け

    チャットボットをイチから開発するには、高度なプログラミング技術・開発期間が必要となるため、手間と時間を省いて導入したい方は「チャットボット作成ツール」を活用するのがおすすめです。ツールを活用すれば、ノーコードでスピーディーに導入を進めることが可能となり、運用・管理もスムーズに行うことができます。

    ここでは、チャットボット作成ツール「チャットディーラー」についてご紹介します。

    社内のあらゆる部署での利用が可能

    チャットディーラーは、社内バックオフィス部門での利用に特化して開発されたチャットボットです。情報システム・総務・経理・人事・労務など、社内のあらゆる部署・部門で利用することができます。

    部署・部門をまたいでの利用も可能となっており、社内のさまざまな課題解決・DX推進に寄与することができます。

    さまざまな場所へ設置可能

    チャットディーラーは、社内ポータル・社内FAQ・グループウェア・ビジネスチャット・社内システムなど、社内での利用が想定されるさまざまな場所への設置が可能となっています。社内システムへの実装確認を行いたい場合は、お試し環境で検証することも可能です。

    短期間で導入できる

    チャットディーラーは専任スタッフのサポートのもとで、手順に沿って回答テンプレートを用意するだけで稼働を開始することができます。

    問い合わせ対応の負担軽減・ナレッジ共有・従業員の自己解決率向上など、社内で抱える課題の解決にもスピーディーに貢献することが可能です。

    圧倒的な低コストを実現

    チャットディーラーは、他社チャットボットと比べてもリーズナブルな価格で利用できるため、導入の予算が限られている方や導入・運用のコストを低減したい方も気軽に利用できるツールとなっています。

    専任スタッフによる手厚いサポート

    チャットディーラーは、専任スタッフによる手厚いサポートが無料で付随しているのが大きな特徴。はじめてチャットボットを利用する方も、導入から目標達成までスタッフが伴走してくれるため、安心して利用することができます。

    まとめ

    本記事では、チャットボットの人工知能型と人工無能型の違い、チャットボット初心者さんでも比較的設定が簡単な人工無能型チャットボットの設定方法をご紹介しました。
    人工知能型と人工無能型、どちらが無能でどちらが優れているということはありません。活用シーンやビジネススタイルに合わせて使い分けることがいいでしょう。

    人工無能型のチャットボットの導入をお考えの方は、今回ご紹介した「チャットディーラー」を活用することをおすすめします。手厚いサポートで導入から導入後の効果検証までスムーズに行うことができるでしょう。ご興味をお持ちの方は、下記のサービスサイトより問い合わせてみてください。

    • 執筆者:ボットマガジン編集部
    • この記事を書いた人

      ボットマガジン編集部

      ボットマガジン編集部です!チャットボットについて、タイムリーでお役立ちな情報をお届けします。

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