今後、多言語対応のチャットボットが重宝される!?

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人間は、「言葉」によってお互いにコミュニケーションを図る唯一の生きものであると言われていますが、そのことが人間同士の意思の疎通を難しくしているかもしれません。

と言うのも、それぞれの国によって使用する「言葉」(言語)が異なるため、コミュニケーションを図る際に「言葉の壁」ができてしまうからです。
公用語として使用されている英語も、いざ海外旅行で現地に行ってみたら言いたいことを伝えられなかったり、早口でまくしたてられて理解できなかったりなど、苦い経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「言葉の壁さえなくなれば、もっといろいろな話題を詳しく聞いたり、自分の知っていることを詳しく相手に伝えたり出来るのに…」と感じたこともあると思います。かといって仕事でもない限り、現地で全く困らないレベルまで語学を勉強するのも限界がありますし、言葉のことばかり考えていたら、せっかくの旅行や観光を楽しめません。

そんなとき、必要な場面に「チャットボット」を導入して、多言語に対応することができれば、人間の「言葉の壁」という大きな悩みを解消してくれることでしょう。

ちなみに、「チャットボット」とは、古くは1966年に誕生し、会話を意味する「Chat(チャット)」と「bot(ロボット)」とを結合させた自動会話プログラムのことです。

今後、人間の「言葉の壁」をなくし、よりグローバル社会を推進するためにも、多言語に対応している「チャットボット」のニーズは、ますます高まるでしょう。
そこで今回は、今後重宝されるであろう多言語対応のチャットボットについてご紹介します。

この記事の目次

多言語対応しているチャットボットの導入がおすすめなのは?

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自動会話プログラムである「チャットボット」は、さまざまな分野でニーズが高まっています。「言葉の壁」という課題を解決するため、日本語以外のコミュニケーションを必要とする施設やサービスなどでは、多言語に対応している「チャットボッド」の導入が求められているのです。

ここでは、特に多言語に対応している「チャットボット」の導入をおすすめしたい業種を挙げてみました。

観光地など地方自治体

まず、多言語に対応している「チャットボット」の導入をおすすめしたいのは、観光地などの地方自治体です。

近年、「チャットボット」を観光客とのコミュニケーションツールとして使用している地方自治体は、徐々に増え続けています。というのも、世界遺産に登録された地域や重要文化財の多い地域などを始めとし、インターネットの普及なども影響して日本を訪れる外国人観光客は、年々、増えているからです。実際、日本を訪れる外国人は2018年時点で3,119万人で、5年前と比較すると、およそ2.3倍にも増えています。

このような状況の中、観光地の地方自治体は、その地域でどのような観光ができるのか、おすすめの観光スポットはどこかなどを、わかりやすく観光客に説明する必要があります。その地域の魅力を正確に伝えることができれば、外国人は、その土地を再び訪れたいと思うのではないでしょうか。そう思わせることができれば、その観光地の経済事情もよくなります。

外国人が旅行先や観光地を決める際には、各観光地の地方自治体のウェブサイトを閲覧することが多いでしょう。外国人観光客には、その地域の歴史や特色、見どころ、おすすめの特産物や工芸品など、日本を観光する際に知っておきたい情報が山ほどあります。

ところが、せっかく地方自治体のウェブサイトに地域の魅力が伝わるようなコンテンツがたっぷり盛り込まれていても、日本語でしか閲覧できなければ、それらの情報を知りたいと思っている外国人には伝わりません。

そこで、旅行者などの来訪が多い観光地の地方自治体のウェブサイトが多言語に対応しているチャットボットを導入すれば、「言葉の壁」がなくなり、外国人観光客をより「おもてなし」することができます。

役所

「チャットボット」は、自治体の役所に導入するのもおすすめです。

役所の窓口は、日常的にさまざまな手続きへの対応が必要です。転入転出の手続きや各種税金の案内、保険やゴミの収集日の問い合わせまで、その内容は多岐にわたります。さらに現在は新型コロナウイルス感染症の拡大により、通常とは異なる対応が求められることも多いでしょう。

そんななか、外国籍の住民が多く居住している自治体では、言葉の壁まで加わり苦慮しているところも多いのではないでしょうか。そんなときにはチャットボットを活用することで、業務改善を図れる可能性があります。

例えば比較的使える人の多い英語であったとしても、「読み書きはなんとかできるけれども会話での対応はちょっと」という日本人は少なくありません。しかしチャットボットを用意していれば、たとえ窓口に外国籍の住民が来ても、チャットボットで対応しながら内容の把握が可能です。「会話」が不要になるため、対応できる人の幅が広がります。

ホームページにチャットボットを設置しておけば、簡単な情報であれば役所に足を運ぶことなく自力で解決できることが増え、外国籍の住民の利便性も高まります。役所へのチャットボットの設置は、役所で働く人、外国籍の住民の双方にメリットがあるのです。

ホテル・旅館

ホテルや旅館にも、多言語に対応している「チャットボット」の導入をおすすめします。

先述した通り、今後日本への外国人観光客数は増加し続けます。外国人観光客数が増加するということは、もちろんホテル・旅館を利用する外国人が増加するということでもあります。

ホテル・旅館で働くスタッフは、受付での対応やレストランでの対応、何かトラブルがあった際の対応など、外国人観光客に対してさまざまな対応が必要になります。さまざまな対応が必要になるということは、それだけ語学力が必要になるということです。しかし、外国人観光客の数に対して、多言語で対応できるスタッフが足りていないことが現状です。このままだと、さらに人手不足が深刻になることは目に見えています。

そうならないためにも、ホテル・旅館に多言語に対応したチャットボットを導入することがおすすめです。受付や部屋に多言語に対応したチャットボットを設置することで、スタッフのかわりにチャットボットが対応してくれるようになります。多言語のチャットボットが、ホテル・旅館で働くスタッフの手助けになるはずです。

ECサイト

さらに、多言語に対応しているチャットボットの導入は、「ECサイト」にもおすすめできます。

昨今では、インターネットの普及により、ECサイト上で買い物をする方が増えました。ECサイトは、日本人のユーザーだけでなく海外のユーザーが利用する可能性も考えられます。しかし、海外のユーザーが、「ECサイト」の画面上で、お目当ての商品を検索して見つけても、サイトの内容が日本語にしか対応していなかったら、どうでしょうか。

海外のユーザーは、言葉の意味がわかららず、商品をどのように購入すればよいのかもわからないかもしれません。せっかく海外のユーザーに商品を「欲しい」と思ってもらえても、思いのほか購入するまでに手間がかかると、買い物をあきらめてしまう可能性があり、機会損失につながってしまいます。
そんなとき、多言語に対応できるチャットボットをECサイトに導入すれば、購入者である海外各国のユーザーは、チャットボットを活用しながら困ることなく買い物することができるようになります。

企業のヘルプデスクとして

多言語に対応しているチャットボットは、企業のヘルプデスク業務に導入することもおすすめです。

業種や業界によっては、すでに外国人の社員が多く在籍している企業もあると思いますが、これからますます外国人労働者は増えるといわれています。
外国人の社員は、ある程度日本語でのコミュニケーションは取れるかもしれませんが、会社規則の理解や、労働ビザなどの細かい事務手続きなどについては、理解できない部分が出てくる可能性が高いです。

そこで、多言語のチャットボットを導入し、外国人の社員に利用してもらうことで、スムーズに情報を伝えることができるようになります。また、ヘルプデスク業務にあたる社員も外国語で対応する必要がなくなるため、外国人の社員とヘルプデスク担当者どちらにも導入メリットがあるといえます。

多言語対応のチャットボットが必要とされる理由

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さて、さまざまな業界や場面で、多言語に対応できるチャットボットの導入が有効であることがわかりました。
ここからは、今後、多言語対応のチャットボットが必要とされる理由について考えてみましょう。

観光客数の増加

1つには、日本を訪れる外国人観光客の数が年々増加していることが挙げられます。

今後、2020年夏の「2020東京オリンピック」、「2020東京パラリンピック」の時期には、さらに外国人観光客が増加することが予想されます。7月のオリンピックまで半年を切り、オリンピック観戦とともに日本を観光しようと、外国人によるホテルや観光地のウェブサイトへのアクセスは、確実に増えているでしょう。

ホテルや観光地のウェブサイトが多言語に対応しているチャットボットを導入していれば、外国人は同サイトから必要な情報を入手することができ、不便を感じることも少なくなるでしょう。

対応スタッフの不足解消

多言語に対応できるチャットボットが必要とされる2つ目の理由として、日本を訪れる観光客が増えることに関連して、各施設で多言語に対応できるスタッフが不足していることが挙げられます。

外国人観光客が増えた場合、ホテルや旅館にとどまらず、その周辺地域にあるレストランやショップ、駅、地方自治体などのさまざまな施設で、それらの観光客に対応することになります。しかし、英語も含め、日本は外国語に対応できるスタッフが不足していると言う現状にあります。

そこで、多言語に対応できるチャットボットを導入すれば、外国人観光客に対応するスタッフをサポートし、スタッフが不足している状況を改善できます。

外国人労働者の増加

最後に、日本の少子高齢化社会に伴い、日本の外国人労働者が年々増加していることも、多言語に対応できるチャットボット必要とする理由の1つです。

2018年には、日本の外国人労働者はすでに146万人に達しているといわれおり、「日本総合研究所」の推計によると、2030年には最大で280~390万人にまで増えると予測されています。

最近では、コンビニに行くと店員が外国人であることも少なくありません。2019年4月からは、特定技能資格で就労が可能な業種に介護業・外食業・宿泊業が新たに加わったことにより、外国人労働者は、これからますます増えていくでしょう。

今後、ますます増える外国人労働者に対し、多言語に対応できるチャットボットをヘルプデスクとして活用すれば、外国人労働者の抱える不安やトラブルを軽減することができます。
2019年に実施された「外国人が働きたいランキング」で第32位にとどまっている日本も、外国人にとってもう少し働きやすい国になるでしょう。

新型コロナウイルスの感染拡大

新型コロナウイルス感染症の拡大も、多言語対応のチャットボットが求められる理由になります。前述したとおり、現在日本には多くの外国人が労働者として住民登録して住んでいます。

役者の手続きはただでさえ煩雑で、日本人でも面倒です。それが日本語を十分に使いこなせない外国人にとっては、理解が難しくなりがちです。さらに新型コロナウイルス感染症が拡大したことで、通常とは異なる手続きや書類が必要になることも増えています。

母国から離れた日本で新型コロナウイルス感染症に怯えながら、役所でも必要な情報を入手できなければ外国籍の住民の不安は増大するばかりです。かといって、窓口で多言語対応するのは現実的に難しい役所が多いでしょう。そんなときでも多言語チャットボットを活用すれば、必要な情報を適切に届けることが可能です。

  • チャットボットで自動応答
  • はじめてのチャットボット

多言語対応のチャットボットを導入した事例

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ここで、実際に多言語に対応できるチャットボットを導入した事例をご紹介します。

事例1

京都のインフォメーションセンターでは、年々増えている外国人観光客に英語や、中国語などの多言語に対応できる人材の確保が急務となっていました。そこで、人工知能型の多言語対応のチャットボットを開発し、「京都府南丹広域振興局」は実証実験を開始しました。

まず、英語のテキスト入力でチャットボットをリリースし、今後は、中国語などへの多言語の対応や音声入力・発話対応を今後実装する予定です。
京都府南丹広域振興局が導入したチャットボットは、AIがユーザーの位置情報を取得し、「近くのおみやげ屋はどこ?」などの問いかけや、「保津川下りへの行き方は?」などの質問にも的確に回答し、京都観光に必要な情報を提供してくれます。
この多言語に対応できるチャットボットの導入によって、収集したユーザー情報を、AI技術でマーケティングや行動分析を行い、施設の混雑予測データなどに活用することも検討しています。

さらに、京都府南丹広域振興局が導入した多言語に対応するチャットボットは、今後、自ら対話文を作成し、自由にユーザーと対話してユーザの要望に応えられるパーソナルAIに成長するとのコンセプトが掲げられています。
もし、そのようなAI技術によるシステムが完成すれば、まだ世界に前例のない多言語に対応できるチャットボットが誕生することになるでしょう。

事例2

株式会社チョイスホテルズジャパンでは、年々お客様からの問い合わせの数が増加するのに、フロントスタッフは目の前のお客様への対応で手一杯で、レスポンスの遅延が発生する状況に頭を悩ませていました。

そこでお客様からの問い合わせに対応するために、チャットボットの導入を決断します。株式会社チョイスホテルズジャパンは海外ブランドであったことから外国人のお客様が多かったことから、チャットボットは多言語対応可能なものを選びました。

導入後はお客様への回答支援に期待通りの効果を発揮し、さらにLINEなどのチャットツールと連携して利用することで「お友達」が増え、リピーターの獲得にもつながっています。

今後はLINEを介したマーケティング活動の実践など、チャットボットの幅広い活用を進めていきたいと考えているそうです。

事例3

大阪観光局でも、世界に向けた大阪の観光情報の発信、来阪観光客への24時間問い合わせ対応を実現するために、多言語対応チャットボットを導入しました。旅行前の問い合わせに対応することはもちろん、地図アプリと連携することで、旅行中にもさまざまなタッチポイントで観光客のサポートを実現しています

具体的には観光客が大阪観光局のホームページからチャットボットに入ると、まずはAIチャットボットがシナリオに沿った自動対応を開始します。キーワードに応じた画像やテキスト、FAQを表示しますが、回答できない状況が複数回続くと有人チャットへとエスカレーションするシステムです。これにより、顧客満足度の低下を防いでいます。

さらに観光客からの問い合わせ内容を分析することで、どの国からどういった問い合わせが多いのかを把握でき、国別の真のニーズや傾向をつかめました。今後はチャットボットから得られたデータの、マーケティングへの活用を展望しています。

多言語チャットボットの導入方法

それでは多言語チャットボットはどのように導入すればいいのか、方法を2つご紹介します。

自ら開発する

多言語のチャットボットを導入する方法のひとつは、自ら開発することです。自社で開発を行うと、自社のニーズに完全にマッチしたチャットボットを作成できるメリットがあります。多言語対応したい場合も、問題なく可能です。

しかしチャットボットを自社開発するのは、高度なプログラミングの知識とノウハウ、開発にかけるコストと時間が必要です。開発にかけたコストに見合うだけのリターンが得られるかまで精査しないと、導入はしたものの利用率が低ければ、コストを回収できない可能性もあります。

そのため基本的には、以降で紹介するAPIやチャットボット作成ツールを活用するのがおすすめです。

APIを活用する

チャットボットの自社開発は、LINEやFacebook、SlackなどのAPIを活用すると、比較的ハードルが下がります。APIとはソフトウエアやアプリの一部データを外部に公開すし、連携を可能にする仕組みです。

たとえばFacebookであれば、メッセンジャー機能にチャットボット機能を搭載させれば、メッセンジャー経由の問い合わせに自動返信できるようになります。ユーザー側も普段使用しているアプリを使って情報を得られるため、利便性がいいことがメリットです。

チャットボット作成ツールを活用する

チャットボットの作成は、チャットボット作成ツールを利用する方法もあります。

チャットボット作成ツールはさまざまな企業から提供されており、内容も多種多様です。基本的にはプログラミングやコーディングなどの専門知識が不要で、画面を見ながら簡単な操作でチャットボットを作成できます。

ただし多言語に対応したチャットボットを導入するには、ツールが多言語に対応しているかどうかを確認する必要があります。チャットボット作成ツールのなかには、多言語に対応していないものも多くあるので注意が必要です。

なお、多言語対応のチャットボットを作成するなら、こちらのツールがおすすめです。

チャットディーラーについて詳しくはこちら

多言語のチャットボットを有効活用しましょう!

多くの外国人が日本を訪問し、日本で働き、そして生活していることを考えると、どんな企業や自治体も、今後は言葉の壁を越えたサービスや支援を検討する必要があります。外国人観光客や外国籍の住民の利便性を高めて不安を解消することは、結局はそこで働く日本人の業務負担の軽減にもつながります。

多言語チャットボットは自社開発も可能ですが、そのためには高度なプログラミングの知識とノウハウ、そしてコストが必要です。コストを抑えて多言語チャットボットを導入するなら、既存チャットツールのAPIや、チャットボット作成ツールを活用するのがおすすめです。

なおチャットボット作成ツールは、多言語対応していないものがあることには注意しましょう。チャットボットの導入を検討しているなら、ぜひこちらの記事も参考にしてみてください。簡単に導入する方法などをご紹介しています。

チャットボットで問い合わせをラクに。
  • 執筆者:ボットマガジン編集部
  • この記事を書いた人

    ボットマガジン編集部

    ボットマガジン編集部です!チャットボットについて、タイムリーでお役立ちな情報をお届けします。

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