チャットボットの導入で「業務効率化」が実現した事例3選
「チャットボット」をご存知でしょうか。チャットボットとは、「チャット」と「ボット」を掛け合わせた言葉で、あらかじめ設定されたシナリオまたは人工知能による自動会話プログラムのことを指します。チャットボットを導入することで大幅な業務効率化につながると、話題を集めています。
本記事では、チャットボットを導入すると、どのように業務効率化ができるのか詳しくご紹介していきます。チャットボットの利便性の高さや、ここまで発達してきた文化のスピードに驚かれるかもしれません。
この記事の目次
- チャットボットの導入で業務効率化すると?
- スタッフへの負担が軽減できる
- 人件費を削減できる
- 対応品質を向上させられる
- チャットボットの導入で業務効率化が実現した事例3選
- 業務効率化により残業時間を大幅に削減できた事例
- 業務効率化により他の業務に注力できた事例
- 業務効率化により社内ヘルプデスクの負担を軽減できた事例
- より業務効率化を加速させるには…?
- "使われるチャットボット"を作成する
- 運用体制を整えておく
- まとめ
チャットボットの導入で業務効率化すると?
チャットボットを導入すると、今まですべて有人で行っていた対応業務を一部自動化することができるため、大幅な業務効率化が期待できます。
それでは、チャットボットの導入により業務効率化が実現すると、どんなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、チャットボット導入後に感じることができる変化についてご紹介していきます。
スタッフへの負担が軽減できる
1つ目のメリットは、スタッフへの負担が軽減できる点です。
前述した通り、チャットボットを導入すると、対応業務を一部自動化することができます。特に、FAQページに掲載されているようなパターン化した問い合わせに関しては、チャットボット内で対応を完結することができるようになります。
全体の問い合わせの半数以上をパターン化した質問が占めている企業のスタッフは、毎日繰り返し同じ回答をする必要があり、大きなストレスを感じているはずです。
チャットボットを導入することで、スタッフの体力的負担に加えて、精神的負担も軽減することができるといえます。
人件費を削減できる
人間は1日の労働時間が決まっていますし、深夜対応を実現しようとすれば企業は日中よりも高い人件費を払って雇用する必要があります。しかし、チャットボットは24時間365日、時間を問わずにユーザーへの対応を行ってくれます。
また、昨今は人手不足や働き方改革による残業削減の動きによって、少ない人数でいかに効率的に業務を回していくか工夫することが企業には求められています。そこでチャットボットを導入して問合せ業務を分担すれば、カスタマーサポートに割く人員を削減したり、スタッフの残業代を削減したりといった効果が期待できます。
さらに、新しくスタッフを採用する場合でも、チャットボットが業務の一部を担ってくれていれば覚えることも少なくなり、教育に割く時間を減らすことができるでしょう。
対応品質を向上させられる
チャットボットを導入することで、簡単な問合せにはチャットボットで対応することができるようになります。したがって、スタッフはチャットボットでは回答が難しい複雑な質問や、臨機応変な対応が求められる問い合わせに専念して対応することができます。一つ一つの対応に時間がかけられるようになるため、自然と対応品質も向上していくでしょう。
また、ユーザーがとってカスタマーサポートセンターの電話がつながらないというのはストレスで、大きな不安にもつながります。しかし、簡単な質問をチャットボットで対応することで、カスタマーサポートへの問合せが減れば必然的に電話が繋がりやすくなり、緊急で対応してもらいたい顧客の問合せがつながりやすくなります。
スタッフにとっても、顧客の待ち時間が発生しないことで長時間待たされてイライラした顧客から怒りをぶつけられるリスクを回避することができるため、精神的な負担が軽減できます。
待ち時間が発生しないことは顧客満足度の向上にもつながるため、顧客とより良い関係を構築するという点でも、チャットボットは活躍してくれるでしょう。
チャットボットの導入で業務効率化が実現した事例3選
ここでは、実際にチャットボットを導入して業務効率化を実現した事例を3つご紹介していきます。
業務効率化により残業時間を大幅に削減できた事例
近江牛発祥の地、彦根でオンラインショップや飲食店を展開する株式会社千成亭風土が、チャットボットを導入して大幅な業務効率の改善を実現しました。
FAQページを作成してもユーザーに見てもらえないという課題を抱えた千成亭風土では、チャットボットを導入することで、1ヶ月におよそ150件弱あったよくある内容の問合せを90%も減らすことができました。
問い合わせ数を減少できたことにより、ほかの作業を前倒しで行えるようになったため、パートタイマーの残業時間を、繁忙期で最大70時間削減することができました。チャットボット導入前は22時という遅い時間まで残業するスタッフも多かったですが、導入後は全体的に早い時間に帰宅できており、働き方改革の一手にもなりました。
また、もっと作業を効率化できるのではないかと考える社員が増え、会社全体の発展につながっています。
さらに、チャットボットのレポーティング機能を活用し、ユーザーの利用状況を把握することで、Webサイトの改善にも役立っています。
業務効率化により他の業務に注力できた事例
次は、ビジネス英会話に特化したオンライン英会話学習サービスを提供するビズメイツ株式会社の事例をご紹介します。
ビズメイツにとって、オンライン英会話学習サービスの受講者数の増加に比例して、問合せ数も増加することは悩みの種で、問い合わせをさばききれないこともあり、対応品質を保つことを課題としていました。課題解決方法を探す中で、ユーザーの使いやすさを考えチャットボットの導入に踏み切りました。
導入にあたって、リリース前のテスト期間で直近3ヶ月の問合せ内容から、特に多かった質問内容を抽出してチャットボットを設定し、結果的に問合せ件数を25%削減という大幅な業務効率化を実現することができました。
削減できたリソースを新しいプロジェクトに投入することができ、会社全体の成長につながっています。
業務効率化により社内ヘルプデスクの負担を軽減できた事例
最後は、三菱ケミカル株式会社が社内ヘルプデスク業務にチャットボットを導入し、業務効率化した事例をご紹介します。
三菱ケミカル株式会社は、三菱化学・三菱樹脂・三菱レイヨンの3社が統合してできた企業です。3社の統合時には、社内の管理システムが刷新されたことによって、勤怠入力や諸々の申請に対する質問がヘルプデスクに殺到しました。社員とヘルプデスク担当者の業務効率化を実現するため、チャットボットが導入されました。
チャットボットをうまく活用することで、社員から寄せられる問い合わせを自動化し、社員とヘルプデスク両者の業務効率が改善しました。
このように、チャットボットはユーザー対応業務だけでなく、社内ヘルプデスクの業務効率化を実現するツールとしても活用されています。
より業務効率化を加速させるには…?
チャットボットの導入を実現させることで、業務が効率化できる可能性が大いにあるということを上記の3つの例から理解いただけたでしょう。ただし、漠然とチャットボットを導入しても成果にはつながりません。
ここでは、チャットボットでより業務効率化を加速させるために必要な3つのポイントを詳しくご紹介していきます。
"使われるチャットボット"を作成する
チャットボットを導入する以上は、ユーザーに活用してもらえるチャットボットでなければ意味がありません。ユーザー目線で作成されていないため使いにくかったり、役に立たなかったりするチャットボットに生産性はないでしょう。
チャットボットを導入するのであれば、どのようにしたらユーザーにとって有益なチャットボットにすることができるのか、綿密に準備する必要があります。
以下で、具体的にどんな取り組みをすべきかご紹介します。
あらかじめニーズ情報を収集しておく
チャットボット導入して現場で活躍させるためには、事前準備が非常に大切になってきます。まずは、あらかじめユーザーがどんなニーズを持っているのかということを事前に調査しておきましょう。情報収集は、チャットボット導入の肝です。
ユーザーのニーズ情報ですが、現在設置している問い合わせ窓口に寄せられた過去の質問を参考にすべきでしょう。過去に多く質問が寄せられたということは、それだけユーザーが疑問に思うということです。必ずチャットボットに設定するようにしましょう。
また、ヘルプデスク業務にチャットボットを導入する場合は、季節柄多い質問をチャットボットに設定しておくことがおすすめです。例えば、年末に増加する年末調整の質問や、年度始めの異動が増える時期に多い申請書のダウンロード方法などは、あらかじめチャットボットに設定しておくといいでしょう。
改善を続ける
チャットボットを導入して問題解消に成功していても、さらなる改善の余地がないか検討する姿勢は崩さないようにしておきましょう。チャットボットを導入して終わりというわけではなく、導入してからがスタートです。導入後に改善を続けていくことで、チャットボットはさらに活躍することができます。
そのためには、日々効果測定を行い、改善点を洗い出す作業が必要です。例えば、チャットボットの利用率が低い場合は、投げかける質問は適切か、もしくはチャットボットが表示される場所やタイミングは最適であるか見直す必要があるでしょう。
また、ユーザーのチャットボット利用満足度が低い場合は、質問・回答の内容を見直す必要があります。
ユーザーにとって使いやすいチャットボットを目指すために、日々さまざまな改善を続けるようにしましょう。
運用体制を整えておく
チャットボットを導入した際には、運用体制をしっかり整えておくということも非常に大切です。
前述した通り、チャットボットは導入して終わりではなく、継続的に改善を続ける必要があります。
社内でどのスタッフ・チームが改善作業を行うのかあらかじめ明確にしておかないと、ほかの業務に追われて、いつになってもチャットボットのアップデートが行われないという事態になりかねません。
運用体制を整え、アップデートのスケジュールを決めておくことで、計画的な運用ができるでしょう。計画的な運用は、精度の高いチャットボットに近づく一歩です。
まとめ
この記事では、チャットボットを導入して業務効率化すると得られるメリットや実際の導入事例、導入時のポイントをご紹介しました。
チャットボットを導入すると大幅な業務効率の改善が期待でき、利用する側・利用される側どちらにも大きなメリットがあることがお分かりいただけたかと思います。
しかし、ただ単にチャットボットを導入するのでは、効果は期待できません。記事の後半でご紹介したポイントに留意しましょう。
チャットボットで業務効率化を実現し、会社全体の生産性向上を目指しましょう。
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