【AIチャットボットの種類】導入・運用で注意すべきポイントとは?

AI(人工知能)の発達や働き方改革が推進されている影響で、「チャットボット」が注目を集めています。
近年、業務効率化や人的リソースの削減を目的に、導入する企業が年々増加。特に、文字通りAIを搭載する「AIチャットボット」は、より人間の会話に近いコミュニケーションを図れるとして、幅広い場面で活用されつつあります。
この記事では、AIチャットボットの種類や導入・運用の際に注意すべき点について、ご紹介します。
チャットボットとは?

「チャットボット(Chatbot)」とは、会話を意味する「chat」と、ロボットを意味する「bot」を組み合わせた言葉で、ユーザーの質問に対して自動で返答するプログラムのことを指します。
近年、人手不足や働き方改革の影響でカスタマーサポート業務の効率化を図るため、幅広い企業で導入。ECサイトや企業サイトでチャット画面を目にすることも増えました。
また、チャットボットを設置することで、カスタマーサポートの差別化にもつながるとして、市場競争の激化という点も、チャットボットの拡大を後押ししています。
次章では、チャットボットの種類について見ていきます。
チャットボットは目的別に種類がある
チャットボットは、利用する目的・用途によって、大きく分けてFAQ型・処理代行型・情報発信型・雑談型の4つの種類に分けることができます。
ここでは、目的別で分類された4種類のチャットボットの概要について解説します。
FAQ型
FAQ型チャットボットとは、ユーザーが入力した質問に対して適切な回答を行うタイプのチャットボットです。ユーザーはチャットボットとの簡単な会話を行うだけでスムーズに回答を得ることができるのが特徴です。
FAQ型は、対応業務を自動化・効率化できることから、カスタマーサポート・社内ヘルプデスクなど、社内外のさまざまなシーンで活用されています。
処理代行型
処理代行型チャットボットは、ユーザーとの会話の過程から得た情報をもとに、特定のシステム処理を代行することができるタイプのチャットボットです。
ミーティングの日時確定・運送業者の集荷や再配達依頼・サービスの予約など、さまざまな処理を代行させることが可能。業務自動化による生産性向上・利便性向上など、管理者・利用者にさまざまなベネフィットをもたらすことができます。
情報発信型
情報発信型チャットボットは、ユーザーとの会話ではなく特定のタイミングで情報発信・情報配信を行うことを目的としたチャットボットです。
新商品情報・キャンペーン情報・イベント情報など、従来用いられていたWebサイト・アプリ・メールによる情報発信の代替手段として活用されます。リマインダーとして活用されることもあります。
ユーザーの動向・傾向を踏まえて情報発信を行ったり発信手段を工夫したりすることで、従来用いられていた媒体よりも高い効果を期待することができます。
雑談型
雑談型チャットボットとは、顧客対応や処理を行うのではなく、ユーザーとの会話・雑談を行うことを主な目的としたチャットボットです。親しみやすいキャラクター型のUI・コミュニケーションパターンが採用されているのが大きな特徴です。
プロモーションサイト・キャンペーンサイト・イベント会場のようなシーンで、友人のようなフレンドリーなコミュニケーションを行ったりといった用途で活用されます。
課題解決や情報提供といった明確な効果はありませんが、ブランディング・満足度向上・ファン獲得といった間接的なベネフィットを見込んで利用されるチャットボットとなります。
チャットボットはAIの有無で種類が分かれる

チャットボットには、大きく分けて「AIチャットボット」と「シナリオチャットボット」の2種類が存在します。それぞれにメリットとデメリットがあるため、理解したうえで自社の解決したい問題などと照らし合わせながら導入を検討するようにしましょう。
以下では、2種類のチャットボットのメリット・デメリットについて詳しくご紹介します。
AIチャットボット
AIチャットボットは、事前に入力したデータや、ユーザーが利用したことによって蓄積されたデータをAIが解析し、最も適切な回答を導き出して返答する仕組みです。
AIが搭載されているため、万が一回答を間違えた際は、学習して次回以降の対応に反映。何度も利用することによって、回答精度を向上させる特徴を持ちます。
AIチャットボットは幅広い質問に対応可能なため、複雑な回答を提示したり、雑談を通じて柔軟にユーザーとのコミュニケーションを図ったりするシーンに最適です。例えば、アパレルECサイトで活用すれば、これまでの会話履歴を分析して、ユーザーにおすすめの商品を提案することも可能です。
では、AIチャットボットのメリットとデメリットについて、整理して見ていきましょう。
メリット
AIチャットボットのメリットには、学習したデータの蓄積によって幅広い回答が実現できる点が挙げられます。質問者によっては、言い回しやニュアンスに違いがあり適切な回答が難しいケースも少なくありません。しかし、AIチャットボットであればこれまでに学習してきたデータから統計的に最適な回答を自然な文章で返すことが可能です。
また、利用していくにつれてAIが学習を繰り返すため、徐々に回答精度の向上が見込めます。ただし、学習データのチューニングが必要である点は、注意が必要です。
デメリット
AIチャットボットは、導入までに大量のデータを用意する必要があります。用意したデータの品質によっては、回答精度が悪かったり、精度が思うように向上しなかったりするため、準備に多くの工数が必要になるケースがあります。
また、先述した通り、学習機能が備わっているとはいえ、定期的なメンテナンスは必要です。そのため、運用担当者を配置しなければならず、データ分析に手間がかかるという点もは挙げられます。
主な用途
AI型チャットボットは、上記のような特徴・メリット・デメリットから、主に以下のような用途で多く用いられています。
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社内ヘルプデスク
社員から寄せられる質問・疑問に自動対応させることで、生産性向上・業務負荷軽減・コスト削減などに役立てられています。汎用性が高く高度な対応ができるため、あらゆるバックオフィス部門での利用が可能。
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Web接客
ECサイト・Webサービス等にWeb接客ツールとして設置を行い、顧客情報・行動履歴・会話内容などから自動で判断して、顧客の購買サポート・おすすめ商品提案などに活用。ユーザーの利便性・満足度向上や店舗の販売促進などに役立てられています。
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カスタマーサポート
高度な対応ができる特性を活かして、さまざまな分野でユーザーからの問い合わせ対応に活用され、業務効率化やコスト削減に役立てられています。
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予約サイトの自動対応
システム処理が搭載されたAI型チャットボットを用いて、飲食店・宿泊施設等での予約業務・確認業務の自動対応等にも活用されています。
シナリオチャットボット
シナリオチャットボットは、あらかじめ設定したシナリオ通りに会話を進める仕組みです。「Aという質問を選択されたら、Bと回答する」のように、ルールに従って会話を進めます。AIチャットボットとは異なり、状況に応じてオリジナルな回答をすることはできませんが、あらかじめ設定したシナリオの範囲内であれば、確実に返答できるという特徴があります。
活用シーンとしては、特定の問い合わせに対して回答するカスタマーサポート業務や、FAQなどに適しています。
シナリオチャットボットについても、メリットとデメリットを整理していきましょう。
メリット
シナリオチャットボットは、CSVなどで質問と回答を取り込めばすぐに運用を始められるシステムもあることから、導入に対するハードルが低い点がメリットです。シナリオに沿って回答を提示するため、回答内容にブレが生じない点も大きな魅力でしょう。
また、簡単な質問はチャットボット、複雑な質問はオペレーターへ繋ぐといった連携で業務を効率化させることもできます。
デメリット
シナリオチャットボットには、ルールから少しでも外れた内容には対応できないというデメリットがあります。そのため、複雑な問い合わせに関してはオペレーターの力が必要となるため、ユーザー側からすると二度手間になってしまい、チャットボットとオペレーターの連携方法に注意しないと顧客満足度を下げる要因となる可能性もあります。
また、幅広い問い合わせに対応するためには、事前に膨大な量の質問に対する回答データを用意しなければなりません。そのため、シナリオ設計や回答の準備に膨大な工数がかかります。AIチャットボットのように学習機能も備わっていないため、定期的な修正・更新も必要です。
主な用途
シナリオ型チャットボットは、上記の特徴・メリット・デメリットから、主に以下のような用途で多く用いられています。
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カスタマーサポート
ECサイト・Webサービスのカスタマーサポートの代行として、回答ページの案内やオペレーターへの取次などに活用されています。
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レコメンド機能
特定の商品を購入した顧客にはある商品を進めるなど、パターン化された対応を行うタイプの販売促進に活用されています。
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FAQ対応
定型的な質問・パターン化された質問が繰り返される状況において、問い合わせ業務の自動対応等に活用されています。
チャットボットを仕組みで種類分けすると?

ここまで、AIチャットボットとシナリオチャットボットに分けて、その特徴をご紹介してきました。
チャットボットは、先述した2種類に分けるだけでなく、仕組みに応じて「ログ型」「選択肢型」「辞書型」の3つに分類することも可能です。
以下では、3つの型をそれぞれ詳しくご紹介します。
ログ型
ログ型チャットボットとは、過去の会話をログとして蓄積を行い、そのデータを活用することで高度な会話や自然な会話を行うことができるチャットボットのことです。一般的なAI型チャットボットには、このログ型の仕組みが採用されています。
蓄積されたログのデータ量や学習量によって対応品質が大きく変わるため、会話の精度やパフォーマンスを高めたければ、ログを大量に蓄積して学習を重ねることが重要です。反対に、ログや学習が不足していると会話ができなかったり不自然になったりする場合があります。
ログ型チャットボットは精度を高めれば非常に高度な対応が可能でさまざまな分野で活用できるため、現在多方面で導入・運用が行われているチャットボットとなります。
選択肢型
選択肢型チャットボットとは、あらかじめ登録しておいた選択肢をユーザーに提示することで会話を進めるタイプのチャットボットです。上述のシナリオ型チャットボットの代表的なタイプとなります。
ユーザーは選択肢を選ぶだけでスムーズに回答を得ることができるため、手軽に利用できるのが大きな特徴。ITやツールが苦手なユーザーも利用しやすいという利点があります。質問の種類が少なく用途が限定されている場合においては、高いパフォーマンスを発揮することも可能です。
一方で、あらかじめ登録した選択肢の範囲のみでしか会話ができないことや、選択肢の質が悪ければ使い勝手が悪くなるためシナリオ設計に手間がかかることがデメリットとなるため、導入時にはよく検討しておく必要があります。
辞書型
辞書型チャットボットとは、事前にキーワード・単語・会話テンプレートを辞書に登録しておき、それをもとに会話を行うタイプのチャットボットです。問い合わせ対応・通訳などの分野で活用されています。
シナリオ型と動作の仕組みは類似していますが、ユーザーは選択肢ではなくフリーに任意のキーワードを入力できることが大きな特徴。選択肢型よりも幅広く柔軟な対応が可能となり、ある程度のレベルであれば実際の会話のような対応を行うことも可能です。
ただし、会話や回答の精度を高めるためには、大量のキーワードを登録したり表記ゆれを含めた設定を行ったりと、労力をかけて辞書の作り込みを行う必要があります。
AIチャットボットの種類

AIチャットボットは、導入目的によって「CVR向上型」と「問い合わせ対応型」の2つに分けられます。以下では、それぞれの特徴についてご紹介します。
<問い合わせ対応型>AIチャットボット
問い合わせ対応型とは、社内・顧客を問わずユーザーからの問い合わせ対応を効率化させることを目的としたプログラムです。問い合わせ対応型の利点としては、今までの業務をチャットボットに代行させることで、人的コストを削減できる点です。
他にも、24時間365日稼働し続けていることによる即時対応の実現や、会話を分析してサービスの改善を行うことによって、顧客満足度の向上につなげられるメリットもあります。
問い合わせ対応型には、チャット評価をユーザーに回答してもらいサービス改善などの材料に活用するためのアンケート機能や、回答の精度を高めるのに便利なレポート機能などが備わっています。
<CVR向上型>AIチャットボット
CVR向上型とは、企業の売上向上を目的としたプログラムです。売上を向上させる施策としては、自社のWebサイトやランディングページにチャットボットを設置してコンバージョン率を高める方法や、チャットボットを通じて潜在顧客とのコミュニケーションを図り育成する方法などが挙げられます。
また、既存顧客とのコミュニケーションを図ることで、ロイヤリティを向上、売上増加に結び付ける方法もあります。
CVR向上型には、キャンペーン情報などを提供するポップアップ機能や、入力フォームを最適化させるEFO機能などが備わっていることも多く、展開したいマーケティング施策に応じた柔軟なカスタマイズが可能です。
以下の記事では2種類のAIチャットボット別におすすめのツールを比較してご紹介していますので、あわせてご参照ください。
AIチャットボットの導入・運用ポイント
AIチャットボットは、人間同士の会話に近い対応ができるなどのメリットも多くありますが、ただ導入しても期待する効果が得られません。以下では、導入そして運用におけるポイントについて3つご紹介します。
導入目的を明確化する
企業の目的に応じたチャットボットを選ばないと、業務負担の増大や顧客満足度の低下などの影響が出る可能性があるため注意が必要です。
導入効果を最大にするためには、事前に自社の課題を洗い出し、チャットボットを導入して解決できるかどうか判断する必要があります。
また、解決したい課題に応じて、本当にAIチャットボットの導入が適切なのか、チャットボットの種類についてもよく吟味しましょう。
AIチャットボットの担当者を決めておく
回答精度が低いと顧客満足度にも影響を及ぼすため、必ず担当者を決めて定期的なメンテナンスを行いましょう。担当者を置くことで運用が進みやすくなり、チューニング作業が後回しにされる事態を防げます。
しかしながら、企業によっては人員が足りず担当者を立てることができない場合もあるでしょう。その際には、チャットボットを提供するベンダーに運用や分析の代行を依頼するのもおすすめです。
自社に合うAIチャットボットツールを選ぶ
チャットボットによって、機能や費用、サポート体制などが異なるため、導入する際は自社の課題を解決するのに最適なものを選びましょう。料金の安さや機能の豊富さだけで選んでしまうと、実際の運用に即さないことも考えられます。
チャットボットによっては、トライアル期間を設けているケースもあるため、操作性やメンテナンスのしやすさなどを比較するのもおすすめです。
多様化するAIチャットボットの使い方
AIチャットボットは、主にカスタマーサポート分野で活躍してきましたが、近年社内ヘルプデスクでの活用も注目されています。
社内ヘルプデスクに、毎日数多くの問い合わせが寄せられ、その対応が追い付いていないという企業も多いでしょう。また、社内ヘルプデスクの担当者は、他の業務と兼任していることも多く、問い合わせ対応に追われ、本来の業務に支障が出ている、もしくは残業を強いられているなどのケースも多く見られます。
そこで、カスタマーサポート場面と同様、AIチャットボットを活用することで、問い合わせ数の削減が実現し、社内ヘルプデスクの負担軽減につなげるのです。
ここでは、社内向けヘルプデスクにおすすめの「チャットディーラーAI」をご紹介します。
<社内ヘルプデスク向け>チャットディーラーAI
チャットディーラーAIは、株式会社ラクスが提供する社内ヘルプデスクに特化したAIチャットボットです。
通常のAIチャットボットの場合、導入時に膨大な学習データを用意する必要があります。しかし、チャットディーラーは、すでに社内で発生し得る問い合わせデータを学習済みであるため、コストをかけずにスムーズに運用を開始することができます。
また、1契約だけで総務部や経理部など複数の部署での利用が可能です。さらに、問い合わせへの回答にはファイルを添付できるため、テキストのみの場合と比べて高い解決率も期待できます。
AIチャットボットというと、月額10万円以上かかるのが一般的ですが、チャットディーラーは、月数万円程度の費用で利用可能です。
詳しくは、下記をチェックしてみてください。
まとめ
今回は、AIチャットボットの種類と導入・運用の注意点についてご紹介しました。チャットボットには、シナリオ型とAI型に大きく分かれていますが、仕組みによっていくつかの種類に分類できます。
AIチャットボットを導入する際は、自社に最適なものを選ぶために導入目的を明確化し、担当者の選任といった運用体制の構築を必ず行いましょう。
AIチャットボットは、チューニングに時間がかかるため一般的にすぐに運用を開始するのが難しいものです。しかし、チャットディーラーであれば、学習済みのためデータ整備は不要で、すぐに導入可能です。最小限の負担でAIチャットボットを導入したい企業は、ぜひチャットディーラーの導入をご検討ください。
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この記事を書いた人
ボットマガジン編集部
ボットマガジン編集部です!チャットボットについて、タイムリーでお役立ちな情報をお届けします。