今期こそ効率化を達成したい!注目を集める「FAQシステム」は使いこなすことができるのか?
企業が顧客満足度を向上させようとするとき、顧客との接点が多いカスタマーサポート部門の強化を考えるはずです。
しかし、スタッフの増員や、教育の刷新はコストと時間がかかり、人の能力にはばらつきがありますので、サービスの質を安定させることは簡単ではありません。
そこで現在、多くの企業が、カスタマーサポートの強化策として、FAQシステムを導入しています。
このFAQシステムとは、顧客やユーザーが知りたがっていることを可能な限り短時間で回答する仕組みのことを表します。
FAQシステムにはいくつか種類がありますので、導入するには自社がどのFAQシステムとマッチするのかを正確に把握する必要があります。
今回は、FAQシステムの基礎知識をおさらいしたうえで、FAQシステムを導入するメリットや、FAQシステムの選び方について詳しく見ていきましょう。
FAQシステムの基礎知識
「FAQ」は「Frequently Asked Questions」の略となり、「頻繁に尋ねられる質問」を意味しています。
つまり、FAQシステムとは、製品やサービスを提供する企業が、顧客やユーザーが疑問に思うであろうことを事前に想定し、尋ねられたら即座に回答できるようにする仕組みのことです。
企業が提供する製品やサービスの種類が増えたり、事業規模が拡大したりすれば、あらゆる場面でFAQが発生することになります。
そのときに体系化されたFAQシステムがなければ、スタッフは日々のFAQ対応に追われることになってしまうでしょう。
または、FAQ対応が疎かになり、顧客満足度が低下するかもしれません。
したがって、順調に拡大している企業ほど、そして製品点数やサービス内容が充実している企業ほど、FAQシステムの必要性が高まるというわけです。
FAQシステムを導入するメリット
FAQシステムの導入により、顧客側とカスタマーサポート側にそれぞれメリットがあります。
顧客のメリット
FAQシステムは顧客サービスの一環として導入することになりますので、まずは顧客がそのメリットを享受することができます。
例えば、顧客が夜間に製品を使っているときに、操作方法がわからなくなったとします。
そのとき、24時間365日対応のFAQシステムがあれば、顧客はすぐに問題を解決でき製品を使い続けることができます。
これが電話対応やメールによるカスタマーサポートのみですと実現することは難しいでしょう。
さらに顧客が気軽に問い合わせすることができません。
しかしFAQシステムが整備されていれば、顧客は遠慮なく問い合わせをすることができます。
このような日常的に発生し得るFAQにおいて、顧客がメリットを享受すれば、製品やサービスを提供している企業にロイヤリティ(信頼や愛着)を感じるようになり、企業に取ってもメリットが大きいでしょう。
カスタマーサポートのメリット
もうひとつ重要なFAQシステムによるメリットは、カスタマーサポートの負担が軽減されることです。
ときに顧客対応は大きなストレスになることから、カスタマーサポートは、離職率が高い職種と言われています。
また、スタッフの確保が難航している企業も少なくないはずです。
このような問題に対して、FAQシステムが活躍します。それはFAQシステムには「正確な答え」が登録されているためですが、これをカスタマーサポートのスタッフも参考にすることができるのです。
もしFAQシステムがなければ、スタッフは製品やサービスのカタログやマニュアルを読み込み、学習しなければなりません。
これには膨大な時間がかかるばかりか、個人差もありますので、サポートの品質を均一化することは困難をきわめます。
しかし、FAQシステムがあれば、アクセスするだけで「正答」を得ることができ、それをそのまま顧客に伝えることもできるでしょう。
また、FAQシステムには、自動で顧客に対応する機能を搭載したものもあり、スタッフの負担を大幅に軽減することができます。
FAQシステムを導入したことにより、スタッフによる顧客対応がピーク時の半分近くに軽減された事例などもあります。
さて、FAQシステムのメリットを確認できたところで、次はFAQシステムの種類や具体的なサービスを知って「自社にマッチしたFAQシステム」を探してみましょう。
FAQシステムの種類
FAQシステムにはいくつかの種類があります。ここではFAQシステムの代表例を見てみましょう。
<オペレーター支援型>
カスタマーサポートのスタッフが使うシステムです。
この場合、顧客の対応をするのは、あくまでも人となります。このオペレーター支援型のFAQシステムに、あらかじめFAQや顧客対応に必要な情報をFAQシステムに登録しておき、スタッフはその情報にアクセスして、顧客対応に活用します。
<知見集約型>
製品カタログや取扱説明書、マニュアルやベテラン社員の知見などをFAQシステムに取り込みます。
これを顧客対応時やスタッフの教育向けに活用します。
例えば、新入社員がわからないことがあっても、このFAQシステムにアクセスすればある程度は自力で解決できるようになります。
また、スタッフたちのいわゆる「暗黙知」を次世代に継承することも期待されます。
<チャットボット型>
顧客がチャットに質問などを投げかけると、システムが自動で回答してくれます。人との対話形式に近いため、顧客は気軽に利用することができます。
これまでに蓄積されたFAQをチャットボットに登録することによって、このFAQシステムは、先の2つよりもはるかにリーズナブルなコストで実現することができます。
これらFAQシステムの共通点は、あらかじめFAQシステムにFAQやその他の情報を登録しておくことですが、FAQですと既に製品やサービスのウェブサイトに掲載している企業は多いしょう。
それによって、カスタマーサポートへの問い合わせが削減され、業務の効率化に役立っているケースも多いでしょう。
一方で、そうしたFAQをコストや時間をかけて作成していても、活かしきれていない事例も多々あります。
その理由には次のようことが考えられます。
FAQチャットボットができること
- FAQのボリュームが大きくなり過ぎて、顧客が回答を見つけきれない
- FAQの掲載が追い付かず、情報量が少ないため、顧客は直接問い合わせをすることになる
- FAQを確認せずに問い合わせをしてくる顧客も少なくない
FAQシステム一覧
次にFAQシステムには、具体的にどのようなサービスがあるのかを見ていきましょう。
<オペレーター支援型>アルファスコープ
サービス提供元:株式会社 プラスアルファ・コンサルティング
カスタマーサポートのスタッフが顧客対応を行う際のFAQやトラブルシューティングなどを一元管理することができます。
スタッフはカテゴリーでもキーワードでも話し言葉でも、必要な情報を引き出すことができます。
また、画面をスタッフごとにカスタマイズできたり、管理者とスタッフたちが業務連絡を交わしたりすることもできます
<知見集約型>Accela BizAntenna
サービス提供元:アクセラテクノロジ株式会社
通常のFAQだけでなく、マニュアルやカタログや取扱説明書、さらに動画や報告書などの業務書類もFAQシステムに蓄積していきます。
つまりFAQシステムでありながら、自社の膨大なノウハウのデータベースのような存在になります。
情報やコンテンツには「タグ」をつけ、検索を容易にし、スタッフたちがAccela BizAntennaを使うことによって、部署ごとにどのような情報を重視しているかも把握できるようになります。
<チャットボットタイプ>チャットディーラー
サービス提供元:株式会社ラクス
このFAQシステムは製品やサービスのウェブサイトに設置することができ、問い合わせをしたい顧客は24時間365日、いつでも利用することができます。
顧客がチャットに質問を投げかけると、チャットディーラーが質問内容に対する回答を導き出します。
また、顧客への回答となる情報が掲載されたウェブページに誘導することも可能です。
この間、スタッフが関与することはありませんが、もし顧客がスタッフによる対応を求めた場合、スタッフに繋ぐという設定にすることもできます。
さらにチャットディーラーでは、特定の回答が何回選ばれたか、どのメッセージで離脱されたのかなどがひと目でわかるレポートが生成されます。
レポートをカスタマーサポートのスタッフが確認することによって、よりよい回答をチャットディーラーに登録することができ、顧客の利便性が向上します。
このチャットディーラーは顧客向けのみではなく、スタッフ向けの社内用FAQシステムとして利用することも可能です。
FAQシステムの選び方
FAQシステムを導入する場合、気をつけるポイントは大きく分けて次の2点です。
FAQチャットボットができること
- 自社にマッチしたシステムか?
- ランニングコストはどのくらいか?
FAQシステムは現在、普及の真っ只中にあります。
特許を取った独占技術ではないので、FAQシステムを開発・販売している企業は数多くあり、各社ともに他社製品とは異なる独自の機能を持っています。
したがって、いずれの企業のFAQシステムを導入するかは、それらの製品を事前に比較検討する必要があるわけです。
最初に気をつけるべきポイントは自社にマッチしたシステムかどうかという点でしょう。
これは実際にFAQシステムを使用することになる現場スタッフの意見を聞くのが一番です。
現場スタッフが使いやすいFAQシステムが、その企業に最もマッチしていると言えるでしょう。
また、できればどのタイプのFAQシステムを導入すべきかは、カスタマーサポートのみではなく、経営陣やセールス関係者なども含めて検討することをおすすめします。
その理由は、FAQシステムを通して顧客にどのようなサービスや情報を提供すべきかを戦略的に考える機会にもなるからです。
次にランニングコストに気をつけるべきですが、これはFAQシステムの導入に限った話ではありません。
企業にて設備を導入する場合、始めに支払うハードやソフトの購入費に注目しがちです。
しかし、FAQシステムは顧客対応のいわば、インフラ的な役割となりますので長期に渡り導入することになるかもしれません。
そのため、将来的にかかるトータルのコストはランニングコストによって大きく変わることになります。
まとめ
製品やサービスのウェブサイトを訪れる人の疑問は多様なように見えて、重複しているケースが多々あります。
そして必ずしも、カスタマーサポートのスタッフが対応しなければならないような複雑なケースばかりではありません。
今回、ご紹介してきたFAQシステムによって効率的な顧客対応が可能になってきており、チャットボットなどは、顧客対応の自動化を実現しています。
顧客からすれば、いくらウェブサイトにFAQがあっても、そこから自分の疑問に対する答えを探すのが面倒に感じることもあるでしょう。
チャットボットなどがそうした疑問に自動的に対応する一方で、カスタマーサポートのスタッフは人間が対応しなければならなない業務に集中することができます。
その結果、顧客により最適化された製品や充実したサービスの提供が可能になるでしょう。
FAQシステムは企業全体にとっても、人を増やすコストを抑えるのと同時に、ユーザーの満足度も向上するという大きなメリットがあるのです。
以下の記事でも、FAQシステムについて詳しく解説しています。
ぜひこちらの記事もあわせてご一読ください。
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この記事を書いた人
ボットマガジン編集部
ボットマガジン編集部です!チャットボットについて、タイムリーでお役立ちな情報をお届けします。