残業が減って売上も上がる?守りを攻めにつなげる仕組み作りを大暴露──オーレ×ラクス


1枚から最短即日発送できる大判印刷のECサイト「プリオ」を運営する株式会社オーレ様。
今でこそ一人当たり月平均2.5時間とほぼ残業なしの労働環境ですが、売上の伸びに比例するように残業時間も増えていき、「忙しいのに利益が残らない」という時代もありました。
今回は2019年7月23日に開催された「EC-CUBE DAY2019」のセミナーで講演された内容を、全編ノーカットでお届けいたします。テーマは、「残業を減らし、売上を120%増やすという偉業を成し遂げた“問い合わせ稼働削減の施策”」についてです。当日は、弊社ラクスがオーレ様にお話を伺う形式で進行いたしました。
株式会社オーレとは?
はじめまして。株式会社オーレの代表、松岡と申します。
オーレは大判印刷のECサイト「プリオ」を運営しており、社員41名、パート勤務の方を含めて50名の会社です。「人の役に立つ企業」というビジョンを掲げ、お客様はもちろんのこと、自分以外の社員の役にも立つことも重要だと常に社員に共有しています。
ECサイトは無機質にならないよう社員の顔を前面に押し出すことで信頼を集めており、おかげさまで口コミも現在43,000件、98%以上の方がまた利用したいとおっしゃっていただいています。

店舗運営の中で、課題として感じていたことは?
おかげさまで売上は伸びていましたが、比例するように残業が増えており、ひどいときは一人当たり月に60時間ほど残業していました。残業を減らすには増員しないといけないけれど、増員するとコストがかかるのでもうからない。つまり、注文は増えて忙しくなったにもかかわらず、利益が残らないという課題を抱えていました。
また、人が対応すると必ずミスは起きるのですが、判断する項目が増えてきたこともあり、ヒューマンエラーが頻発。コールセンターでは属人化した業務が多く、担当者が休みだと対応できないこともしばしば。
加えて、これらの課題もあいまって、業務を回すだけで手一杯となり、余裕の無さから社内の雰囲気も冷えた感じになっていました。

これらの課題を解決に向けて、まず達成したいことをスライドのように4つ掲げました。

どのような方法で業務改善をしようと考えたのか?
業務改善ツールの導入により、課題を解決しようと考えました。
ただし、ツールを導入するだけでは意味が無く、一番初めに「何のために導入するのか」を全社員で共有することが大切です。例えば、RPAを入れるとなると、担当者は自分の仕事が無くなるんじゃないかと不安に感じます。そこで、「今はこれだけ残業が多いからRPAの導入によって業務を削減して、早く帰れるときは帰る、空いた時間で別の仕事をできるようになる」という風に目的を共有することが重要になってきます。
また、どんなに良いツールだとしても、社員が自分ごと化しないと使いこなせません。トップダウンでやれといってもなかなか改善にもつながらないですし。自分ごと化できないのは、目的が共有できていないことが原因なので、オーレでは最初に社員一人ひとりに目的共有を行い、スライドのような取り組みも始めました。

すると、今までは「人が足りないから増やしてくれ」と頼んできていたのに、人を入れるとコストが増えて利益が下がる、賞与が分配されるから一人分あたりの取り分が減ってしまう、という理由から業務改善を自分ごとで考えるようになりました。
業務改善ツールはどのように運用しているのか?
ラクスさんのサービスを3つ利用しています。

1つ目は、「働くDB」です。
当社はプログラマーが社内におらず、私もプログラミングの知識を持っていませんが、そういった専門知識が無くても快適なシステムを組んだり、自動処理を作れるシステムです。中でも、自動処理とタイマーの機能を活用しており、請求書の発行業務は夜間に自動タイマーを設定して、システムが入力も確認作業もやってくれます。
今までは全て人が行っていたため、どうしてもヒューマンエラーが無くならなかったのですが、働くDBの導入によりヒューマンエラーが激減しました。
2つ目は、「メールディーラー」です。
いわゆるメールを全員で共有して管理できるサービスで、コールセンターで活躍しています。例えば、メールを共有しているので、Aさんが不在でもお客様とのやりとりの履歴を簡単に一目で確認することが可能になり、社員間での共有がとてもスムーズになりました。結果的に接客対応の品質も向上しています。

3つ目は、「チャットディーラー」です。
いわゆるチャットボットです。サイト上にQ&Aを用意してもなかなか見てくれないお客様が多く、よくある質問の対応に稼働がかかっていました。チャットを用意しておくと、お客様の自己解決を促進できるので問い合わせの件数がかなり減っています。
カスタマーサービスの理想は、よくある質問への対応ではなく「お客様の役に立つ提案」をすべきだと考えているので、チャットディーラーの導入により提案の時間を確保できることは大きな効果です。こちらも働くDBと同じようにプログラミングの知識が不要なので、社員がどんどんPDCAを回していけるのも助かっています。
実際の導入効果は…?
効果はテキメン!
残業は一人あたり2.5時間までに削減されて、ほぼ無いに等しいです。また、増員もしていません。売上は120%増加しましたが、人は増やさずにシステムで効率化することにより業務を回すことができています。正直、いまラクスさんにサービス提供をやめられたら困りますね(笑)。現状の倍とまではいかないけど、10~20人は増員しないと業務が滞ってしまうので。
また、「守りが攻めにつながる」というのを実感しています。 業務改善のような「守り」の行動は、通常ですと売上を上げるような「攻め」にはつながりません。しかし、「守り」を徹底することにより、今回であれば業務改善によって他の業務にあてる時間が生まれるので、新しくできたサービスがあります。
具体的には、「16時までのご注文で当日発送」というサービスです。
ラクスさんもそうなのですが、展示会やイベントなどギリギリで追加注文されるという方が結構いらっしゃいます。その場合でも、16時までにご注文いただければ当日中に発送できる体制を構築できるようになりました。
個人のお客様ですと、コミックマーケット(コミケ)に参加される方で、16時までにご注文いただいて、夕方に取りに来てそのままビッグサイトへ向かわれるというケースもあります。
加えて、「情報発信」へも活発に取り組めるようになりました。 今まではとてもそんな時間が無かったのですが、ブログ、SNS、YouTubeチャンネルを運営していて、ブログについては1日3件、SNSも毎日投稿することができています。しかも、空いた時間でこのような取り組みをコツコツ続けていたら、「ポスター印刷」「パネル印刷」といった大きなキーワードで検索結果の1位に表示されるようにもなりました。時間を上手く使って、施策をきちんと続けていけば、有名な会社じゃなくても検索1位をとることも不可能じゃないと実感しています。

最後に、生まれた利益は社員に還元したり、新たな設備や事業に投資しています。
社員に還元することによって、彼ら彼女らはやる気を出し、自発的に改善に取り組んでくれます。現に、SNSの発信などは私が指示しなくても全て自分たちで勝手にやってくれていますので。また、このご時世なので、いつ大判印刷事業が無くなってもおかしくはありません。その時のために、生まれた利益で次のことに投資していくことで、強い会社を作れると考えています。
本日の内容をまとめると
本日の内容をまとめるとスライドの3つです。

また、余談ですが、当社は毎年手作りの忘年会を行っているのですが、ブログで発信していたら全国区のテレビ番組に取り上げられました。大判印刷のことはほとんど触れられなかったんですけど、このように副産物が生まれたのも業務を効率化したおかげだなと感じています。

以上、オーレ様にご登壇いただいたセミナーについてノーカットでお送りいたしました。
いかがでしたでしょうか?
お客様の自己解決を促すことで問い合わせ対応を削減できる「チャットディーラー」は、ECサイトをはじめとした多くの企業でゾクゾクと導入されています。もし少しでも気になった方は、ワークショップや無料のトライアルもご用意しているので、お気軽にお問い合わせください。