チケット管理とは?メリット・デメリット、管理のポイントを解説

プロジェクト管理の手法としてよく用いられている「チケット管理」。タスク単位でチケットを発行して管理することで、タスクの管理や遂行をスムーズにする効果があります。
実はこの手法はプロジェクト管理だけでなく、ヘルプデスクに寄せられた問い合わせの管理にも活用できることを知っていますか?
当記事では、チケット管理やメリット・デメリットから、ヘルプデスクの社内問い合わせ管理に活用するポイント、そしてチケット管理に役立つチャットボットツールについて解説します。
社内問い合わせ対応にチケット管理を取り入れたいと考えている方や、チケット管理について理解を深めたい方は、ぜひ参考にしてみて下さい。
チケット管理とは

チケット管理とは、プロジェクト推進のために必要なタスクをひとつひとつ「チケット」という細かい単位に落とし込んで管理するものです。
もともとシステム開発の現場で使われていましたが、昨今ではその有用性が認められ、システム開発に限らないさまざまな場面で使われるようになりました。
そのひとつが、社内ヘルプデスクに寄せられる社内問い合わせの管理です。
社内問い合わせのチケット管理では、電話やメールなどさまざまなチャネルから届く問い合わせについて、ひとつひとつチケットを発行して管理します。
問い合わせをチケットとして管理することで、残りの件数や完了数、各スタッフの担当数などが可視化され、現在の進捗や問題が起きている箇所を把握しやすくなります。
チケット管理のメリット

社内問い合わせ対応のチケット管理には具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
対応状況を見える化できる
社内問い合わせをチケット管理することで、各問い合わせの担当者や対応の進捗状況が可視化され把握しやすくなります。
チケットには「未対応」「対応中」「解決済」などステータスを付けられるため、対応漏れを防げるほか、対応に時間がかかっているチケットの可視化も可能です。
また、担当者が明確になることで、問い合わせに対して誰が担当するのかあいまいになって放置してしまうといったトラブルも防げます。
優先順位を付けて管理できる
チケットには優先順位を付けられるため、急ぎで対応が必要な緊急性の高いものと、そうではない緊急性の低いものを区別することが可能です。
チケット管理ツールでは優先順位別にフィルターをかけることも可能なので、担当者は優先度の高い問い合わせをすぐに見つけられ、対応を急ぐことができます。
チケットの優先順位を付ける方法としては、届いた問い合わせをもとに管理者が付ける方法や、問い合わせの項目に緊急度を記載する欄を設け、自己申告してもらう方法があります。
担当者の生産性を上げられる
社内ヘルプデスクへチケット管理を導入すれば、状況が可視化され効率的に管理や対応業務を行うことが可能となります。また、チケット管理ツールを導入することでタスクのルーティング・カテゴリ分け・検索といったタスク管理作業の多くの部分を自動化することも可能です。
このようなチケット管理のベネフィットを活かすことで、社内ヘルプデスク担当者はサポート業務に集中しやすくなるため、生産性を大幅に向上できるのも大きなメリットです。
担当者一人あたりの生産性を向上させたい場合や、生産性の低さからヘルプデスク業務が停滞している場合には、チケット管理の導入がおすすめの施策となります。
チケットが作業履歴になる
ツールを使ったチケット管理では、解決済みチケットの情報がツール上に蓄積されます。これにはさまざまなメリットがあります。
まず、過去の対応内容を参照できることです。例えばチケット対応で困ったことがあったとき、過去に別の担当者が類似のチケットを解決した履歴があれば、内容を参考にすることができます。
また、同じ利用者からの問い合わせ履歴をさかのぼって確認できることです。チケットに対応する際、過去のやり取りの流れを把握することが解決の糸口となる可能性があります。
このほかにも、ヘルプデスクスタッフのチケット対応数をもとに評価に活かしたり、過去のチケットの所要時間をもとに業務の負荷を可視化したりといった活用も可能です。
チケット管理のデメリット・注意点

社内問い合わせ対応にチケット管理を取り入れることでさまざまなメリットがあることが分かりましたが、一方でデメリット・注意点も存在します。
チケット作成に工数がかかる
社内問い合わせ対応にチケット管理を取り入れる場合、必要となるのがチケットを発行する作業です。さまざまなチャネルから届いた問い合わせを、担当者が人力でチケット化しているとしたら、大変な負担になるでしょう。
そのためチケット管理を取り入れるのであれば、チケット管理ツールを使って問い合わせフォームに届いた問い合わせが自動的にチケット化される仕組みや、電話での問い合わせを簡単にチケット化できるフォーマットを設けるなど、チケット作成に手間がかからないような工夫が必要です。
作業以外にチケット管理の工数もかかる
チケット管理は、チケットを作成する作業だけでなく、チケットの更新・管理にも工数がかかります。
例えばチケットステータスの変更や、追加で得られた情報の記載、対応状況の記載など、対応を進めるごとに逐一チケットを更新しなければなりません。
とはいえ、こまめにチケットを更新するからこそ対応状況の可視化などといったメリットが発揮されるため、必要な工数であるといえます。チケット管理ツールを有効活用して更新の手間を減らすなど工夫をして、デメリットを軽減するとよいでしょう。
緊急度や優先順位の設定にはルールが必要
チケット管理を導入すれば、タスクの優先順位付けや効率的な対応を行うことが可能となり、突発的なタスクや緊急度の高いタスクに関しても、スムーズに対処することが可能となります。
しかし、優先順位付けや緊急度の高さに関しては、事前にルールを設定したうえでチケット管理を運用することが重要なポイントとなります。判断が難しい場合には、リーダーや管理者が状況を見て適切な判断を行うといった工夫を行うことも重要です。
もしルールの設定を行わずに運用を行うと、担当者ごとにタスクの優先順位が属人化してしまうため、混乱や非効率化を招いてしまう恐れがあるため注意が必要です。
チケット管理のベネフィットを十分に発揮するためにも、運用ルールの設定は必ず行っておくようにしましょう。
チケット管理のポイント

続いて、社内問い合わせ対応でチケット管理を実践する際に押さえておくべきポイントをまとめました。スムーズなチケット管理を行うためにも、ぜひご参考下さい。
ツールを活用する
社内問い合わせ対応にチケット管理を導入する場合、上述の通りチケットの作成と管理を行わなければなりません。チケットの作成と管理は厳密に行わなければチケット管理のメリットを享受することはできませんので、相応の工数が必要となり、少なからず負担は増えることになります。
そこで重要となるポイントが、チケット管理に特化した専用ツールを導入することで、業務効率化と負荷軽減を図ることです。
チケット管理に特化していないExcel等を用いたチケット管理では、利用しやすいというメリットはあるものの、負担が大きくなったりさまざまな弊害が生じたりするため注意が必要です。
以下に、Excelでのチケット管理がおすすめでない理由、チケット管理専用のツールを活用するメリットについて詳しく解説します。
Excelでの管理がおすすめではない理由
Excelでのチケット管理が推奨されないのは、以下のような理由があるためです。
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運用に手間がかかる
Excelでのチケット管理は、情報の作成・更新・配布・共有を行うたびに、ファイルを開いたりメールで送付を行ったりする必要があるため、運用が煩雑で手間がかかる。頻繁にチケットのやり取りを行う必要があるチケット管理には不向き。
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正確性の担保が難しい
Excelでのチケット管理はリアルタイムでの情報共有を行うことができないため、ミスや抜け漏れが生じやすくバージョン管理も困難。チケット管理の規模が大きくなりファイル数が増えるほど正確な運用が難しくなる。
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モバイルでの利用に不向き
Excelファイルはスマホやタブレットでは視認性や操作性が悪く、モバイルでのチケット管理には不向き。モバイルを活用したチケット管理を行う現場には適していない。
ツールを活用するメリット
ヘルプデスクのチケット管理に専用ツールを活用すれば、以下のようなメリットを得ることができるためおすすめです。
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チケット管理業務を集約することが可能
専用ツールでは、チケットの作成・更新・共有・管理に必要な機能が全て揃っているため、チケット管理業務をツールに集約することが可能。合理的で効率的なチケット管理を行うことができる。
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リアルタイムで情報を共有できる
専用ツールでは、更新されたチケットはリアルタイムで同期されるため、全員が常に最新の情報を共有することが可能。チケット管理の正確性・効率性を確保できる。
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自社に最適なチケット管理の体制を構築できる
専用ツールでは、チャット・SNS・管理システムとの連携や、業務フローや業務体制に合わせた設定を行うことが可能。自社のチケット管理に最適な体制をスムーズに構築できる。
このようにチケット管理の専用ツールを活用することでさまざまなメリットが得られるため、チケット管理を導入するのであればツールの活用はマストな選択となります。
チケット作成のフォーマットを決めておく
チケットの作成時に、各々が自由な形式で入力を行ってしまうと、チケットが属人的となってしまい管理効率が悪化します。例えば、別の担当者がヘルプで入ることが難しくなったり、過去の問い合わせ対応状況の確認がしづらかったりといったデメリットが生じてしまうでしょう。
そこで、チケットに統一性や一貫性を持たせるために、チケット作成時のフォーマットを用意しておくことが必要です。誰もが扱いやすく理解しやすいように、入力や運用のルールも作成して周知しておきましょう。
チケット管理はチャットボットツールとの組み合わせがおすすめ

チケット管理では、上述の通り工数が増えて時間や労力を奪われるため、できるだけ多くの作業を効率化したり自動化したりすることが重要となってきます。
チケット管理ツールの導入だけでも効率化は進められますが、さらなる効率化を目指すのであれば「チャットボットツール」を並行して利用してみてはいかがでしょうか。
チャットボットツールとは?
チャットボットとは、会話を通じてユーザーからの問い合わせに自動で対応できるツールのことです。
チャットボットには複数のタイプがありますが、近年人気が高い「AI型」の場合は、あらかじめ「よくある問い合わせ内容とその答え」を登録しておくことで、ユーザーからの質問に対して最適な回答をAIが選定して提示することができます。
チャットボットによる自動対応のみで問題が解決すれば、社内ヘルプデスクには問い合わせは届かないことになります。チケット管理によって社内問い合わせ対応を効率化することができますが、さらにその根本となる「対応が必要な問い合わせそのものを減らせる」ことがチャットボットツールならではの特徴です。
チケット管理とチャットボットツールを組み合わせるメリット
チケット管理とチャットボットツールを組み合わせれば、以下のようにさまざまなメリットを得ることができます。
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重要な問い合わせのみに集中できる
できるだけ多くの問い合わせをチャットボットへ代替させることで、ヘルプデスク担当者は重要な問い合わせや有人でなければ対応できない問い合わせのみに集中することが可能。本業と兼任している場合やリソース不足に陥っている場合の負荷軽減につながる。
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チケット管理を効率化できる
チャットボットツールのなかには、管理画面上からチケットの発行や管理を行えるものもある。このようなツールを活用すれば、自動対応できない問い合わせのみ担当者へ振り分けを行ったり、質問者がツール上で必要事項を入力することでチケットの自動作成を行ったりといったことが可能。チケット管理の合理化や効率化も同時に実現できる。
このように、チャットボットツールを上手く活用すれば、ヘルプデスク業務の負担自体を低減したり、より効率的で合理的なチケット管理を実現したりといったことが可能となります。
チャットボットツールをチケット管理と組み合わせるのであれば、チケット管理に適した製品を選ぶことが重要なポイントとなります。
社内問い合わせのチケット管理に「チャットディーラーAI」
チケット管理にチャットボットを活用してみたい方は、社内向けAIチャットボットツール「チャットディーラーAI」がおすすめです。チャットディーラーAIなら、「チャットボットツール」と「チケット管理ツール」の役割をひとつのツールのみで完結することができます。
チャットディーラーAIの主な特徴をみてみましょう。
- 社内からの問い合わせに自動で対応可能
- データの蓄積・分析・レポーティングを自動で行うことが可能
- 学習済AIとテンプレートを活用してスムーズに導入することが可能
- 自動対応で解決できない場合は専用のフォームから問い合わせができ、内容は自動でチケット化される
このように、チャットディーラーAIは社内問い合わせ対応に特化しており、対応が必要なチケット数の削減に貢献します。また、自動対応できない質問があった場合は、有人対応の専用フォームへと利用者を誘導でき、集まった問い合わせはチャットディーラーAI上にチケット形式で収集されるため効率的に管理できます。
ふたつの機能をひとつのツールで実現できるためコストパフォーマンスに優れており、さらにサポートも充実しているため導入もスムーズです。
社内問い合わせ対応にチケット管理とチャットボットを取り入れて効率化したい方は、ぜひチャットディーラーAIをご検討下さい。
まとめ
チケット管理の概要から、社内問い合わせ対応にチケット管理を取り入れるメリット・デメリット、管理のポイントまでをご紹介してきました。
社内問い合わせをチケットで管理することで、状況の可視化や効率化につながり、ヘルプデスクの負担軽減や、問い合わせの早期解決につながります。
実践にあたっては、チケット管理ツールやチャットボット等を上手く活用し、チケットの作成と管理にかかる手間を減らしたり、チケットそのものの数を減らしたりする工夫が重要です。
社内問い合わせ対応に課題を抱えている方は、この機会にチケット管理・チャットボットの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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この記事を書いた人
ボットマガジン編集部
ボットマガジン編集部です!チャットボットについて、タイムリーでお役立ちな情報をお届けします。