総務のDX化を進めるポイント9選!施策例や便利なツールもご紹介

近年「DX」という言葉はビジネスの現場ではごく身近な言葉になりました。

しかし総務担当者のなかには「DXってIT化のことだから総務には関係ない」「DXは情シスの仕事だから総務が知る必要はない」と考えている人もいるのではないでしょうか。

DXは、今やどの企業にとっても、情シスだけではなく全社を挙げて最優先的に取り組むべき課題です。そしてそれは総務も例外ではなく、むしろ総務こそ率先してDXを推進すべき部署ともいえます。

今回は、DXが総務にどのようにかかわるのか、総務のDXはどう進めればよいのかを解説します。

この記事の目次

    DXとは?

    DX(デジタル・トランスフォーメーション)と聞くと、「データをデジタル化すること」「ITツールを導入すること」と考える人が多いようです。しかしDXは、単なるデジタル化やIT化ではありません。

    経済産業省が2018年(平成30年)に発表した「DX推進ガイドライン」では、DXは以下のように定義されています。

    企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

    つまりDXは、データとITツールやクラウドシステム、IoT技術などを駆使し、これまでのビジネスモデルを変容させて、企業そのものが生まれ変わり、市場競争で勝ち抜く力をつけることを意味するのです。

    データ化やIT化は単なる「手段」であり、「目的」はあくまで「競合から抜きん出るためのビジネスモデルの変容」であることを、まずは理解しておきましょう。

    総務にDXが必要な理由とは?

    総務でDXが重要視されるようになったのには、新型コロナウィルス感染症の拡大が影響しています。

    2020年から爆発的に広がった新型コロナウィルス感染症は、多くの企業に強制的なビジネスモデルの変化をもたらしました。社員はリモートワークを余儀なくされ、営業は対面営業をおこなえなくなるなど、従来どおりの働き方ができなくなったのです。

    コロナ禍が想定以上に長引いたこともあり、企業は社内のあらゆる事務作業や業務のデジタル化・IT化を急ピッチで進めなければならなくなりました。

    各部門や従業員に働きやすい労働環境を構築するのが仕事の総務においては、リモートワークを進めるうえでのルール整備やコロナ対策などを主導しなければなりません。しかし「オフィスに出社しなければできない」ようでは、業務は滞るばかりです。

    増加する一方の総務の業務を効率的におこなうためには、総務においてこそデジタル化やIT化を進めるDXが必要なのです。

    総務のDX推進における課題点とは?

    現在では、企業のあらゆる部署・部門においてDXが推奨されており、総務部門も例外ではありません。上述の通り総務部門においてもDXの必要性・重要性が叫ばれていますが、同部門でDXを推進するにはいくつかの課題点があります。

    ここでは、総務のDX推進に伴う課題点について解説します。

    業務の属人化

    総務部門は、企業のさまざまな事務関係の業務が集中している部門であるため、対応範囲が幅広く煩雑となりがちです。そのため、総務部門内で業務の属人化が発生しているケースが多く見られます。

    どのような業務を誰が担当しているのかを把握するのが容易ではないため、DXを進めるための現状把握・戦略立案・施策実行に難航することが大きな課題です。

    総務部で的確なDX推進を実施するには、まずはこの課題をクリアして、部門内で行われている業務の全体像を把握することが先決となります。

    セキュリティ面の懸念

    総務部門は、業務の特性上企業の機密情報や従業員の個人情報といった重要な情報を扱う必要があります。もし情報漏洩や業務・処理のミスなどが発生すると、大きなトラブルを招く恐れがあるため、DX推進にあたってはセキュリティを担保したうえで仕組みや環境を構築することが大前提です。

    安易にITツールやシステムを導入したり、デジタル化による新しい業務体制を導入したりすると、セキュリティ面に懸念が残ることも、総務部がDXを推進する際の大きな課題のひとつです。

    このようなセキュリティ面の懸念からDXの推進が進まず、アナログな方式の業務を継続している企業も多くあります。

    DXを進める余裕がない

    社会全体でDX推進を推奨する風潮もあり、自社でもDXを推進する意思はあるものの、業務の多忙・コストやリソースの不足といった理由から、DXを進める余裕が無いことも課題のひとつです。

    特に、総務部は常時多岐に渡る業務を抱えており、非常に多忙な部門です。経営陣からDX推進を打診されても、日々の業務を消化するのに手一杯で対応できないケースは多くあります。人の異動が多い時期や行事・イベントの時期など、繁忙期であれば尚更でしょう。

    総務部でDXを推進するのであれば、このような事情を考慮して、時期を見計らったり余力を生み出したりといったDX推進の下地を作る必要があります。

    変化への抵抗や不安

    DXを推進する状況が整っても、総務部の従業員が新しい業務体制・業務フローに対して抵抗や不安を感じることにより、反発されて推進できないケースもあります。

    特に、勤続が長い従業員や年齢が高い従業員ほど、従来の仕事のやり方を変えたくないと考えるケースが多く、変化を嫌う傾向が見られます。

    従業員の意見や考え方を蔑ろにして無理にDX推進を進めても上手くいかないため、反発が懸念される場合には、DXの重要性・必要性や有用性・効率性などを説いて、事前に社内でのコンセンサスを獲得することが重要です。

    総務のDX化を進める一歩になる取り組み9選

    では、総務がDX化を進めるためにはどのような取り組みを行っていくべきなのでしょうか。

    チャットボットの導入で社内問い合わせの効率化

    総務の業務を効率化するには、チャットボットを導入するのが効果的です。チャットボットとは、質問に対してチャット形式で自動回答する自動応答システムを指します。

    総務に寄せられる質問は、必ずしも人間が答える必要があるものとは限りません。たとえば社会保険の手続きや有給申請の方法など、誰が答えても同じものはチャットボットに任せてしまうと問い合わせ業務を大きく削減できます。問い合わせ対応業務に時間がかかることに課題を感じている場合は、優先的に導入を検討しましょう。

    チャットボットを最大限活かすためには、導入に際してできるだけ多くの質問と回答を登録し、チャットボットだけで解決できる環境を整えることが大切です。

    チャットボットの導入にかける時間がない場合には、あらかじめテンプレートが備わったタイプや、導入サポートが充実したサービスを選ぶとよいでしょう。

    チャットボットによって、社員は自分で素早く問題を解決できるようになるため、ES(従業員満足度)も向上します。

    電子承認や電子契約サービスの導入でペーパーレス化

    リモートワークが導入された当初、「ハンコを押すためだけに出勤」するといった日本の非効率な業務フローがクローズアップされました。

    特に総務は管理する書類が多いため、リモートワーク時であっても滞りなく業務を進めるための業務フローの見直しが必須です。

    たとえば稟議を上げる際に上司の承認を得るために紙の稟議書を順番に回しているようでは非効率です。電子承認システムを導入し、Web上で承認できるフローを整備すればペーパーレスと同時に業務効率化を実現できます。また、書類をすべてデジタル化してデータベースに登録すれば、検索にかける時間を削減できるのもメリットです。

    そのほかにも、電子契約サービスを導入すれば、取引先との契約もWeb上で紙を使わずに行うことができるようになります。

    なお2022年4月には電子帳簿保存法が改正されました。総務においても各種書類のデジタル化を優先的に進める必要があるでしょう。

    物品管理システムの導入で備品管理の効率化

    備品管理も総務の仕事の1つですが、台帳やエクセルなどで管理している場合「消耗品の在庫が切れてから慌てて発注している」「定期的な棚卸しの備品管理が大変」といった課題を抱えている総務は多いようです。

    そのような場合には、ICタグやバーコードを備品につけることで在庫数や所在を管理する「物品管理システム」の導入が有効です。設定した在庫数まで減ったらアラートを鳴らしたり、棚卸し機能で実在庫との差異を突き合わせたりできるようになるので、備品管理の負担を大きく削減できるでしょう。

    RPAの導入で作業の効率化や自動化を図る

    RPAを導入することも、総務の業務効率化にはおすすめの方法です。RPAとは「Robotic Process Automation」の略語で、人がパソコン上でおこなっていた作業をプログラムで自動化することを指します。

    RPAは定型業務の自動化に適しており、たとえば毎月の勤務時間の集計作業などをエクセルでおこなっている場合は、速く、しかも正確に実行できるようになります。RPAを活用すると、事務作業の生産性が向上するので、総務はより重要な業務に専念できるようになるでしょう。

    クラウドPBXで電話対応を効率化

    クラウドPBXとは、クラウド上で通信を行うことで、社外でも会社の固定電話番号を利用することができるサービスです。内線機能も搭載されているため、社外であっても電話の取次ぎを行うことが可能です。

    現在では、テレワーク・リモートワークが一般化してきていることもあり、企業にかかってくる固定電話の対応業務を効率化することもDX推進においては重要な課題です。クラウドPBXであればオフィスへ出社することなくテレワーク・リモートワーク環境下でもオフィスと同じような固定電話の対応を行うことができます。

    固定電話の利用頻度が高い企業やオフィスへの無駄な出勤が発生している企業においては、クラウドPBXの導入はぜひ実施しておきたいDX施策となります。

    クラウド郵便管理で社内に届く郵便物をデジタル化

    総務がリモートワークをおこなう際は、オフィスに届く郵便物の管理が障壁となります。会社に届く郵便物には請求書や見積依頼、契約書など重要な書類が含まれ、処理が遅れると企業としての信頼を損ねる恐れがあるためです。

    そのような場合は、会社に届いた郵便物を代理回収したうえで必要に応じて中身をスキャンし、Web上でメールのように管理できるようにしてくれる「クラウド郵便管理サービス」を導入しましょう。総務が郵便物を処理するためだけに、わざわざ出社する必要がなくなります。

    クラウドPBXの導入で社外での外線・内線通話を実現

    リモートワーク導入に際して、社外からの電話対応に課題を抱える総務も多いでしょう。固定電話にかかってくる電話は誰かが対応する必要があり、受電要員として輪番で出社させている総務も多いのではないでしょうか。

    受電の課題を解決するには、クラウドPBXが有効です。クラウドPBXとは、PBX(構内交換機)をクラウド化し、インターネット上での通話を可能にするシステムです。固定電話の代表番号にかかってくる電話も、外部で応答できるようになるのでオフィスに出社する必要がなくなります。

    非効率な部分を部門ごとに調整

    文書などについて部門ごとに独自のフォーマットを作成し管理することは珍しいことではありません。しかし同じ文書に対して複数のフォーマットが存在すると、適正なデータ管理ができません。

    そういった細かな部分を調整して整理し、社内に有するあらゆるデータを一元管理できるようにすることは、DXの基本です。部門ごとの課題を横断的に解決するためには、総務が中心となって各部門の課題をヒアリングし、状況を把握したうえで調整することが重要です。

    一次面接はWeb会議で

    新しい人材を採用するときの面接は、対面でおこなうべきと考える総務も多いでしょう。しかし多くの応募者と面接するために出社して、時間を割くのは効率的ではありません。対面での面接は二次面接以降とし、一次面接はWeb会議システムを活用すると、短時間で多くの応募者と面談できます。

    Web面接をおこなう企業は先進性や柔軟性など、応募者からの評価も高く、遠方に住む優秀な人材からの応募も見込めます。採用の確度が高い人材だけ、対面面接をおこなうとよいでしょう。

    グループウェアやチャットツールの導入

    リモートワークを導入した企業では、コミュニケーションが不足することを課題とした企業も多くありました。そんなときには、チャットツールを導入するとコミュニケーションを効率化できます。

    従来は社内でのやり取りもメールでおこなっていた企業が多いでしょう。しかしメールは社内であっても件名を考えたり、形式的な挨拶を沿えたりする必要があり面倒です。その点チャットツールであれば、心理的なハードルが低くカジュアルにやり取りできるようになるのがメリットです。

    コミュニケーションと同時に、情報共有・タスク管理・スケジュール管理等を実現したいのであれば、グループウェアを導入することでこれらの課題をまとめて解決することができます。

    総務部においては細かいコミュニケーションや情報・データのやり取りを行う機会が多いため、これらを効率化するチャットツールやグループウェアの導入はマストといっても過言ではないDX施策です。

    総務のDX推進で注意すべきポイント

    総務のDX推進を行うにあたっては、闇雲に取り組んでも思うような成果が得られない場合があります。そのため、以下にご紹介するようなポイントを押さえておくことが重要です。

    これから総務のDX推進を実施する方は、ぜひご参考下さい。

    既存業務の可視化と見直し

    総務部門は広範囲にて煩雑な業務を抱えているため、勢いでDXを推進してしまうと、業務効率化や生産性向上といった具体的な成果に繋げることが困難です。ツールの導入や業務のデジタル化といった表面的なことに完結してしまい、かえって現場が混乱してしまう可能性もあるでしょう。

    そのため、総務部門のDX推進にあたっては、まずは既存業務の全体像を可視化・明確化して、必要な業務と不要な業務を切り分けることが先決です。業務体制・業務フロー全体の見直しを徹底することで、DX推進に必要な要点も浮かび上がってきます。

    デジタルツールに任せる業務の切り分け

    総務部門のDX推進では、あらゆる業務をデジタルツールに代替することを考えてしまいがちです。しかし、無闇に業務のデジタル化を行っても、自社の環境でパフォーマンスを向上できるとは限りませんし、ツールを導入・運用する時間・労力・コストも嵩みます。

    そのため、上述の業務の可視化・明確化・見直しにより得た情報をもとに、デジタルツールに任せる業務とそうではない業務の切り分けを徹底することが重要なポイントです。

    総務部門の業務体制・業務フローにベネフィットのある部分に絞ってデジタル化を行い、アナログなまま残した方が良い部分はプロセスの変更や配置転換など別の方法を採用するようにしましょう。

    ゴールイメージの明確化

    総務部門のDXにおいて特に重要なポイントは、DX推進を行ったその先にあるゴールを明確化しておくことです。理想の状態を具体的に思い描いておくことで、現状とのギャップやギャップを埋める方法も明らかとなり、的確でスムーズなDX推進が可能となります。また、ゴールと到達するまでの道筋も明らかとなることから、目標を達成して成果に繋がる可能性も高くなります。

    ゴールが曖昧なままでは施策の終わりが見えない上に、施策の効果測定・検証もできないため、不明瞭な取り組みとなり失敗の可能性が高まります。必ずゴールイメージを明確化してからDX推進に着手するようにしましょう。

    総務のDX化におすすめのツール

    ここからは、総務のDX化におすすめのツールについて、具体的なツール例を交えて紹介します。

    チャットボット

    社内問い合わせ対応を自動化できるチャットボットは、総務におけるDXの第一歩に最適なツールのひとつです。

    DX化を進めるにあたって、最初から全社的な業務の変革が必要となるシステムを導入しても、現場の負担が増えるため大きな反発が予想され、失敗してしまう可能性が高くなります。

    そこで重要となるのが「スモールスタート」です。まずは小規模で展開して成功をおさめ、そこから徐々に全社へと浸透させていく方法ですが、そのスモールスタートに適しているのがチャットボットなのです。

    チャットボットなら、社内から寄せられる質問のうち、就業規則を読めば回答できるようなものや毎回決まった回答をするものなどを登録しておくことで、自動での問い合わせ対応が可能になります。リモートワーク時でも24時間365日対応できるため、社員の利便性が向上するのも導入のメリットです。

    チャットボットは導入にかかる金銭的・時間的コストが小さく、問い合わせをする社員の利便性が高まり確実に効果が実感しやすいため、スモールスタートに最適です。

    とくにチャットディーラーAIのような、社内利用に特化したチャットボットを選ぶと、小さな負担で導入を実現できます。

    オンライン会議システム

    ZoomやGoogleMeetなど、離れた場所からでも顔を見ながら会議を開けるオンライン会議システムもDX推進には必須のツールです。

    導入することで、打ち合わせや会議のためだけに出社する必要がなくなり、移動にかける時間が削減されます。その時間を別の業務に充てられるため、業務効率の向上が期待できるでしょう。

    採用面接に利用すれば効率的に面談をこなせるうえ、応募者に先進的な企業として好印象を与えられるのも利点です。

    ビジネスチャット

    件名やあいさつ文を考える必要がないビジネスチャットを導入するのも、総務のDXには効果的です。メールでは宛先を間違えたり、CCに誤った人を設定したりといった誤送信のリスクがありますが、チャットであればそのリスクを軽減できます。

    SlackやGoogle Chat、Chatworkなどが、代表的なビジネスチャットです。それぞれ特徴や使い勝手が異なるため、トライアルして選びましょう。

    プロジェクト管理ツール

    総務主導で社内のDXを推進していくには、プロジェクトを立ち上げるのが一般的です。DXプロジェクトは規模が大きくなる傾向があり、複数人がかかわることが想定されるため、プロジェクト管理ツールを導入するのがおすすめです。

    プロジェクト管理ツールを導入すると、プロジェクトやタスクの進捗を可視化し管理できるようになり、抜け漏れなく進行できるようになります。backlogやTrello、Redmineなどが代表的なツールです。

    まとめ

    総務がDXを導入・推進するには、「デジタル化」と「ITツールの活用」が欠かせません。しかし最初から「システム統合によるデジタルデータの一元化」などを目指すと、現場の負担が大きく反発が予想され、またコストもかかるため失敗したときのリスクが大きくなります。

    DXはスモールスタートして小さな成功を重ね、社内に浸透させていくのが基本です。たとえばチャットボットであれば、総務の業務負担を減らすだけでなく社員の利便性も高められるので、受け入れてもらいやすいと考えられます。

    チャットディラーロゴ

    総務のDX化の第一歩には、チャットディーラーAIがおすすめです。チャットディーラーAIは社内利用に特化しており、導入から運用まで無料でサポートを受けられます。

    また、チャットディーラーAIは総務だけでなく情シスや人事労務、経理の部門でも活用できるため、コストパフォーマンスは抜群です。

    簡単なヒアリングで、導入した場合の具体的な費用対効果について算出できますので、ぜひ一度ご相談ください。

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    • 執筆者:ボットマガジン編集部
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      ボットマガジン編集部です!チャットボットについて、タイムリーでお役立ちな情報をお届けします。

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