ChatGPTとチャットボットの違いとは?使い分けのコツを解説

ビジネスへの活用やアプリケーションとの連携が話題になっている「ChatGPT」。
本記事では、ChatGPTが既存のチャットボットサービスとなにが違うのか、どう使い分けすべきかについて解説します。本記事の内容をもとにChatGPTとチャットボットをうまく使い分けて、生産性の高い業務体制を実現しましょう。
ChatGPTとチャットボットの違い

ChatGPTとチャットボットはどちらもチャット形式で対話しながら質問などができる便利なツールです。実際にビジネスに両者を活用したい場合は、それぞれの特性や異なる点への理解が必要です。
まずはChatGPTとチャットボットの概要に触れながら、両者の違いについて紹介します。
ChatGPTは自然な会話ができる人工知能
ChatGPTとは、米企業のOpenAI社が開発した対話型の人工知能ツールです。GPTと呼ばれるAIを使用した自然言語処理モデルで、世界中のWebサイトのテキストデータをもとに文章を生成できるため、ユーザーの問いかけに対して自然な会話のように回答できます。
ChatGPTの類似したツールには画像生成を得意とした「Stable Diffusion」や自動作曲システムの「CREEVO」が挙げられます。使用者のプロンプト(指示情報)をもとにコンテンツを自動生成するタイプの機械学習を総じて「ジェネレーティブAI」と呼びます。
チャットボットは特定の質疑に応える自動応答システム
チャットボットとは、使用者の質問や選択肢に応じて、決められた回答を行うシステムです。主にサポートセンターのQ&Aや商品案内、予約システムなど、応対業務やマーケティング分野に利用されます。
チャットボットは使用用途やシステムの仕組みによって、主に以下の4種類に分かれます。
- ログタイプ
- 選択肢タイプ
- ハッシュタイプ
- イライザタイプ
どのタイプにも共通しているのは、特定のキーワードや選択肢をトリガーに「あらかじめ設定された回答」を行う点です。
主な違いは自己学習の能力差
ChatGPTとチャットボットで大きく異なる点は「自己学習によって回答を導き出すか」「事前に設定されたルールに従うか」です。
ChatGPTはAIによる膨大なテキストデータの学習によって、高度なコミュニケーション能力を実現しています。したがって「AIが自身で考える」とも言えるでしょう。対話能力は非常に優秀です。
一方でチャットボットは、事前に設定されたルールに則り回答を行うシンプルなシステムです。簡単に言えば「チャット型のマニュアル・Q&A」とも言い換えられます。ChatGPTより対話能力は劣りますが、特定の質問に対する回答の正確さはチャットボットが上です。
ChatGPTでできること・できないこと

ChatGPTとチャットボットの違いがわかったところで、ここではChatGPTにできること、できないことについて解説します。
【できること】アイデアのアウトプット
ChatGPTをはじめとするジェネレーティブAIは、従来のAI技術ではできなかった「0→1のアウトプット」を得意とします。
例えばプレゼン資料の最適な作り方について知りたい場合、ChatGPTに対してプレゼン資料の概要と要望を指示すれば、AIが自動でアイデアをピックアップしてくれます。
また、最初の回答が意図しない内容だった場合でもチャット上で随時修正と提案を重ねれば、回答がブラッシュアップされます。ChatGPTは単体でのブレーンストーミングが可能です。
【できること】さまざまな領域の質問への対応
ChatGPTは世界中の膨大なテキストデータを参考にして回答を出力します。そのため、幅広い質問に対して答えることができます。
例えば「確定申告のやり方を教えて」といった専門的な質問にも答えられますし「冷蔵庫にきゅうりとハムがあるんだけどこれで何か作れる?」など漠然とした質問にも対応できます。ジャンル不問で回答してくれるのもChatGPTが持つ強みのひとです。
【できないこと】全ての質問に正しく回答できるわけではない
ChatGPTはテキストデータを参考に結果を出力するため、回答情報が必ずしも正しいとは限りません。そのため、出力された情報の正否は自身で確認が必要です。ChatGPTが質問に対して正しい情報を出力するかは、参考にしたテキストデータに依存します。
例えば「本能寺の変」が起こった年について質問すると、ChatGPTは正確な年号を答えます。これは、歴史上の出来事は数値に変動がなく、またほとんどの参考データで数値がブレないからです。
しかし、会社の業績やアンケート調査の結果など参考にする数値が変動、またはデータが複数あるものに関しては間違った情報を回答する可能性があります。これは数値に限らず、回答が文章の場合でも同じです。
正否の判断が難しい内容や数値にバラつきが起こりそうな質問に対して、ChatGPTは不向きといえます。
チャットボットにできること・できないこと

続いて、チャットボットのできること・できないことを解説します。対話能力の点ではチャットボットよりChatGPTが優秀ですが、全てにおいてChatGPTが優れているわけではありません。チャットボットにしかできない領域も存在します。
【できること】特定の質疑に対する正確な回答
チャットボットが得意とする領域は「特定ジャンルに対しての回答」です。
例えば、自社が提供するWebサービスに関する質問の場合、ChatGPTに質問をしても正確な回答が得られない場合があります。一方、ルールに則って設定された回答をするチャットボットなら、回答をその都度生成するわけではないため正誤不明な回答を行うことはありません。
【できないこと】設定にない質疑への回答
前述のとおりチャットボットは設定された範囲以外の回答はできません。特定のキーワードや選択肢に応じた回答を行う仕組みのため、雑談や自然な対話ができるようにはなっていないのです。
チャットボットはあくまで登録済みの回答を対話形式でおこなえるツールと覚えておきましょう。
ChatGPTとチャットボットはどう使い分けるべき?

ここからは上記の内容を踏まえて、社内利用においてChatGPTとチャットボットはどのように使い分けすべきなのか、またどのような用途で使えるか解説します。
用途によって使い分けが必要
ChatGPTとチャットボットでは得意・不得意の領域が異なります。どちらを使うか迷った場合は、使用用途によって使い分けましょう。
例えば、正確な回答が求められる社内問い合わせ対応業務にChatGPTは不向きといえます。回答が予測不能なChatGPTでは誤情報を提供してしまうかもしれないからです。この場合はあらかじめ回答内容を人間が設定するチャットボットが適切です。
一見すると高度なAIを搭載したChatGPTのほうがチャットボットより上と捉えられがちですが、必ずしもそうとは限りません。
アウトプットの補助として使うならChatGPT
前述の通り、ChatGPTは質問に対して正確ではない回答をしてしまう可能性があるため、間違いが許されない領域で使うことは難しいといえます。一方で、複雑な質問に回答できることや多様なアウトプットができることはChatGPTならではの強みです。
例えば以下のシーンではChatGPTが適しています。
- コンテンツの生成
- 文章の校正・要約
- ブレーンストーミング
- アイデアの創出
このように、クリエイティブさが必要となる領域や、出力された情報の正誤が自分で確かめられるもの、アイデア出しなど正しさにこだわる必要がない場面においては、ChatGPTを使うのが効果的です。
特定のジャンルに対する質疑応答ならチャットボット
社内問い合わせなど、正確な回答が求められる場合はチャットボットが適切です。チャットボットはルールに則った答えを出すので、全く的外れな対応をすることはありません。
チャットボットで対応できるシーンは、主に以下が挙げられます。
- 社内問い合わせ対応
- 特定の商品やサービスに関するF&Q
- 応対業務の代替手段
対話の柔軟性はChatGPTに劣るものの、不正確な回答が許されない場合はチャットボットサービスがおすすめです。
チャットボットサービスはChatGPTと連携が可能
ChatGPTはAPIがオープンソース化されているので、チャットボットサービスにChatGPTの機能を組み込むことができます。連携はチャットボットに限らず、アプリケーションやほかのWebサービスにも可能です。
OpenAIがChatGPTのAPIをオープンソース化したのは2023年3月1日。オープンソース化をきっかけに、世界中のさまざまな企業がChatGPT搭載型のAIチャットボットやアプリケーションを開発しています。将来的にはチャットボットの正確性とChatGPTの柔軟性、双方の良さを持ったツールが登場する可能性もあるでしょう。
<参考>ChatGPT、API提供開始 - Impress Watch
業務効率の向上にChatGPTを用いる際の注意点

ここでは、業務の効率化を目的としてChatGPTを使用する場合の注意点について解説します。ChatGPTは便利なAIサービスですが、業務効率の向上やビジネス転用に利用するなら、正しい扱い方を知っておかなくてはなりません。
ChatGPTは最新情報に対応していない
ChatGPTは一定期間の情報を参考にして回答を行っているので、最新の出来事について聞いても回答は得られません。
2023年4月時点で、ChatGPTが参考にするデータは2021年9月時点までのものに限られます。例えば、2023年のWBC優勝国についてChatGPTに質問しても答えは「わかりません」です。
特定のタスク性能を上げるには調整が必要
例えば、WebサービスのF&Qに応対するチャットボットサービスへChatGPTを連携するとします。既存のChatGPTの性能のままだと、ユーザーの質問の仕方によっては間違った情報を与えてしまうかもしれません。
そこで、事前にプロンプト(回答の方向性を指定するもの)で「これは(Webサービス名)に関する質問です。」などタスクをサポートするような文章を組み込んでおけば、回答の精度が向上します。また、Webサービスに関するテキストデータがChatGPTにない場合は、Webサービスに関するデータを新たに学習させれば回答できるようになります。
このように、ChatGPTとアプリケーションの連携で特定のタスクを代替させる場合、正確なアクションを起こせるようChatGPTに調整を加えなくてはなりません。
正確な回答を得るにはプロンプトの出し方が重要
アイデアやコンテンツ制作の生成にChatGPTを用いる場合、プロンプトの扱い方が重要です。「質問の方法」とも言い換えられます。
正確な回答を得るにはどのような質問をすれば適切か、また質問方法によってどのような返答が得られるのか、その特性を使用者は理解しておかなくてはなりません。
例えば2018年のワールドカップ優勝国を知りたい場合に「ワールドカップの優勝国を教えて」と質問しても正しい回答は返ってきません。理由は、質問内容に肝心の年号が欠けているためです。シンプルな間違いですが、これだけでもChatGPTの回答は大きく異なります。
ChatGPTでコンテンツ生成や情報収集するなら、正しいプロンプトの扱い方を学んでおきましょう。
社内問い合わせ対応なら「チャットディーラーAI」がおすすめ
社内問い合わせ対応を効率化するなら、社内向けAIチャットボット「チャットディーラーAI」がおすすめです。
チャットディーラーAIは、Webサイトや社内ポータルサイト、グループウェアなどさまざまな場所に設置ができる問い合わせ自動化ツールです。サポートデスクに特化した事前学習済みAIが、社内の対応業務や問い合わせに幅広い範囲で対応します。
チャットディーラーAIの導入によって、管理部門への問い合わせやFAQをAI型チャットボットが代用し、管理業務にかかる時間を削減できます。
「対応業務に追われてやりたいことができない」「実用的な社内ヘルプデスクが欲しい」そんな人にこそ、チャットディーラーAIはおすすめです。この機会にぜひ、チャットディーラーAIで対応業務の自動化を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
ChatGPTとチャットボットはどちらも対話型の応答システムですが、それぞれ特徴やしくみが異なります。業務効率の向上やビジネスへの活用を視野に入れるなら、用途に合わせて適したツールを選びましょう。
サポート業務やヘルプセンターなど、対応業務を自動化するならAIを用いた高性能なチャットボットサービスがおすすめです。単純作業や対応業務はAIやチャットボットに任せて、生産性の高い業務に集中できる環境を作りましょう。
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この記事を書いた人
ボットマガジン編集部
ボットマガジン編集部です!チャットボットについて、タイムリーでお役立ちな情報をお届けします。